GalaxyTabS8.4(SM-T700)にカスタムROMでAndroid6.0.1を焼く方法

SamsungのAndroidタブレットGalaxy Tab S 8.4のWi-Fi版(SM-T700)を2014年に買ってから、家で動画を見るのに重宝してきました。

机上に置いて見る分には、8.4インチはちょうどいいサイズです。

Galaxy Tab S 10.5のWi-Fi版(SM-T800)も同じころに買い、こちらは電子書籍のマンガを見開きで見るのに使っています。

そして、Netflixを見るのにも重宝しているのですが、Galaxy Tab S 8.4と10.5のWi-Fi版はAndroidのバージョンが4.4.2からアップデートされずに止まっていて、古いバージョンだとNetflixアプリのストリーミング再生で「30秒戻りボタンを押すと画面が止まる」というバグがあります。

AndroidのNetflixアプリは、そこそこの頻度で更新されていますが、Androidが古いバージョンだとNetflixアプリのバージョンが別なのか、Android4.4.2のNetflixアプリは、いつまで経っても更新されずじまいです。

ということで、それならばAndroidのバージョンを上げてみようと、今回、カスタムROMを使ってGalaxy Tab S 8.4にAndroid6.0.1を焼いてみました。

その作業内容を忘れないために、備忘録的に記事にまとめてみました。

※「カスタムROM」とは「メーカー非公式のAndroid」のことで、ここで使うのはメーカー公式(?)の「Galaxy Tab S 8.4の海外版Android」なので、「カスタムROM」ではなく「海外版ファームウェア」と言うべきかもしれません。

ファームウェアをダウンロードする

まずは、Windowsパソコンでsamsung-firmware.orgというサイトにアクセスをして、Android6.0.1のファームウェアをダウンロードします。
※当記事では、Windows10パソコンを使って作業を行います。

1.下記「モデル:SM-T700 – Galaxy Tab S 8.4 (WiFi) 」ページの中から「6.0.1」のファームウェアがある国を選びます(日本、イラン、エジプトだけ4.4.2のまま止まっています)。
ここでは、なんとなくニュージーランド(NZC)を選びました。
日本語化は後で行うので、どの国を選んでも大丈夫だと思います。

https://samsung-firmware.org/ja/model/SM-T700/(リンク切れ)

2.ニュージーランドを選ぶと、下記ページに飛ぶので、「6.0.1」の一番日付が新しいファームウェアを選んでクリックします。
ここでは、一番左上にある「T700XXS1CQE1」を選びました(2017年11月25日現在)。
ファームウェアの日付は国によって異なるようです。

https://samsung-firmware.org/ja/model/SM-T700/region/NZC/(リンク切れ)

3.「ファームウェア SM-T700 — Samsung GALAXY TabS」ページに飛ぶので、画面下方の小さく「Show speed」と書かれた下にある「ダウンロード」をクリックします。
※緑の「ダウンロード」バーをクリックすると、画面下方の有料オプションに飛びます。ダウンロードスピードは速くなりますが、ここでは使いません。

https://samsung-firmware.org/ja/download/GALAXY__TabS__/0h61/NZC/T700XXS1CQE1/T700NZC1CPH1/(リンク切れ)

4.「ファームウェア SM-T700 / T700XXS1CQE1」ページに飛び、しばらくすると、自動的にWindowsのエクスプローラーで「名前を付けて保存」画面が開きます。
ファームウェアファイルを保存するフォルダを選んで[保存(S)]をクリックします。

GalaxyTabS8_4_SM-T700_ファームウェア

5.ファームウェアファイル(ここでは「NZC-T700XXS1CQE1-20170703092429.zip」)のダウンロードが始まります。
ファイル容量が約1.5GBあり、ダウンロード完了まで約5~9時間ほどかかります。
回線速度によっては、それ以上の時間がかかります。

6.ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)します(ここでは「NZC-T700XXS1CQE1-20170703092429.zip」)。

