地震予測の最前線~「電離層の乱れ」と「地下天気図」による手法

2016年5月16日(月)夜、茨城県南部を中心に関東地方で最大震度5弱を観測する地震がありました。

完全ではないものの、この地震の発生を10日前に予測して注意を促していた会社がありました。

 
 

2016年5月16日(月)発生の茨城県南部を震源とする地震の概要

・発生時刻:2016年5月16日(月)21時23分ごろ

・震源地:茨城県南部(北緯36.0度、東経139.9度)

・震源の深さ:42km

・マグニチュード:5.5

・発震機構:北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型

・観測した震度:茨城県小美玉市で震度5弱、関東地方を中心に東北地方から中部地方にかけて震度4から1を観測

ソース:気象庁 地震情報 THE PAGE

地震予測の最前線

テレ朝newsニュース映像のテロップと音声から文字起こしをしました。

アナウンサー
 Q.16日に大きな地震が関東でもあったが
 どの時点でどういう予測を出したか

地震解析ラボ 平井 道夫 社長
 A.5月6日に予測の情報を出した

 全国で3つ出したが
 そのうち一つが茨城のもの

 規模は内陸だと
 (マグニチュード)5.0±0.5

ナレーター
 地震解析ラボ
  地震予測を会員のメールマガジンで配信
  個人会員約3万人 法人会員約100社

ナレーター
 どのように予測するのか
 ポイントは上空

電気通信大学 早川 正士 名誉教授
 割り箸をゆっくり曲げるイメージ
 パチパチ音がしてひび割れる

 地中にたまっているラドン・ガスが
 大気中にワッと噴出する

 すると大気が揺すられ 振動が上まで伝播し
 電離層の乱れにつながる

ナレーター
 地震の予測方法
  地震が起きる前の地下のひび割れ
  →上空の電離層の乱れを観測

ナレーター
 地震予測について別の方法を提唱する人もいる
 こちらは地下に着目する

ナレーター
 地下天気図
  過去の地震データを解析し 地震を予測
  →天気図のように表して会員向けに配信

東海大学 長尾 年恭 教授
 過去100年以上の経験則で
 7~8割の大地震の前に

 「地震活動の静穏化」というんですが

 普段よりも地震が少ないという状態が
 続くことがわかっている

ナレーター
 この”嵐の前の静けさ”とでもいうべき
 地下活動が低下した状態を地図で表したのが青い部分

 この異常がなくなったとき 大地震が起こるのだと言う
(ブログ管理人注:「地震活動の静穏化」による「青い部分」というのは、強震モニタ等による観測データのことか?)

ナレーター
 熊本地震の前にも
 この異常が表れたとしていて

 長尾教授は熊本地震の3週間前に
 九州北部に警戒を呼びかけていた

ナレーター
 ただ熊本地震では
 早川名誉教授、長尾教授が提唱するいずれの方法も

 時期はおおまかに予測したものの
 ”熊本”という場所は示すことができなかった

東海大学 長尾 年恭 教授
 従来のやり方だけでは
 (より精度の高い)予知は無理だと思う

 最近この分野に入ってきているのは

 統計物理学・数学・破壊の物理学…
 新しい人が入ってきている

 そういう知見を集約して
 地震学者と一緒に

 地震学的知見を加味して
 総合的なシステムを作る

 それしかないと思います

ソース:テレ朝news

関連記事

電気通信大学 早川 正士 名誉教授の地震予測手法については、下記の記事も参照ください。

地震は予測できる
津田建二 | 国際技術ジャーナリスト・News & Chips編集長 2014年3月10日 23時19分配信
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tsudakenji/20140310-00033422/

地震予測について思うこと

地震は、プレート境界でのプレート(地球の表面を覆う10数枚の厚さ100kmほどの岩盤)の沈み込みによりたまった歪みの解放(プレート境界型・海溝型)や、プレートの移動に伴う内陸部の岩盤の負荷の解放(内陸部の直下型・活断層型)によって起こるものだそうです。

単純に考えて、地下(土や岩盤)の動きがリアルタイムでわかれば、地震も予測できるのではないかと思うのですが。
今回の「地震予測の最前線」も、地下の動きを探る方法として「電離層の乱れ」や「過去の地震データの解析(と静穏化データ)」を利用しています。

たとえば、地下を透視したり、日本列島の地下にGPS内蔵の観測装置を等間隔かつ立体的に打ち込んで動きを探ることができれば、地震予測や予知ではなく、地震予報のようなものができるのではないかと(地下の動きが詳細にわかったとして、どのタイミングで岩盤が割れるのかを予測するのがまた難しいようですが)。

こういったことが現状では技術的に難しいので、現在できる方法として、地下のひび割れの副産物として発生する「電離層の乱れ」や強震モニタによる地表付近の揺れの観測を利用しているのだと思います。

「現在の科学では地震予知はできない」とよく言われますが、「できない」と言うだけではなく、なぜできないのか、何が(観測技術等で)可能になればできるようになるのか、ということまで政府が広報すれば、国民世論の後押しで予算が付いて、地震予知、予測、予報の研究がもっと進むのではないかと思います。

 
 
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