今回は、PowerPointの背景の削除機能を使って、画像から被写体だけを切り抜く方法を紹介します。
商品写真や人物写真をスライドに載せるとき、背景が写り込んでいると、スライドのデザインになじまなかったり、伝えたい部分が目立たなかったりします。画像編集ソフトを使わなくても、PowerPointには画像の背景を取り除く機能が用意されています。自動で背景を判定してくれるうえ、残す部分と消す部分を自分で指定して仕上げることもできます。
対象環境は、Microsoft 365のPowerPoint(Windows版を中心に、Mac版の違いも補足)です。リボンのタブ名やボタンの表示はバージョンや画面幅によって多少異なる場合があります。
背景の削除でできること
背景の削除は、写真などの画像から背景部分を透明にし、被写体だけを残す機能です。主に次のような場面で役立ちます。
- 商品写真の背景を消して、スライドの背景色の上に商品だけを配置したい
- 人物写真の余計な背景を取り除き、プロフィールスライドをすっきり見せたい
- 図解の中に写真の一部だけを素材として組み込みたい
背景の削除が使えない画像
Microsoftのサポート情報によると、SVG、AI、WMF、DRWなどのベクター形式の画像では背景の削除が使えず、ボタンが灰色で表示されます。背景の削除を使うのは、JPEGやPNGなどの写真やビットマップ画像が中心になります。アイコンや図形など、ベクター画像の不要な部分を消したい場合は、別の方法を検討しましょう。
背景を削除する基本の手順(Windows版)
- スライド上で、背景を削除したい画像を選択します。
- [図の形式]タブを開き、[背景の削除]を選択します。タブが表示されないときは、画像をダブルクリックして選択し直します。
- PowerPointが自動で背景を判定し、削除される部分がマゼンタ(赤紫色)で表示されます。元の色のまま見えている部分が残る部分です。
- 判定に問題がなければ、[変更を保持]を選択して確定します。
被写体と背景の色がはっきり分かれている写真であれば、自動判定だけで十分きれいに仕上がることもあります。
Mac版での操作
Mac版でも流れは同じで、画像を選択してから[図の形式]タブの[背景の削除]を選びます。表示されるタブやボタンの名前が環境によって少し異なることがあるため、見当たらない場合は画像が選択されているかをまず確認してください。
残す部分・消す部分を手動で指定する
自動判定では、被写体の一部が消えてしまったり、背景の一部が残ってしまったりすることがあります。そのようなときは、背景の削除のタブにある2つのボタンで調整します。
- [保持する領域としてマーク]:マゼンタになっているが残したい部分をなぞって指定します。
- [削除する領域としてマーク]:元の色で残っているが消したい部分をなぞって指定します。
ボタンを選ぶと鉛筆のような描画ツールになり、画像の上をドラッグして線を引くことで領域を指定できます。指定した内容に合わせて、マゼンタの範囲がその都度再計算されます。
きれいに仕上げるための操作のコツ
- 最初から細かく塗ろうとせず、短い線を何本か引いて様子を見ながら調整する
- 境界がわかりにくい部分は、スライドの表示倍率を上げてから作業する
- 髪の毛や細い枝など、細かい部分は完全に切り抜けないことがあるため、見せ方で補う(サイズを小さめにする、背景色を近い色にするなど)
- 修正を誤ったときは、元に戻す(Ctrl + Z)で直前の操作を取り消して引き直す
作業を確定・取り消す
調整が終わったら[変更を保持]を選びます。最初からやり直したいときや、背景の削除をやめたいときは[すべての変更を破棄]を選びます。
切り抜き前の下準備で仕上がりを良くする
先にトリミングして対象を絞る
画像に被写体以外のものが多く写っている場合は、背景の削除を行う前にトリミングで不要な範囲を切り落としておくと、作業の対象が絞られ、調整の手間を減らしやすくなります。
背景と被写体の違いがはっきりした写真を選ぶ
自動判定は、色や明るさの差を手がかりに背景を見分けます。そのため、背景が単色に近い写真や、被写体との色の差がある写真ほど、きれいに切り抜きやすくなります。素材を撮影・用意できる場合は、無地の壁や布の前で撮るなどの工夫が役立ちます。
切り抜いた画像の活用アイデア
背景を消した画像は、スライドのデザインに組み込みやすくなります。
- 図形と重ねる:円や角丸四角形の上に切り抜いた画像を重ねると、まとまりのある見た目になります。
- 影や光彩などの効果を付ける:背景の削除後に残った画像にも、図の効果やアート効果を適用できます。被写体に影を付けると、背景から浮き上がったような印象になります。
- テキストと組み合わせる:被写体の横に説明文を配置し、商品紹介や人物紹介のスライドを作ります。
- 複数の画像を並べる:同じ方法で切り抜いた画像を並べると、背景の違いが気にならず、統一感が出ます。
切り抜いた画像をほかで使う方法
背景を削除した画像を、別の資料やファイルでも使いたい場合は、画像を右クリックして[図として保存]を選びます。保存形式にPNGを選ぶと、背景の透明な部分を保ったまま保存できるため、ほかのOfficeアプリや資料に貼り付けたときも背景が透けた状態で使えます。
また、Microsoftのサポート情報では、Officeファイルに入っていない画像の背景を取り除く手段として、ほかのMicrosoftのアプリも紹介されています。用途に応じて使い分けるとよいでしょう。
作業時の注意点
- 背景の削除は、写真の中の見えている部分を透明にする機能です。画像の内容を作り変えるものではないため、被写体が背景と重なって見えにくい写真では限界があります。
- 他者が撮影・作成した画像を使う場合は、加工して使ってよいかを利用条件で確認しておきましょう。
- 元の画像に戻せるよう、重要な素材は加工前のファイルを別に保管しておくと安心です。
まとめ
PowerPointの背景の削除を使うと、画像編集ソフトを使わずに、写真から被写体だけを切り抜けます。画像を選んで[図の形式]タブの[背景の削除]を選択すると、削除される部分がマゼンタで表示され、[保持する領域としてマーク]と[削除する領域としてマーク]で細かな調整ができます。
ベクター形式の画像には使えない点、背景と被写体の差がはっきりした写真ほど切り抜きやすい点を押さえておくと、作業がスムーズに進みます。先にトリミングで範囲を絞る、表示倍率を上げて調整する、PNGで保存して再利用するといった工夫を取り入れながら、見やすいスライド作りに役立ててください。