7.展開したフォルダ内に「.tar.md5」ファイルがあることを確認します(ここでは「T700XXS1CQE1_T700NZC1CPH1_HOME.tar.md5」)。
T700XXS1CQE1_T700NZC1CPH1_HOME.tar.md5

※また、下記Galaxy Tab S 10.5(SM-T800)用の海外ファームウェアをダウンロードすれば、以下、同様の作業で、Galaxy Tab S 10.5(SM-T800)にAndroid6.0.1を焼くこともできると思います。

https://samsung-firmware.org/ja/model/SM-T800/(リンク切れ)

Odinツールとサムスンデバイスドライバをインストールする

次に、Galaxy Tab S 8.4とUSBケーブルでつないで作業を行うパソコンに、Odinツールとサムスン デバイスドライバをインストールします。

パソコンにOdinツールを導入する

1.先程と同じ「ファームウェア SM-T700 — Samsung GALAXY TabS」ページを開きます。
ページ下方にある「ファームウェア書き込みに必要なもの:」枠内の「・Odinツール」横の「をダウンロード▼」をクリックして、最新バージョン「をダウンロード 3.12.7」(2017年11月25日現在)を選択します。
しばらくすると、自動的にWindowsのエクスプローラーで「名前を付けて保存」画面が開くので、ファイルを保存するフォルダを選んで[保存(S)]をクリックします。

https://samsung-firmware.org/ja/download/GALAXY__TabS__/0h61/NZC/T700XXS1CQE1/T700NZC1CPH1/(リンク切れ)

2.ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)します(ここでは「odin-3-12-7.zip」)。

3.展開して作成されたフォルダ内のexeファイル(ここでは「Odin3 v3.12.7.exe」)をダブルクリックすると、Odin3ツールが起動します(インストール作業は必要ありません)。

Odin3

パソコンにサムスンデバイスドライバをインストールする

1.下記「Android USB Driver for Windows」ページの「SAMSUNG_USB_Driver_for_Mobile_Phones.zip (15.3MB)」をクリックします。
自動的にWindowsのエクスプローラーで「名前を付けて保存」画面が開くので、ファイルを保存するフォルダを選んで[保存(S)]をクリックします。

Samsung Android USB Driver | Samsung Developers
You need the driver only if you are developing on Windows and want to connect a Samsung Android devi...

2.ダウンロードしたzipファイルを展開(解凍)します(ここでは「SAMSUNG_USB_Driver_for_Mobile_Phones.zip」)。

3.展開して作成されたフォルダ内のexeファイル(ここでは「SAMSUNG_USB_Driver_for_Mobile_Phones.exe」)をダブルクリックして、インストールを行います。
Windowsのバージョン等によって表示される画面が異なりますが、画面を進めて行くと「インストールウィザード」画面になるので、指示にしたがい、インストールを行います。
SAMSUNG_USB_Driver_for_Mobile_Phonesインストールウィザード

4.インストールが完了すると下記画面になるので、[終了(E)]をクリックします。
SAMSUNG_USB_Driver_for_Mobile_Phonesインストールウィザード_完了

デバイスドライバのインストールなので、アプリ等は起動せず、これで完了です。

海外版ファームウェアを焼く

ここまでの作業でファームウェアを焼くための準備ができたので、いよいよAndroid6.0.1の海外ファームウェアを焼き始めます。

Galaxy Tab S 8.4をODINモードにする

1.Galaxy Tab S 8.4の電源を切った後、「ホーム」ボタン+「ボリューム下」ボタンを押しながら「電源」ボタンを長押しします。
約5~6秒押し続けると、「Warning!!」と表示された画面になるので、各ボタンから手を離します。
※「ホーム」ボタン+「ボリューム上」ボタンを押しながら「電源」ボタンを長押しするとリカバリモードになりますが、今回は使いません。

2.下記の選択肢が表示されるので、「ボリューム上」ボタンを押します。
Volume up:Continue
Volume down:Cancel(restart tablet)

