【PowerPoint】画面切り替え効果「変形」を利用したシームレスなアニメーション

この記事は約6分で読めます。

今回は、PowerPointの「画面切り替え(変形)」機能を使用して、スライドからスライドへとオブジェクトが滑らかに移動・変化するシームレスなアニメーション効果を作る方法について紹介します。

画面切り替え「変形(モーフ)」とは何か

PowerPointでプレゼンテーションを行う際、スライドがパッと次の画面に切り替わるだけでは、前後の話の繋がりが視覚的に伝わりにくく、聞き手の集中力が途切れてしまうことがあります。
この課題を解決するために、古くから「フェード」や「プッシュ」といった画面切り替え効果が用意されてきましたが、近年追加された「変形(Morph:モーフ)」という効果は、これまでの常識を覆すほど強力で直感的な表現を可能にしました。
「変形」とは、前のスライドにある図形や文字、写真などのオブジェクトが、次のスライドにある「同じオブジェクト」の位置、大きさ、色、あるいは形状へと、まるでアニメーションのように自動的につながって変化していく機能です。
手作業で複雑な「アニメーションの軌跡(パス)」を設定しなくても、単に2枚のスライドにオブジェクトを配置して「変形」を適用するだけで、プロの動画クリエイターが作成したような、滑らかでダイナミックな画面展開を実現できます。

変形効果が機能するための必須条件

この魔法のような機能を使うためには、たった1つだけ守らなければならない重要なルールがあります。
それは、「変化させる前(1枚目のスライド)」と「変化させた後(2枚目のスライド)」の両方に、必ず「同じオブジェクト」が存在していることです。
PowerPointは、2枚のスライドを見比べて「あ、この四角形は次のスライドで右上に移動して大きくなっているな」と判断し、その間の移動や拡大縮小の過程を自動で補間してアニメーションを作ってくれます。
したがって、新しく図形を描き直すのではなく、必ず1枚目のオブジェクトを「コピーして、次のスライドに貼り付け」てから、色を変えたり移動させたりすることが大前提となります。

変形(モーフ)を設定する基本的な手順

実際に「変形」効果を設定して、オブジェクトをシームレスに動かす基本的な手順を解説します。

オブジェクトのコピーと配置の変更

まずは、1枚目のスライドに、動かしたい図形(例えば、画面の左端に小さな青い円)を配置します。
次に、画面左側のサムネイル一覧(サムネイルペイン)でその1枚目のスライドを選択し、「Ctrl + D」キーを押すか、右クリックして「スライドの複製」を選びます。
これで、1枚目と全く同じ内容の2枚目のスライドが作成されます(コピー&ペーストの条件クリアです)。
2枚目のスライドを表示し、そこにある青い円をドラッグして画面の右端へ大きく移動させ、さらに四隅のハンドルを引っ張ってサイズを巨大化させます。ついでに色を赤に変更してみます。

画面切り替え効果「変形」の適用

配置の変更が終わったら、2枚目のスライド(変化後のスライド)を選択した状態にします。
リボンの「画面切り替え」タブを開き、画面切り替えのギャラリーから「変形」をクリックして選択します。
すると、1枚目のスライドから2枚目のスライドへと切り替わる際、左端にあった小さな青い円が、スーッと右へ移動しながら徐々に大きく、そして赤色へと滑らかに変化していくプレビューアニメーションが再生されます。
これだけで基本的な設定は完了です。
このように、複製して配置を変え、「変形」を選ぶ、という3ステップで、あらゆるオブジェクトに生命を吹き込むことができます。

文字や単語を変化させる高度な設定(効果のオプション)

図形や画像の移動・変形だけでなく、テキスト(文字)に対してもこの効果を適用し、よりメッセージ性の高いプレゼンテーションを作ることができます。

「効果のオプション」からの選択

先ほどと同じように、「画面切り替え」タブで「変形」が選ばれている状態で、そのすぐ右側にある「効果のオプション」というボタンをクリックします。
すると、「オブジェクト」「単語」「文字」という3つの選択肢がドロップダウンメニューで表示されます。
デフォルトは「オブジェクト」になっており、図形や画像、テキストボックスそのものを一つのカタマリとして扱います。
しかし、ここを「単語」や「文字」に変更することで、テキストのアニメーションが劇的に変わります。

アナグラムのような文字の再配置

例えば、1枚目のスライドの中央に「PRESENTATION」という大きな文字を配置し、それを複製した2枚目のスライドで「PREPARATION」と書き換えたとします。
この状態で「効果のオプション」から「文字」を選択します。
プレビューを見ると、「P, R, E, A, T, I, O,
N」といった両方のスライドに共通して存在するアルファベットの文字が、スライド上でバラバラに飛び交いながら移動し、新しい単語を形成する位置へと再配置される、まるでアナグラムのような非常にクールなアニメーション効果が得られます。
「単語」を選べば、長文のテキストボックスの中で、共通する単語だけが移動して新しい文章を構成します。
キャッチコピーの変化や、キーワードの強調といった場面で、聞き手の視線を釘付けにする強力な演出テクニックです。

異なる図形同士を強制的に変形させる(名前の指定)

先ほど「同じオブジェクトであることが必須」と説明しましたが、「四角形」を「星型」に変化させたい場合など、全く異なる形のオブジェクト同士を変形させたいケースもあります。

「選択ペイン」を使ったオブジェクトの命名ルール

PowerPointの標準の変形機能では、「四角形」と「星型」は別々のオブジェクトとみなされ、単にフェードアウトしてフェードインするだけの切り替えになってしまいます。
これらを同一のオブジェクトとして強制的に認識させる裏技が、「選択ペイン」を使った名前の指定です。
「ホーム」タブの右端にある「選択」から「選択ウィンドウ(選択ペイン)」を開きます。
1枚目のスライドの「四角形」をクリックし、選択ペイン上でその図形の名前(例:正方形/長方形 1)をダブルクリックして変更可能な状態にします。
ここで、名前の先頭に「!!(半角のビックリマーク2つ)」をつけ、任意の名前を入力します(例:!!shape)。
次に、2枚目のスライドの「星型」を選択し、同様に選択ペインで名前を全く同じ「!!shape」に変更します。
これで準備完了です。2枚目のスライドに「変形」を適用すると、PowerPointは「!!」で始まる同じ名前を持つオブジェクト同士であると認識し、四角形が滑らかに星型へとぐにゃりと形を変える、モーフィング効果を完璧に再現してくれます。

まとめ

PowerPointの画面切り替え機能「変形(モーフ)」を使用して、スライド間でオブジェクトを滑らかに移動・変化させる方法について解説しました。
「スライドを複製して配置や色を変え、変形効果を適用する」というシンプルな操作だけで、熟練のアニメーション設定に匹敵するダイナミックな画面展開を誰でも簡単に作成できるのが最大の魅力です。
「効果のオプション」から「文字」を選択してテキストをバラバラに再配置させたり、選択ペインで「!!」を使った名前付けを行って異なる図形同士をモーフィングさせたりといった高度なテクニックを組み合わせることで、プレゼンテーションの表現力は無限に広がります。
パラパラ漫画のようにスライドを何枚も使って複雑な動きを表現していた従来の手法から脱却し、シームレスで洗練された視覚効果で聞き手を魅了するプレゼン資料作りに、ぜひ変形機能を活用してみてはいかがでしょうか。