南海トラフ地震の想定震源域で「ひずみ」が蓄積

南海トラフ沿いに蓄積するひずみの分布_海上保安庁提供出典: 東京新聞
巨大地震の発生が想定される南海トラフで、四国や東海の沖合などで特にひずみがたまっていることが海上保安庁の海底調査でわかりました。
2016年5月23日(月)付けの英科学誌ネイチャー電子版に、観測結果をまとめた論文が掲載されました。

英科学誌ネイチャー電子版に掲載された論文

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南海トラフにひずみが蓄積

・東海から西の太平洋にある南海トラフでは、陸側のプレートの下に海側プレートが沈み込んでひずみがたまり続け、過去に繰り返し巨大地震が発生している。

・国は今後30年以内にマグニチュード8から9の巨大地震が発生する確率が60%から70%としているが、震源域が海底のため、どこでひずみがたまっているか詳しくわかっていなかった。

・海上保安庁では2000年度からGPSを使った観測器を海底に置き、ひずみがたまる陸側と海側のプレート境目の動きを測定。南海トラフ沿いの15カ所について、2006年度から2015年度の動きを分析。

・海側のプレートは年間におよそ6センチ沈み込んでいるとみられ、陸側のプレートの動きが大きいほど、プレートどうしの結びつきが強く、ひずみがたまっていることを示す。

・四国の沖合や東海地方の遠州灘の沖合では、陸側のプレートは海側とほぼ同じ年間におよそ6センチずれ動き、特にひずみがたまっている。

・紀伊半島の周辺の沖合でも、年間およそ5センチずれ動き、ひずみがたまっている。

・四国沖では海側のプレートが沈み込み始めている浅い領域も含まれ、大きくずれ動くと高い津波が発生するおそれがある。

・一方、宮崎県の沖合の日向灘では、陸側のプレートがずれ動く大きさは年間に3センチ前後で、揺れを伴わずに境界がすべる「ゆっくり滑り」が起き、ひずみが解消された可能性がある。

・ひずみの場所は、ほぼ政府が南海トラフ巨大地震の震源域として想定する範囲内。

・ただ、四国沖では1940年代に東南海・南海地震を起こした領域以外にも、ひずみの蓄積する場所が広がっていた。

・ひずみの分布と地震の詳細な関連性はわかっていない。

・調査を行った海上保安庁・海洋防災調査室の横田 裕輔(よこた ゆうすけ)さんは、
「海底を直接観測することで、ぼんやりとしていた南海トラフのひずみがどこで蓄積されているかが詳しく分かってきた。将来の地震の起こり方を考えていくうえで重要な情報で、今後も観測を続けていきたい」
「70年前の地震でひずみが解消されておらず、新たに地震を起こすのか調査が必要だ」
「過去の履歴にない強いひずみが見つかった。今後、地震の評価に役立ててほしい」
と話す。

ソース:朝日新聞デジタル 産経WEST NHKニュース 共同通信

観測データについて専門家の意見

・今回の結果について、地震の専門家は、想定される巨大地震の揺れや津波の大きさなどをより詳しく予測するための重要なデータだと指摘。

・政府の地震調査委員会の前の委員長で、東京工業大学の本蔵 義守(ほんくら よしもり)名誉教授は、
「これまでより解析結果の信頼度がはるかに高く、南海トラフでの巨大地震で発生する強い揺れや、津波の高さの予測がより正確なものになることが期待される」と話す。

・過去の南海トラフの巨大地震は、四国沖から和歌山県南方沖を震源域とする「南海地震」、三重県南東沖から遠州灘を震源域とする「東南海地震」、それに遠州灘から静岡県の内陸部を震源とする「東海地震」が、別々に起きたり連動して起きた、と考えられている。

・今回の解析では、ひずみがたまっている領域が四国南の沖合のごく浅いところまで広がっていたほか、東南海地震の震源域ではひずみがたまっているところがまだらに分布し、東海地震の震源域では沖合にひずみがたまっているなど、震源域ごとに特徴が異なる結果が出た。

・今回の結果を受けて、本蔵義守名誉教授は、「南海」「東南海」、それに「東海」という区分を前提としてきたこれまでの地震の想定について、今後、改めて検討が必要になる、と指摘。
「今回は観測できていない領域もあり、今後、海底の観測点をさらに増やし、長期的に監視していくことが必要だ」と話す。

ソース:NHKニュース

観測成果と地震について思うこと

すばらしい観測成果で、大きく役にも立つと思いますが、当ブログの別記事で、「地下の動きをリアルタイムで詳細に探ることが現状では技術的に難しいため、現在できる方法として」今回の観測も行われたと考えると、まだまだ地震予知ができる未来は遠い、と思えてしまいます。

また、「長期的に監視していくことが必要だ」と専門家は言っていますが、「地震が起きてしまったら監視も終わり」であり、南海地震も含めて「地震はいつ起きてもおかしくない」と政府も言っているのですから、科学的には正しくても、やや的外れなコメントな気がします。

防災の観点からすると、観測技術がもっと進歩して、地震の発生場所、時間、揺れの大きさを予知(予測、予報)できて、被害規模を正確に予測して、さらに被害を最小限に抑えることができれば、一つの到達点になるのではないかと思います。
(現状、一番やりやすいのが、耐震構造物の普及や地震発生後の生活物資の確保等により「被害を最小限に抑えること」なので、これさえできれば、順を追わずに到達してしまう気もしますが)

コメント

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