3.「ODIN MODE」画面になります。
※ここで作業をいったん中断して、Galaxy Tab S 8.4の電源を切りたい(シャットダウン)場合は、電源につながったUSBケーブルをGalaxy Tab S 8.4につないでから、「ボリューム下」ボタン+「電源」ボタンを長押しします。画面が消えたら、すぐに手を離します。
※電源につながったUSBケーブルをつながずにボタンを長押しすると、シャットダウンではなく、再起動(リブート)してしまいます。

パソコンでOdinツールを起動してGalaxy Tab S 8.4とつなぐ

1.パソコンでOdin3ツールを起動します。
Odin3ツール

2.Galaxy Tab S 8.4とパソコンをUSBケーブルでつなぎます。

Galaxy Tab S 8.4に海外版ファームウェアを焼く

1.起動したOdin3ツール画面左中央辺りの[Options]タブをクリックして、[Auto Reboot]と[F.Reset Time]にチェックを入れます。
Odin3ツール_Optionsタブ

2.Odin3ツール画面中央辺りの[AP]をクリックして、先程ダウンロードしておいた海外版ファームウェアの「.tar.md5」ファイルを選択します(ここでは「T700XXS1CQE1_T700NZC1CPH1_HOME.tar.md5」)。
約2~3分ファイルの処理状態が続いた後、下記画面のように[AP]欄に選択したファイル名が表示されます。
Odin3ツール_AP

3.Odin3ツール画面下中央辺りの[Start]ボタンをクリックします。
ファームウェアの書き込みが開始されます。
ファームウェアの書き込みには、約5分~10分かかります。

4.ファームウェアの書き込みが終わると、自動的にGalaxy Tab S 8.4が再起動します(書き込み中と合わせて2回再起動します)。
画面に「Galaxy~」ロゴが表示された後、「SAMSUNG」ロゴが表示された状態が約5分続きます。
その後、Galaxy Tab S 8.4の初期セットアップ画面に変わるので、Wi-Fi接続等の設定を行います(ここでUSBケーブルを抜いても、繋ぎっぱなしでも、どちらでも構いません)。
※セットアップ画面は英語表記です。

日本語化する

海外版ファームウェアを焼くと、Galaxy Tab S8.4の言語が英語表記になるため、日本語化します。
※初期設定の言語設定項目には日本語がありませんでした。

Galaxy Tab S 8.4に「MoreLocale 2」アプリをインストールする

1.Galaxy Tab S 8.4の「Play Store(Playストア)」から「MoreLocale 2」アプリをインストールします。

MoreLocale 2 - Apps on Google Play
This is just MoreLocale2

パソコンにAndroid SDKとUSBドライバをインストールする

パソコンにAndroid SDKとUSBドライバをインストールします。
しかし、個別にインストールすると手間がかかるので、代わりに「Samsung Kies」(両方が含まれている)をインストールします。

1.下記のサイトから「Samsung Kies」をダウンロードします。
Windowsパソコンは「Download for PC」の方をダウンロードします。

Samsung Smart Switch
Samsung Smart Switch seamlessly transfers contacts, photos, music, videos, messages, notes, calendar...

2.ダウンロードした「Kies3Setup.exe」をダブルクリックして、画面の指示にしたがい、インストールを行います。
Samusun_Kies3_インストール

3.インストールが完了すると「Kies3」アプリを起動できるようになりますが、今回の日本語化作業では使いません。

パソコンにSDK Platform-Tools for Windowsのパスを設定する

1.下記のサイトから「SDK Platform-Tools for Windows」をダウンロードします。

SDK Platform Tools release notes  |  Android Studio  |  Android Developers
Android SDK Platform-Tools is a component for the Android SDK.

