今回は、Wordの「テーマ」機能を使用して、文書全体の色合いやフォント(書体)、図形のデザインなどを一括で変更し、統一感のある洗練された資料を素早く作成する方法について紹介します。
Wordにおける「テーマ」機能とは何か
企画書や提案書、社内報などを作成する際、見出しの文字色を青にし、本文のフォントを明朝体に設定し、挿入した図形(テキストボックスなど)の色も青系で揃えるといったデザイン作業を行います。
しかし、後から「やっぱり会社のイメージカラーに合わせて緑系にしたい」「フォントをゴシック体にしてモダンな印象にしたい」と変更したくなった場合、すべての見出しや図形を一つずつ手作業で修正していくのは非常に時間がかかり、設定漏れの原因にもなります。
このような「文書全体のデザインのルール(配色、フォント、図形の効果の組み合わせ)」を一つのセットとして管理し、ワンクリックでガラリと印象を変えることができるのが「テーマ」機能です。
Wordには、プロのデザイナーが作成した何十種類ものテーマ(「Office」「ファセット」「ギャラリー」など)があらかじめ用意されており、これらを切り替えるだけで、色の組み合わせや文字のスタイルが自動的に連動して美しいデザインに仕上がります。
テーマを構成する3つの要素
一つのテーマは、以下の3つの要素が組み合わさって構成されています。
- テーマの色(配色):
メインカラー、アクセントカラー、背景色など、文書内で使用される基本となる色のパレット(組み合わせ)を定義します。 - テーマのフォント:
見出し用のフォント(大きな文字)と、本文用のフォント(小さな文字)の組み合わせを定義します。 - テーマの効果:
挿入した図形やグラフに対する、影のつき方や立体の見え方、線の太さといった視覚的なスタイル(質感)を定義します。
テーマの適用と全体のデザイン変更手順
まずは、あらかじめ用意されているテーマセットの中から好みのものを選び、文書全体のデザインを一括で変更する基本的な手順を解説します。
テーマギャラリーからの選択
文書を開いた状態で、リボンの「デザイン」タブをクリックします。
左端にある「テーマ」という大きなアイコンをクリックすると、現在パソコンにインストールされているテーマの一覧(テーマギャラリー)がサムネイル画像で表示されます。
デフォルトでは、一番左上にある「Office」という標準のテーマが選択されています。
この一覧の中で、他のテーマ(例えば「スライス」や「インテグラル」など)の上にマウスポインターを乗せる(ホバーする)と、背後の文書の見出しの色やフォントが一時的に切り替わり、どのようなデザインになるかをプレビューで確認できます。
気に入ったデザインが見つかったらクリックして確定します。
これだけで、文書内のすべての見出し、表のスタイル、図形の色が一瞬にして新しいテーマのルールに従って書き換わります。
ドキュメントの書式設定(スタイルの組み合わせ)
「テーマ」アイコンのすぐ右側には、「ドキュメントの書式設定」という、見出しのデザイン(例えば、下線付き、中央揃え、帯状の背景など)のバリエーションが並んだギャラリーがあります。
テーマで「色とフォントの種類」を決めた後、この書式設定ギャラリーから好みのレイアウト(見出し1の大きさや見出し2とのバランスなど)を選ぶことで、同じテーマの中でもさらに多彩なデザイン表現が可能になります。
テーマの色とフォントを個別にカスタマイズする
用意されているテーマセットの中の「色は気に入ったけれど、フォントだけは別のものにしたい」といった場合、テーマを構成する3つの要素をそれぞれ個別に変更(カスタマイズ)することができます。
テーマの色の変更(配色のカスタマイズ)
「デザイン」タブの「ドキュメントの書式設定」グループの右側にある「配色(または『色』)」というボタンをクリックします。
すると、「Office」「グレースケール」「青緑」といった様々な色の組み合わせのパレットが表示されます。
ここから「赤紫」などの別のパレットを選ぶと、テーマのフォントや効果はそのまま維持され、見出しの色や図形の色だけが新しいパレットの色に一斉に変更されます。
さらに、メニューの一番下にある「色のカスタマイズ」を選択すれば、自社のコーポレートカラーのRGB値(赤・緑・青の数値)を直接入力して、完全にオリジナルのカラーパレットを作成し、名前を付けて保存しておくことも可能です。
保存したカスタムカラーは、次回の文書作成時にも「配色」メニューからすぐに呼び出せるようになります。
テーマのフォントの変更
同様に、「デザイン」タブの「フォント」というボタンをクリックすると、「メイリオ – 游ゴシック」や「MS ゴシック – MS
明朝」といった、見出しと本文のフォントの組み合わせリストが表示されます。
ここから別の組み合わせを選ぶことで、文書全体の色や図形の効果はそのままに、すべての文字の書体だけを一括で変更できます。
これも一番下にある「フォントのカスタマイズ」から、英語の見出しはArial、日本語の本文は游明朝といった、独自の組み合わせを作って保存することが可能です。
テーマ機能を使用する際の重要な注意点
テーマによる一括変更の恩恵を最大限に受けるためには、文書を作成する段階で守らなければならない「Wordのお作法(ルール)」があります。
「テーマの色」と「標準の色」の違い
文字や図形に色をつける際、「ホーム」タブの「フォントの色」ボタンなどをクリックすると、カラーパレットが表示されます。
このパレットは、上段の「テーマの色(グラデーションになっている部分)」と、下段の「標準の色(赤、黄、緑などの原色が並んだ部分)」に大きく分かれています。
ここで**「標準の色」を選んで色をつけてしまうと、後から『デザイン』タブでテーマを変更しても、その色は絶対に変わらず固定されたまま**になってしまいます。
テーマの変更に連動して色を変えたい(一括変更の対象にしたい)場合は、必ず上段の「テーマの色」のパレットの中から色を選ぶ必要があります。
「見出しスタイル」の適用が必須
同様に、フォントの変更をテーマと連動させるためには、手作業で文字を大きくして太字にするのではなく、「ホーム」タブのスタイルギャラリーから「見出し1」「見出し2」といった「スタイル」を適用しておく必要があります。
スタイルが適用されていない単なる「本文(標準)」の文字を、部分的にフォント変更した箇所は、テーマのフォントを変更しても無視されてしまいます。
Wordの「テーマ機能」と「スタイル機能」は常にセットで機能するものであると理解し、文書作成の初期段階からスタイルを適用し、「テーマの色」パレットを使うというルールを徹底することが、美しい資料を素早く作るための最大の秘訣です。
まとめ
Wordの「テーマ」機能を使って、文書全体の色、フォント、図形の効果を一括で変更し、統一感のあるデザインに仕上げる方法について解説しました。
「デザイン」タブからテーマを選ぶだけで、プロがデザインした配色のセットが文書全体に適用され、見栄えが劇的に向上します。
「配色」や「フォント」ボタンから要素を個別にカスタマイズして自社のオリジナルカラーを登録しておけば、ブランドイメージに沿った資料作成が非常に効率化されます。
ただし、この一括変更の恩恵を受けるためには、文字の色づけに「テーマの色」パレットを使用し、見出しには必ず「スタイル」を適用しておくというWordの基本ルールを守ることが必須条件となります。
手作業によるバラバラなデザイン修正から卒業し、テーマとスタイルを組み合わせた、後からの変更に強く洗練された文書作成を実践してみてはいかがでしょうか。