ポートレート撮影におすすめの一眼レフやミラーレスカメラの選び方

画像: ぱくたそ
スマートフォンやコンパクトデジタルカメラよりも綺麗な写真を撮りたいと思い立ち、デジタル一眼(レフ)カメラを買いに家電量販店へ行ったり、ネット通販サイトで眺めてみても、カメラの種類が多すぎて、どれを買えばいいのかわからない。
そんなときに、主に人物撮影に焦点を当てて、カメラを購入する上での見るべきポイントを解説していきます。
(その中でも、止まっている人物の撮影、ポートレートやコスプレ撮影等に的を絞ります)

※デジタル一眼(レフ)カメラは、「一眼レフ」と「ミラーレス」に大別されます。
「ミラー」があるカメラを「レフレックス」と呼び、ないカメラを「ミラーレス」と呼びます。
「デジタル一眼レフ」と書くと、厳密にはレフレックスのこととなり、ミラーレスが入らないので、当ブログでは「デジタル一眼(レフ)」と記載します。

 
 

センサーサイズが大きいカメラを選ぶ

家電量販店等のカメラ売り場に行くと、値札と一緒にカメラの性能が書かれた札が貼られているかと思います。
わかりやすいのは「~万画素」と書かれた「画素数」項目ですが、画質が良いカメラを選ぶには、まず「センサーサイズ」項目が「フルサイズ」と書かれたカメラを選びます。

センサーサイズとは?

センサーサイズ採用カメラ
1/2.3サイズ
(5.9mmx4.4mm)
1/1.7サイズ
(7.6mmx5.7mm)
PENTAX(ペンタックス)のミラーレスカメラ(Qマウント)に採用
1サイズ(1型)
(13.2mmx8.8mm)
Nikon(ニコン)のミラーレスカメラ(Nikon1マウント)やSONY(ソニー)のコンデジRX100シリーズ、ほか他社の高級コンデジに採用
4/3サイズ(フォーサーズ)
(17.3mmx13.0mm)
OLYMPUS(オリンパス)とPanasonic(パナソニック)のミラーレス(マイクロフォーサーズマウント)に採用
APS-Cサイズ
(23.6mmx15.6mm)
各社一眼レフやミラーレスのエントリー機に採用(マウントは各社ごとに異なる)
フルサイズ
(36.0mmx24.0mm)
各社ハイアマチュア機やプロ機、SONYのミラーレス α7シリーズ(Eマウント)に採用
中判サイズ
(約44mmx33mm)
PENTAXの一眼レフ 645ZやFUJIFILM(富士フィルム)のミラーレス GFX 50Sに採用

「センサー」というのは、カメラのレンズから入ってきた光を受けて電気信号に変える部分で、CMOSやCCDといった種類があり、カメラの心臓部とも言える部分です。「撮影素子」とも呼びます。
「センサーサイズ」が大きいほど画質が良くなります(ただし「画素数」の大小も画質に絡んでくるので後述します)。

上記表の中では「中判サイズ」が一番大きいセンサーサイズとなっています。
「中判」の上には「大判」というさらに大きなサイズがありますが、「中判」と「大判」は、センサーサイズが大きい分、カメラの価格が高く、一般にはあまり普及していません。

現在一番普及しているデジタル一眼(レフ)カメラは「APS-C(エーピーエスシー)」センサーサイズのもので、安いもので4-5万円で買えます。
「フルサイズ」は、安くて14-15万円と「APS-C」に比べてかなり高くなるので、お店の店員さんも、まずはAPS-Cカメラをすすめるのではないでしょうか。
しかし、当ブログでは、センサーサイズが大きい「フルサイズ」をおすすめします。
APS-Cカメラで撮った人物写真とフルサイズで撮った写真を見比べると、フルサイズで撮った方が肌の質感に優れ、レンズにもよりますが、被写体の背景を大きくぼかすことができます。

画素数が多いカメラは選ばない

家電量販店等の店員さんやカメラメーカーも、わかりやすい数字なので「2400万画素」「3600万画素」といった画素数の多さをカメラ性能のアピールポイントにしています。
画素数が多いほど細かいものも写り、画像も大きくすることができます。
しかし、画質は悪くなります。