2.ダウンロードした「platform-tools-latest-windows.zip」ファイルを展開(解凍)します。

3.展開したフォルダ「platform-tools-latest-windows」を、フォルダ内のファイルもそのまま一緒に、別フォルダにコピーします。
※コピー先のフォルダは、あまり移動させる必要がなく、ファイルのパスに日本語が含まれない場所にします(ここでは、内蔵ドライブのDドライブにコピーしました)。

エクスプローラー_platform-tools-latest-windows

4.フォルダ内の「adb.exe」ファイルが見える状態にして、そのパスを上部のバーからコピーします。
ここでは下記のパスになります。
D:\platform-tools-latest-windows\platform-tools

エクスプローラー_platform-tools-latest-windows3

5.エクスプローラーのフォルダ内から[コントロールパネル]を開きます。
[コントロールパネル]-[システムとセキュリティ]-[システム]-[システムの詳細設定]と順番にクリックしていきます。
[システムのプロパティ]画面が開くので、[詳細設定]タブの[環境変数(N)]をクリックします。
[環境変数]画面が開くので、[システム環境変数(S)]欄の中から[Path]を選択した状態にした後、[編集(I)]をクリックします。
[環境変数名の編集]画面が開くので、[新規(N)]をクリックします。
パス一覧の一番下に表示される空欄に、先程のパス(ここでは「D:\platform-tools-latest-windows\platform-tools」)をコピペで入力した後、[OK]をクリックします。

これでパスの設定が完了しました。

Galaxy Tab S 8.4をUSBデバッグモードにしてパソコンとつなぐ

1.Galaxy Tab S 8.4の[Settings(設定)]アイコンをタップします。
[GENERAL(一般)]タブの[Developer options(開発者向けオプション)]をタップします。
その中にある[USB debugging(USBデバッグ)]にチェックを入れると[Allow USB debugging?]画面が表示されるので、[OK]をタップします。
※[Developer Options]がメニューにない場合は、[About device]をタップして、その中にある[Build number]を7回タップすると、[Developer options]が表示されます。

2.Galaxy Tab S 8.4とパソコンをUSBケーブルでつなぎます。

3.しばらくすると、Galaxy Tab S 8.4に[Allow access to device data]画面が表示されるので、[ALLOW]をタップします。

4.パソコンに[非サポートデバイス警告]画面が表示された場合は[確認]をクリックします。

パソコンでadb shellコマンドを実行する

1.Windowsパソコンで「コマンドプロンプト」を起動します。
※Windowsのアプリ一覧にある[Windowsシステムツール]-[コマンドプロンプト]から起動することができます。

2.「コマンドプロンプト」に下記のコマンドを入力して[Enter]キーを押します(下記の改行されている部分は「.morelocale android.」と半角スペースでつながっています)。
adb shell pm grant jp.co.c_lis.ccl.morelocale android.permission.CHANGE_CONFIGURATION

3.Galaxy Tab S 8.4の画面に[Allow USB debugging?]と表示されるので、[Always allow from this computer]にチェックを入れて、[OK]をタップします。

Galaxy Tab S 8.4の「MoreLocale 2」アプリで日本語化する

1.Galaxy Tab S 8.4で「MoreLocale 2」アプリを起動します。

2.言語一覧の中から[Japanese(Japan)]を探してタップすると、Galaxy Tab S 8.4が日本語化されます。
MoreLocale2_English
    ↓

MoreLocale2_日本語

3.Galaxy Tab S 8.4の[設定]-[一般]-[開発者向けオプション]をタップして、[USBデバッグ]のチェックを外します。
パソコンとGalaxy Tab S 8.4から、それぞれUSBケーブルを抜きます。

以上で、日本語化作業は完了です。
※「パソコンにAndroid SDKとUSBドライバをインストールする」見出しの作業は必要ないかもしれません。

まとめ

上記の作業で、無事Galaxy Tab S 8.4をAndroid6.0.1にすることができました。

また、Android6になっても「端末を暗号化」はされていないため、動作が重くならずに快適に操作できます。

Android6.0.1でのNetflixアプリは30秒戻りボタンも正常に動きました。

Galaxy Tab S 8.4は2014年に発売したやや古い機種ですが、有機ELの画面はとてもきれいです。
Android6.0.1にすることで、今でも十分使えるタブレット端末になりました。

Rating: 5