EOS Kiss X5 + EF50mm F1.4 USM 撮影場所 渋谷の猫カフェ ハピ猫
スマホやコンパクトデジタルカメラ(コンデジ、デジカメ)を持っている人がデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラを買う理由として、背景をぼかした(被写界深度が浅い)写真を撮りたいという気持ちがあるかと思います。
しかし、デジタル一眼レフやミラーレスのレンズ付きエントリー機を買っても、思っていたほどぼけずに、がっかりすることがあるのではないでしょうか。
この記事では、背景をぼかすためのいくつかの方法を紹介します。
できれば、カメラ選びのところから、背景をぼかすのに適したカメラを選択するのが望ましいのですが、すでにお持ちのカメラでも、設定を変えたり安価なレンズを揃えることで、背景をぼかすことができます。
各項目を読まれた後、どれぐらい背景がぼけるのか、下記サイトで値を入力してシミュレーションすることができます。
カメラ選び
スマホやコンデジだと背景がぼけにくいのは、カメラのセンサーサイズが小さいからです。
センサーサイズが大きい一眼レフやミラーレスを使うと背景をぼかすことができます。
なおかつ、一眼レフ(とミラーレス)カメラというくくりの中にも、センサーサイズの違いがあります。
センサーサイズが大きいほど価格が高くなるので、予算と用途を考えて、自分に合ったものを選びます。
(マウントとは、各社のカメラとレンズ接合部の規格で、マウントが異なるカメラとレンズは繋がらないために使えない)
センサーサイズ | 採用カメラ |
1/2.3サイズ (5.9mmx4.4mm) 1/1.7サイズ (7.6mmx5.7mm) | PENTAX(ペンタックス)のミラーレスカメラ(Qマウント)に採用 | 1サイズ(1型) (13.2mmx8.8mm) | Nikon(ニコン)のミラーレスカメラ(Nikon1マウント)やSONY(ソニー)のコンデジRX100シリーズ、ほか他社の高級コンデジに採用 | 4/3サイズ(フォーサーズ) (17.3mmx13.0mm) | OLYMPUS(オリンパス)とPanasonic(パナソニック)のミラーレス(マイクロフォーサーズマウント)に採用 | APS-Cサイズ (23.6mmx15.6mm) | 各社一眼レフやミラーレスのエントリー機に採用(マウントは各社ごとに異なる) | フルサイズ (36.0mmx24.0mm) | 各社ハイアマチュア機やプロ機、SONYのミラーレス α7シリーズ(Eマウント)に採用 | 中判サイズ (約44mmx33mm) | PENTAXの一眼レフ 645ZやFUJIFILM(富士フィルム)のミラーレス GFX 50Sに採用 |
「中判サイズ」はフルサイズよりも大きく、約44mmx33mmとフルサイズの168%の大きさです。背景も大きくぼけます。
しかし、まだ一般的には普及しておらず、価格も約70万円と高価です。
背景をぼかしたいと思う人がイメージする写真は、おそらくプロがフルサイズ機で撮った写真だと思うので、フルサイズ機を選べばベストです。
しかし、エントリー機のAPS-Cサイズでも、レンズの選び方次第で、背景をぼかすことができます。
レンズ選び
「エントリー機を買ったら思ったように背景がぼけなかった」りするのは、付属のレンズ、または買ったレンズが背景をぼかすのに適していないからです。
付属のレンズは、いろいろなものをオールマイティで撮れるようにとズームレンズが入っており、なおかつ価格が安いレンズのために「F値」という値が大きくなっています(F3.5~F5.6等)。
背景を大きくぼかすには、「F値」という値が小さいレンズが必要です(F1.4等)。
ズームレンズはレンズをたくさん組み込むためにF値が小さいものを作るのが難しく、20万円以上する高級ズームレンズでも、F2.8ぐらいのものが多数です。
そこで、単焦点レンズというものが存在します。
単焦点レンズはズームができない代わりにF値が小さく、画質がよくて、価格が安いものが多いです。
ズームレンズよりも画質がよくて価格も安いので、ズームが必要なければ、ぜひ買っておきたいレンズです。
(単焦点レンズで価格が高いレンズは、画質を最重視する人が買うレンズです。ただし、発売時期が古いレンズや焦点距離によっては画質がそれほどよくない場合もあります)
単焦点レンズには、24mm 35mm 50mm 85mm 100m 135mm それ以上と、ズームができない分、多様な焦点距離のレンズがあります。
同じ焦点距離でも何種類もあったりと、初心者にはどれを選べばいいのか検討が付かないかと思います。
そこで、レンズ選びの基準として、人物を撮るならば、50mmや85mmがいいと言われています。
(これはフルサイズ機での焦点距離なので、APS-C機にフルサイズ用のレンズを付けると約1.5倍換算の値となり、50mmならば75mm相当、85mmならば127.5mm相当となります)
人物を撮るのに100mmを超えると、被写体からかなり離れないと顔だけしか画面内に入らなかったりとするので、まずはAPS-C機には50mmのレンズがいいかと思います。
(それでも焦点距離75mm~85mmになると、画面内に全身を入れようとした場合、約3~4m離れて撮る必要があります)
キヤノンのカメラを使っているならば、下記のレンズがおすすめです。
F値が「F1.8」とF1.4よりは高いものの、十分に背景がぼけて、何より価格が約14000円(2017年3月時点)と安いので、買っておいて損はありません。
背景をぼかした写真を撮る設定
カメラとレンズを揃えたら、または、お持ちのカメラとレンズでも、以下の設定をすることで、背景をぼかすことができます。
絞り優先モードでF値を小さくする
カメラの設定を「Aモード(絞り優先モード)」にして、F値を一番小さい値にします。
例:50mm/F1.4レンズならば「F1.4」
焦点距離が長い(望遠)方が背景がぼける
F値が同じでも、焦点距離が長い(望遠)方が背景がぼけます。
例として、APS-C機と「18-55/F3.5-5.6レンズ」の場合、「55」側の方が背景がぼけます。
ただし、安いズームレンズの場合、焦点距離によって設定できる最小F値が変動し、望遠側になるほど最小F値が大きくなります。
センサーサイズが同じカメラで、レンズの違いによるぼけ量だけを知りたい場合、「焦点距離÷F値」で比較することができます。
18÷3.5=約5.14
55÷5.6=約9.82
となり、「55」側で「F5.6」にした方が数値が大きいので背景がぼけます。
(望遠側になるほど画面内に入る景色の範囲は狭まるので、別問題として、望遠側になるほど被写体から離れる必要はあります)
(また、広角側だとレンズの周辺に写るものほど歪みます。スマホのレンズは広角レンズなので、人物を画面いっぱいに入れると、レンズの周辺に写る顔が間延びしてしまいます)
ちなみに単焦点レンズ「50/F1.4」の場合は、
50÷1.4=35.7
と、圧倒的に大きくぼけます。
より詳しく知りたい方には、下記の記事がおすすめです。

その他
ほかに背景をぼかす方法として、「カメラを被写体に近づける」「被写体から背景を離す」といった方法があります。
まとめ
これからカメラとレンズを揃える人や、すでに持っている人にも、この記事が参考になれば幸いです。