画素数とセンサーサイズの関係

代表的なカメラメーカー3社の発売機種とiPhoneカメラの性能を見てみます。
(2016年1月現在)

メーカー機種名センサーサイズ画素数画素ピッチ
キヤノンEOS 5D Mark Ⅲフルサイズ約2230万画素6.2μm
キヤノンEOS 6Dフルサイズ約2020万画素6.5μm
キヤノンEOS Kiss X7iAPS-C約1800万画素4.3μm
ニコンD810フルサイズ約3635万画素4.9μm
ニコンD610フルサイズ約2426万画素6μm
ニコンD3300APS-C約2416万画素3.9μm
ソニーα7Ⅱフルサイズ約2430万画素6μm
ソニーα6000APS-C約2430万画素3.9μm
アップルiPhone 6/6 Plus1/3型?約800万画素1.5μm
アップルiPhone 6s/6s Plus1/3型?約1200万画素1.22μm

(iPhoneは背面カメラの値)

「画素数」を見ると、「ニコン D610」「ニコン D3300」「ソニー α7Ⅱ」「ソニー α6000」がほぼ同じ約2400万画素です。
「センサーサイズ」を見ると、「ニコン D610」「ソニー α7Ⅱ」は「フルサイズ」、「ニコン D3300」「ソニー α6000」は「APS-C」です。
「画素数」だけを見ると、上記の4機種は約2400万画素で、同じぐらいの画質だと思えてしまいます。
しかし、実際には「ニコン D610」「ソニー α7Ⅱ」のフルサイズ機の方がAPS-C機よりも画質が良いです。
同じ画素数ならば、フルサイズの方がAPS-Cよりも画質が良いです。

こういった判断が「画素ピッチ」という項目を見ると可能になります。

画素ピッチとは?

「画素ピッチ」というのは「隣り合った画素の中心から中心までの水平、垂直方向の距離」です。
※下記サイト様の記事にある図を参照ください。

<参考資料> カメラの高解像度化と高感度化の両立を実現する 新構造 「クリアビッド CMOSセンサー™」
ソニー(株)の広報発表文

正方形である1画素の1辺の長さと同等なので、便宜上、下記で計算できます。
計算方法:(撮影素子の面積÷画素数=1画素の面積)のルート(平方根)
だいたい「μm(マイクロメートル)」単位になります(μmはmmの1/1000)。

フルサイズ(36mmX24mm)で約2230万画素のカメラを例に計算すると、
36000μmX24000μm(単位をμmに合わせます)÷22300000≠38.744……
38.744のルート(平方根)≠6.224……
画素ピッチは約6.22μmとなります。

撮影素子の面積(センサーサイズ)が大きいと、同じ画素数(~万画素)でも画素ピッチが大きくなります。
画素ピッチが大きい方が画質は良くなります。
つまり、同じ画素数ならば、フルサイズの方がAPS-Cよりも画素ピッチが大きく、画質が良くなります。

細かく言うと、他にも「ローパスフィルターの有無」「裏面照射型CMOSかどうか」といった要素で画質は変わるのですが、人物撮影においては「画素ピッチの大きさ」が、それらに優る大きな要素なので、ここでは省きます。

iPhone(や他のスマホ)は、デジタル一眼(レフ)に比べてセンサーサイズが極端に小さいために、画素ピッチも小さい値となっています。
スマホのカメラからデジタル一眼(レフ)に変えると驚くほど画質が良くなるのは、センサーサイズや画素ピッチが大きくなるからです。
iPhone同士でも、iPhone6/6 Plusに比べてiPhone6s/6s Plusは画素数が上がった代わりに画素ピッチは小さくなっているので、厳密には画質が落ちているはずですが、技術の進歩もあるので一概には言えません。

おすすめの機種

フルサイズのデジタル一眼カメラで価格が安いものをピックアップします。どの機種もだいたい14万円前後の価格です(2016年1月現在)。

メーカー機種名センサーサイズ画素数画素ピッチ
キヤノンEOS 6Dフルサイズ約2020万画素6.5μm
ニコンD610フルサイズ約2426万画素6μm
ソニーα7Ⅱフルサイズ約2430万画素6μm

