Excel(エクセル)を使用する上で、作業効率を向上させるために欠かせないのが「関数」です。
関数を使いこなすことで、複雑な計算を瞬時に行ったり、大量のデータから特定の情報を抽出したりすることが可能になります。
今回は、Excel関数の基本的な仕組みから、最初の一歩として覚えておきたいおすすめの関数を紹介します。
Excel関数とは
Excel関数とは、あらかじめ定義された計算の手順(プログラム)のことです。本来であれば複雑な計算式を記述しなければならない処理を、関数名と必要な情報を入力するだけで簡単に実行できるようにした機能です。
数式と関数の違い
Excelでは「数式」と「関数」という言葉がよく使われますが、これらは密接に関係しています。
- 数式:セルに入力する計算式全体を指します。必ず「=(イコール)」から始まります。
- 関数:数式の中で使用する、特定の計算を行うためのコマンドです。
例えば、A1セルとB1セルの値を足す場合、以下のように記述します。
- 数式で記述する場合:
=A1+B1 - 関数(SUM関数)を使用する場合:
=SUM(A1, B1)
単純な足し算であれば数式でも十分ですが、合計するセルが100個ある場合、数式で=A1+A2+...と記述するのは非効率的です。関数を使えば=SUM(A1:A100)のように簡潔に記述できます。
関数の構造(引数と戻り値)
関数は基本的に以下の構造を持っています。
=関数名(引数1, 引数2, ...)
- 関数名:どのような計算を行うかを指定する名前(例:SUM, AVERAGE)。
- 引数(ひきすう):計算に必要なデータや範囲。括弧内に記述します。関数によって必要な引数の数や種類は異なります。
- 戻り値(もどりち):計算を実行した結果としてセルに表示される値。
この構造を理解することが、関数を習得する第一歩です。
関数の基本的な使い方
Excelで関数を入力する方法は主に3つあります。状況に合わせて使いやすい方法を選択してください。
1. セルに直接入力する
関数名がわかっている場合は、セルに直接入力します。
- セルに半角で「=(イコール)」を入力します。
- 続けて関数名の先頭数文字を入力すると、候補リストが表示されます(入力オートコンプリート)。
- 目的の関数を選択し、
Tabキーを押すと関数名が確定します。 - 必要な引数を入力し、
Enterキーで確定します。
2. 「関数の挿入」ダイアログボックスを使用する
関数名がわからない場合や、引数の設定が複雑な場合に便利です。
- 数式バーの左側にある「fx(関数の挿入)」ボタンをクリックします。
- 「関数の挿入」ダイアログボックスが表示されます。「関数の検索」でやりたいことを入力するか、カテゴリから関数を選択します。
- 関数を選択して「OK」をクリックすると、引数を入力するウィンドウが表示され、ガイドに従って設定できます。
3. 「オートSUM」ボタンを使用する
合計や平均など、頻繁に使用する基本的な関数は、リボンのボタンから挿入できます。
- 「ホーム」タブまたは「数式」タブにある「オートSUM(Σのマーク)」をクリックします。
- 自動的に範囲が選択され、SUM関数が入力されます。
- 範囲が正しいか確認し、
Enterキーを押します。
オートSUMの横にある矢印をクリックすると、平均や個数などの関数も選択可能です。
初心者が覚えるべき基本関数4選
Excelには400以上の関数がありますが、まずは使用頻度の高い以下の基本関数をマスターすることをおすすめします。
1. SUM関数(合計)
指定した範囲の数値を合計します。
- 記述例:
=SUM(A1:A10) - 用途:売上合計、経費計算など
2. AVERAGE関数(平均)
指定した範囲の数値の平均値を求めます。
- 記述例:
=AVERAGE(B1:B10) - 用途:テストの平均点、月間平均売上など
3. COUNT関数 / COUNTA関数(個数)
データの個数を数える関数ですが、対象とするデータの種類によって使い分けます。
- COUNT関数:数値が含まれるセルの個数を数えます。
記述例:
=COUNT(C1:C10) - COUNTA関数:空白以外のすべてのセル(文字や数値)の個数を数えます。
記述例:
=COUNTA(D1:D10)
出席者数や商品数などを数える際によく使用されます。
4. MAX関数 / MIN関数(最大・最小)
指定した範囲内の最大値または最小値を求めます。
- MAX関数:最大値を求める。
記述例:
=MAX(E1:E10) - MIN関数:最小値を求める。
記述例:
=MIN(E1:E10)
業務で役立つ実践的な関数
基本をマスターしたら、次は実務で頻繁に登場する関数に挑戦してみましょう。
1. IF関数(条件分岐)
条件を満たす場合と満たさない場合で、表示する結果を変えることができます。
- 記述例:
=IF(A1>=80, "合格", "不合格") - 解説:もしA1セルの値が80以上なら「合格」、そうでなければ「不合格」と表示します。
2. VLOOKUP関数(検索と抽出)
指定した範囲の中から検索条件に一致するデータを探し、その行にある別の列の値を取り出します。
- 記述例:
=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型) - 解説:商品コードを入力して商品名や価格を自動表示させる際などに必須の関数です。
※より柔軟で使いやすいXLOOKUP関数の使用もおすすめです。
3. ROUND関数(四捨五入)
数値を指定した桁数で四捨五入します。
- 記述例:
=ROUND(数値, 桁数) - 解説:消費税計算などで端数処理をする際に使用します。切り捨てにはROUNDDOWN、切り上げにはROUNDUPを使用します。
関数でエラーが出たときの対処法
関数を使用していると、エラーが表示されることがあります。主なエラーの意味と対処法を知っておきましょう。
- #DIV/0!:数値を0で割っています。割る数が0や空白でないか確認してください。
- #VALUE!:引数の種類が間違っています。数値を入れるべき場所に文字が入っていないか確認してください。
- #NAME?:関数名が間違っています。スペルミスがないか確認してください。
- #N/A:検索した値が見つかりません。VLOOKUP関数などで、検索値が範囲内に存在するか確認してください。
まとめ
Excel関数は、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的な仕組みといくつかの重要関数を覚えるだけで、作業効率が大きく向上します。
- まずはオートSUMや簡単な四則演算から始める。
- 慣れてきたらIF関数やVLOOKUP関数に挑戦する。
- エラーが出ても焦らず、原因を確認して修正する。
今回紹介した関数をきっかけに、ぜひExcelの便利な機能を活用して、日々の業務をスムーズに進めてください。