ポートレート撮影におすすめの単焦点レンズの選び方【Canon】

デジタル一眼レフやミラーレスカメラを購入するときに、ポートレートやコスプレ等の人物撮影をするためには、どのレンズを買えばいいのか?

下記の記事でおすすめしたキヤノンのEOS 6Dには、「EF24-70L IS USM」か「EF24-70L IS USM」というレンズが付属するレンズキットモデルがあります(レンズが付属する分、価格は高くなります)。

ポートレート撮影におすすめの一眼レフやミラーレスカメラの選び方
主に人物撮影に焦点を当てて、カメラを購入する上での見るべきポイントを解説していきます。 (その中でも、止まっている人物の撮影、ポートレートやコスプレ撮影等に的を絞ります)

どちらも良いレンズではありますが、人物撮影をするには少々物足りません。
付属のレンズはズームレンズです。
しかし、人物を綺麗に撮るには、単焦点(たんしょうてん)レンズというものが適しています。
この記事では、ポートレートやコスプレ撮影等の人物撮影に適した単焦点レンズの選び方と、おすすめのレンズを紹介します。

ブログ管理人がキヤノンのカメラとレンズを使用しており、他メーカーのものよりも詳しいという事情もあり、ここからはキヤノンのEFレンズに絞って解説していきます。

 
 

単焦点レンズを選ぶ

家電量販店等のカメラ売り場に行き、レンズが並んでいる棚の札を見ると「デジタル(APS-C)専用」「フルサイズ対応」のように書かれているかと思います。

「デジタル(APS-C)専用」のレンズはセンサーサイズがAPS-Cのカメラ専用で、フルサイズのカメラには使えません。
ニコンやソニーのカメラはフルサイズ機でもAPS-Cクロップモードにして使うことはできますが、フルサイズ機の性能を活かし切ることはできません。
逆に「フルサイズ対応」レンズはAPS-C機でも使うことができます。
初めはAPS-C機を買ったけれども、将来はフルサイズ機を買う予定で、APS-C専用レンズを買ってしまうとフルサイズ機に移行したときにレンズが無駄になるから、レンズはフルサイズ対応のものを揃えておく、という方々もいらっしゃいます。

キヤノンの場合は、APS-Cカメラ用のレンズをフルサイズ機では使えません。フルサイズ機にレンズを付けることはできますが、シャッターを切ったときにカメラのミラーが当たってしまうため、写真は撮れません。
カメラが壊れる可能性もあるので、キヤノンのフルサイズ機にAPS-C用レンズは使わない方がいいでしょう。
「フルサイズ対応」レンズは、キヤノンもAPS-C機で使うことができます。

そして、レンズが並んでいる棚を見て、「フルサイズ対応」で「単焦点」と書かれたレンズを選びます。
キヤノンのカメラ用には、「マウント」が「EF」と書かれたものを選びます。

※キヤノンのEOS Kissシリーズ等のAPS-C機にフルサイズ対応のレンズを付けると、フルサイズ機(35mm判)換算で焦点距離がx1.6倍になるため、ご注意ください(ニコンやソニーのAPS-C機はx1.5倍になります)。
下記の「注意点」見出しで、詳しく解説します。

単焦点レンズとは?

ズームレンズ
ズームレンズ出典 Canon
単焦点レンズ
単焦点レンズ出典 Canon
デジタル一眼(レフ)に付けるレンズは、大きく分けて「ズームレンズ」と「単焦点レンズ」があります。
ズームレンズの方が一般的で、カメラのレンズキットモデルに付属するのもズームレンズがほとんどです。
単焦点レンズというのは「焦点距離が1つだけ」のレンズのことで、ズームができません。

単焦点レンズは基本的にレンズ構成枚数が少ないため、ズームができない代わりにズームレンズよりも画質が良いものが多く、背景を大きくぼかすこともできます。
レンズの価格も、単焦点レンズの方が安い傾向にあります。

背景を大きくぼかすことができる理由は、単焦点レンズの方がF値が小さいからです。
上記画像のズームレンズの方は、「F2.8L」「F4L」「F3.5-5.6」と書かれています。
単焦点レンズの方は「F2.8」「F1.2L」「F1.4」のように書かれています。
「L」というのはレンズの種類を表すキヤノン独自のもので、F値には関係ないので、ここでは省きます。
上記の中では「F1.2」が一番小さい値で、F1.2だと大きく背景がぼけます。