「画質の良さ」以外にも、AF(オートフォーカス)の精度や速さ、連射速度等、子供の運動会などで動く人物を撮るならば欲しい機能ですが、当ブログではポートレート等の止まっていてくれる人物を対象とするので、上記のどの機種でも大丈夫かと思います。

その中でもおすすめするのは、キヤノンのEOS 6Dという機種です。
他の2機種に暗べて画素数は少ないですが、画素ピッチが大きくなっているので、画質もやや良いはずです。

キヤノンのカメラは人物の色が良いと言われています。ニコンのカメラは自然物の色が良いと言われています。
ソニーのカメラは、まだ歴史が浅いせいか定まった評価がありませんが、人物はキヤノンの色の方が好きという方もいるようです。

暗い場所でも綺麗に撮れるかどうかは、どの機種もフルサイズで画素ピッチが大きく高感度撮影能力が高いので問題ありません。

キヤノンのもう1つ上のランクに、EOS 5D Mark Ⅲという機種があります。
価格が26万円前後(2016年1月現在)と6Dの約2倍しますが、AFの精度が良く、動くものにも強い、SDカードとCFカードの2つを同時に入れられるダブルスロット(6DはSDカードのみのシングルスロット)、シャッター速度が最大1/8000秒(6Dは最大1/4000秒)等、6Dよりも機能と堅牢性がアップした機種で、6Dとともに人気があります。
ただし、6Dが約755gに対して5D Mark Ⅲは約950gと重いです。
画質は6Dも5D Mark Ⅲもほぼ同じで、画質以外の性能に約2倍の金額を出せるかどうかです。
※後述しますが、動画の画質については、5D Mark Ⅲの方が良いかもしれません。6Dの動画は画質が良くないです。

画質の良し悪しには、レンズの良し悪しも大きく絡んできます。
一般的に、各メーカーごとにレンズを付けるカメラの穴(マウント)の大きさが異なり、マウントが同じレンズでないと使えません。
それによってユーザーの囲い込みをしているわけですが、キヤノンとニコンは、それぞれレンズの種類も豊富で買って間違いのないメーカーです。
ソニーはまだレンズの種類が少ないものの、マウントアダプターというものを使ってキヤノンとニコンのレンズも使えるという強みもあります。ただし、AFが効く効かない等がマウントアダプターの性能に依存し、キヤノンとニコンのレンズは、それぞれキヤノンとニコンのカメラで使った方がレンズの良さも引き出されます。

各社ポートレート等の人物撮影に適したレンズがありますが、キヤノンには特にすごいレンズがあります。価格も高いのですが、ステップアップを考えると、キヤノンのカメラをおすすめします。
ブログ管理人が使用しているカメラという事情もありますが……、良いカメラというのは事実です。

※EOS 6DはフルHD(1920×1080)30pでの動画撮影もできますが、動画の画質は悪いです。画質というか、建物等を撮った際に窓や直線部分がギザギザに映ります。iPhoneで撮った動画の方が綺麗に見えるレベルで、6Dの動画は良くないです。動画には期待しない方がいいカメラです。
EOS 5D Mark Ⅲの動画は、センサーの画素数が動画で必要な画素数の倍数になっているのでギザギザ(ジャギー)が発生しないそうですが、5D Mark Ⅲを所有していないため、実際に試せず、正確なところはわかりません。

まとめ

・センサーサイズが大きい「フルサイズ」をおすすめします。
・同じ画素数ならば、フルサイズの方がAPS-Cよりも画質が良いです。
・画素ピッチが大きい方が画質は良くなります。
・おすすめするのは、キヤノンのEOS 6Dという機種です。
・キヤノンのカメラは人物の色が良いと言われています。ニコンのカメラは自然物の色が良いと言われています。
・キヤノンには特にすごいレンズがあります。

おすすめレンズの選び方については、下記の記事を参照ください。

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