画像: いらすとや
アマゾン プライム・ビデオで見た『冴えない彼女の育てかた♭』9話「卒業式と超展開」の感想です。
全体の感想
シナリオライターやイラストレーターといったクリエイターが、とてもすごい人たちなんだと思えてきました。
前回8話に比べて、スリリングにお話が進んで、見ごたえがあります。
あらすじ
豊ヶ崎学園の卒業式を迎えた詩羽の卒業を祝う倫也は、詩羽に対しこれからも今のメンバーでゲームを作っていきたいと告げる。
そのためには、みんなが参加したいと思える企画を立てるしかないと考え、詩羽に新作ゲームの企画書を見せる倫也。詩羽はその企画書に対して75点という高評価をつけるも、この企画には参加できないと告げるのだった。
印象に残った場面・分析
倫理くんが霞ヶ丘先輩に喫茶店でギャルゲーの新しい企画書を見せた後、お話が1ヶ月前に遡り、霞ヶ丘詩羽と柏木エリが紅坂朱音と会う場面に入ってから、クリエイターさんたちって、すごいんだなと思わされます。
実際はこんなに狂気の世界ではないと思いますが、アニメや小説で、特に動く絵と声優さんたちの力によって迫力感が増すアニメで、「こういう世界なのか!」と視聴者側は思ってしまいます。
よくあるのは、アニメの中で「すごい絵」とか音楽の「すごい演奏」などが出てきて、アニメのキャラクターたちがそれらに心を奪われる場面があり、視聴者側も「これは本当にすごい絵や音楽なんだ」と思わされてしまいます。
それでいて、現実世界の美術展や演奏会に行っても、アニメの中のような感動を感じることはあまりなくて、アニメに出てきたようなすごい絵は本当に存在するのか? とか、「アニメキャラたち、感受性豊かすぎだろ」などと思ってしまいます。
(ただ、音楽の演奏については、現実世界の実際の演奏会で、心動かされる演奏に出会ったことがあるので、アニメの中のそういう場面もよく理解できます)
そんな中、今回の『冴えない彼女の育てかた♭』9話では、個別の絵や音楽、小説がすごい、と視聴者に思わせるのではなく、それらを創る「クリエイター」がすごいと思わせてきます。
これを見た一般視聴者は「すごい世界だ」と思い、実績がある有名クリエイターが見たら「ブラック過ぎる……」と思い、クリエイターを目指している若手が見たら「もっとがんばらないと」と、なんだか相当焦る気にさせられる、ような気がします。
お話の構成を分析するのが好きな自分としては、「クリエイターはすごい人達だ」と思わせる話の流れを書ける、このアニメの脚本家やラノベ原作者がすごいなと思います。
『冴えない彼女の育てかた』は、ラノベ原作者(丸戸史明)が脚本も書いているそうで、よけいにすごいと思わされます。
小説の文章とアニメの脚本を比べると、小説中のセリフを脚本にそのまま書き出せばいいわけではなく、アニメの動く絵を基本に、絵の動きで表現できない部分をセリフで語っていき、文章だけの小説とは違ってキャラクターたちがしゃべり過ぎないようにして、さらにアニメとしての自然なお話の流れや場面展開の感覚も掴めないと、いい脚本は書けないと思うので、小説と脚本を両方書けるというのは、かなりすごいことだと思います(絵コンテや監督の力量も大きいと思いますが)。
ちなみに、20年続いている『フィールズクロニクル』というゲーム。
現実世界でいうと、名前は『チェインクロニクル』、実績は『ドラゴンクエスト』『ファイナルファンタジー』『ファイアーエムブレム』辺りでしょうか。
20年前のゲーム機は、スーパーファミコンや初代プレイステーション、セガサターンの時代で、当時のゲームグラフィックでは、クリエイターの描いた絵そのままには表現できず、絵の細部がわかるのは、ゲームの箱パッケージ絵とか、それぐらいだったような気がします。
ゲームのシナリオについては、『ドラクエ』も『FF』も夢中になってやりましたが、シナリオに大感動したとか、そういう体験はなくて、今回の『冴えない彼女の育て方』に出てきた「ゲームの企画書を読んで震えが止まらない」というような現象が、現実世界でもあり得るものなのか、どうなんでしょう。
昔やった『クロノトリガー』は、シナリオもおもしろかったです。