また、F値が同じで焦点距離が異なる場合は、焦点距離が大きい方が大きくぼけます。
上記画像の「EF50mm F1.2L USM」と「EF85mm F1.2L Ⅱ USM」では、F値は「1.2」で同じですが、焦点距離は「85」の方が大きいので、「EF85mm F1.2L Ⅱ USM」の方がぼけます。
ボケ量は簡単に計算できるので後述します。

※記載されている「F~」は下限の値で、「F1.2」のレンズを「F5.6」等に設定することもできます。
「F2.8」のレンズを「F1.2」に設定することはできません。
「F3.5-F5.6」というのは、このズームレンズの焦点距離「24mm-105mm」の間で、「24mm」に合わせると「F3.5」、「105mm」に合わせると「F5.6」になるという意味で、その間で上下します。「105mm」で「F3.5」にはできません。「24mm」で「F5.6」やそれ以上の値にすることはできます。

F値とは?

たとえば、F値「F5」と「F10」を比較すると、「F5」の方が「被写界深度」が浅い(狭い)ため、「F10」よりも背景がぼけます。
「被写界深度」とは、ピントを合わせた部分の前後のピントが合っているように見える範囲のことです。

絞り値(F値)
絞り値とは、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさのことです。

引用: デジタル一眼レフカメラの基礎知識 – 露出 | Enjoyニコン | ニコンイメージング

F値 (エフち、英: F-number)とは、レンズの焦点距離を有効口径で割った値であり、レンズの明るさを示す指標として用いられる。F値が小さいほどレンズは明るく(=レンズを通る光量が多い)、シャッター速度を速くできる。

F値のFとは「焦点の」を意味するfocalから来ている。

引用: F値 – Wikipedia

どちらもF値=明るさのこと、と言っています。
明るさは、レンズを使用する範囲(直径)を変えることで変わります。レンズを広く使うと(絞り値(F値)が小さいと)前後にピントが合う範囲が狭くなります。前後にピントが合う範囲が狭いと、背景が大きくぼけます。
結果的に、F値が小さいと背景が大きくぼける、と言えます。

※余談ですが、人間や動物の目は、暗い場所では瞳が大きくなって光を多く取り込んで、暗がりでも物が見えるようになります。
その際に、カメラのレンズと同じく、瞳の眼球面が大きくなる分、背景がぼけて見えているのではないかと思うのですが、元々の眼球が小さいのであまり差が出ず、認識できないのかもしれません。

レンズのボケ量の計算

カメラのセンサーサイズが同じならば、レンズごとの最大ボケ量は「焦点距離÷F値」で簡単に計算できます。
※フルサイズ機とAPS-C機のようにセンサーサイズが異なる場合は、フルサイズ機に対して、キヤノンのAPS-C機は「1.6」で割り(÷)、ニコンやソニーのAPS-C機は「1.5」で割ります。
※下記「EF50mm F1.2L USM」の最大ボケ量は「約41.67」ですが、フルサイズ機に対してキヤノンのAPS-C機の場合を計算すると、約41.67÷1.6=約26.04になります。

レンズ名焦点距離÷F値最大ボケ量
EF50mm F1.2L USM50÷1.2=約41.67
EF50mm F1.8 STM50÷1.8=約27.78
EF85mm F1.2L Ⅱ USM85÷1.2=約70.83
EF85mm F1.8 USM85÷1.8=約47.22
EF24-70mm F2.8L USM(広角側)24÷2.8=約8.57
EF24-70mm F2.8L USM(望遠側)70÷2.8=25
EF70-200mm F2.8L IS Ⅱ USM(広角側)70÷2.8=25
EF70-200mm F2.8L IS Ⅱ USM(望遠側)200÷2.8=約71.43

※商品名の後ろに付いている「USM」や「STM」という記号は、AF(オートフォーカス)時にレンズを動かす動力(レンズモーター)の略称です。
USM:ウルトラソニックモーター
STM:ステッピングモーター
「USM」の方が高性能で、「STM」は主に廉価なレンズに搭載されています。

上の表を見ると、スームレンズの「EF70-200mm F2.8L IS Ⅱ USM」が、ボケ量については、望遠側「200mm」で「約71.43」と単焦点レンズを超えています。

ズームレンズで単焦点レンズを超えるボケ量が出るのでお得に思えますが、「200mm」での撮影は、被写体からかなり離れる必要があります。また、このレンズは重たく(約1.5kg)、価格も高いので(22万円前後/2016年1月現在)、このレンズで撮りたいものが決まっているような状況でないと、なかなか手を出しにくいレンズです。

※「EF70-200mm ~」のレンズは、商品名が似ている別物レンズが複数あるので、購入する際は注意してください。

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