今回は、Excelのピボットテーブルで「スライサー」機能を使用して、大量のデータを直感的に絞り込み(フィルタリング)し、見やすいダッシュボードを作成する方法について紹介します。
スライサーとは何か
Excelのピボットテーブルは、何万行もある売上データなどを「支店別」や「月別」に瞬時に集計してくれる非常に強力なツールです。
しかし、集計された表の中から「東京支店だけのデータを見たい」「さらに1月と2月のデータだけに絞り込みたい」といった場合、通常はピボットテーブルの「レポートフィルター」領域を使ったり、行ラベルの横にある小さな矢印(フィルターボタン)をクリックしてチェックボックスをオン・オフしたりする必要があります。
この従来のフィルター操作は、「現在どの条件で絞り込まれているのかが一目でわかりにくい」「複数の条件を切り替えるのに何度もクリックが必要で面倒」という欠点がありました。
この課題を解決し、フィルター操作を劇的に使いやすく、かつ視覚的にわかりやすくしたのが「スライサー」機能です。
スライサーは、ピボットテーブルの横に配置される「リモコンのボタン」のようなもので、項目(東京、大阪など)が書かれた大きなボタンをクリックするだけで、連動してピボットテーブルの集計結果が瞬時に切り替わります。
現在選択されているボタンには色がつくため、どのような条件でデータを見ているのかが誰の目にも明らかになり、プレゼンテーション用や上司への報告用のインタラクティブなダッシュボードを作成する際に必須の機能となっています。
スライサーを挿入してデータを絞り込む基本的な手順
すでに作成済みのピボットテーブルに対して、スライサーを追加し、実際に操作してデータを切り替える手順を解説します。
スライサーの挿入方法
まずは、作成済みのピボットテーブル内の任意のセルをクリックして選択状態にします。
すると、リボンに「ピボットテーブル分析(またはオプション)」タブが表示されるので、その中の「フィルター」グループにある「スライサーの挿入」ボタンをクリックします。
「スライサーの挿入」ダイアログボックスが開くと、元のデータ表に含まれているすべての見出し項目(列名:支店、担当者、月、商品カテゴリなど)がチェックボックス付きで一覧表示されます。
この中から、絞り込みのボタンとして使いたい項目(例えば「支店」と「月」の2つ)にチェックを入れて、「OK」をクリックします。
スライサーウィンドウの配置と基本操作
「OK」をクリックすると、ワークシート上に「支店」と「月」の2つの四角いウィンドウ(スライサー)が出現し、その中に「東京」「大阪」や「1月」「2月」といった項目がボタンとして並んでいます。
これらのスライサーは図形や画像と同じように、ドラッグして好きな場所に移動させたり、四隅の丸いハンドルを引っ張ってサイズを変更したりできるため、ピボットテーブルの横や上に邪魔にならないように配置します。
操作は非常に直感的です。「支店」スライサーの中の「東京」ボタンをクリックすると、瞬時にピボットテーブルの集計結果が東京支店だけのデータに切り替わります。
さらに「月」スライサーの「1月」ボタンをクリックすると、「東京支店の1月」という2つの条件が掛け合わされた(AND条件)データに絞り込まれます。
選択されたボタンは濃い色でハイライトされるため、現在のフィルター状態が一目瞭然です。
複数選択とフィルターのクリア
「東京支店と大阪支店の両方のデータを合計して見たい」というように、複数の項目を同時に選択したい場合は、キーボードの「Ctrl」キーを押しながら「東京」と「大阪」のボタンを順番にクリックします。
または、スライサーの右上にある「複数選択(チェックマークが3つ並んだアイコン)」ボタンをオンにしてから項目をクリックしていくことでも複数選択が可能です。
絞り込みを解除して元の「すべてのデータ」に戻したい場合は、スライサーの右上にある赤い「×」印がついた漏斗のアイコン(フィルターのクリア)をクリックするだけで、一瞬で全表示にリセットされます。
複数のピボットテーブルを1つのスライサーで連動させる
スライサーの真骨頂は、1つのワークシート上に複数のピボットテーブル(例えば「支店別の売上表」と「担当者別の売上表」)やピボットグラフを配置している場合に、それらを1つのスライサーで一斉に連動して動かせる点にあります。
レポートの接続(ピボットテーブルの接続)設定
デフォルトの状態では、挿入したスライサーは「スライサーを挿入したときに選択していた1つのピボットテーブル」としか連動していません。
これを他のピボットテーブルとも連動させるには、「レポートの接続」という設定を行います。
連動させたいスライサー(例えば「月」のスライサー)をクリックして選択します。
リボンに表示される「スライサー」タブを開き、「スライサーの接続(またはレポートの接続)」ボタンをクリックします。
すると、同じブック内に存在する(かつ同じデータソースから作成された)すべてのピボットテーブルのリストが表示されます。
ここで、連動させたいピボットテーブルのチェックボックスをすべてオンにして「OK」をクリックします。
これで設定は完了です。「月」スライサーで「4月」のボタンをクリックすると、画面上にある「支店別の売上表」も「担当者別の売上表」も、それに紐づくグラフもすべてが一斉に「4月」のデータに切り替わる、非常にダイナミックなダッシュボードが完成します。
スライサーのデザインとレイアウトのカスタマイズ
ダッシュボードとして見栄えを良くするために、スライサーの見た目やボタンの並び方をカスタマイズします。
列数の変更による横並び配置
デフォルトのスライサーは、項目が縦に1列に並んだ縦長のデザインになっています。
項目数が多い場合はこれで良いのですが、「四半期(第1〜第4)」のような4つしかない項目を画面の上部にスッキリと配置したい場合は、ボタンを横並びに変更します。
スライサーを選択し、「スライサー」タブの右側にある「ボタン」グループに注目します。
ここにある「列」の数値を「1」から「4」に変更すると、スライサー内のボタンが4列(横に4つ並んだ状態)に再配置されます。
あとはスライサー自体の枠の横幅を広げ、高さを狭く調整すれば、画面上部にフィットする美しいメニューボタンに生まれ変わります。
スライサースタイルの適用
「スライサー」タブの「スライサースタイル」ギャラリーを開くと、青、緑、オレンジなど様々なカラーバリエーションのテンプレートが用意されています。
ピボットテーブルやグラフの色使い、企業のコーポレートカラーに合わせてスライサーの色を変更することで、レポート全体の統一感とプロフェッショナルさが増します。
また、項目の中に「データなし(その条件に該当するデータが存在しない)」のボタンが薄い色で残ってしまい邪魔な場合は、スライサーを右クリックして「スライサーの設定」を開き、「データが含まれないアイテムを視覚的に示す」のチェックを外すことで、無効なボタンを非表示にしてスッキリさせることができます。
まとめ
Excelのピボットテーブルで「スライサー」機能を使用して、データを視覚的に絞り込み、ダッシュボードを作成する方法について解説しました。
「ピボットテーブル分析」タブからスライサーを挿入するだけで、小さなチェックボックスに頼っていた従来のフィルター操作から解放され、直感的なボタン操作によるプレゼンテーション性の高い集計表を作ることができます。
特に「レポートの接続」を使って複数のピボットテーブルやグラフを1つのスライサーで連動させるテクニックは、経営層向けの見やすいレポート画面(ダッシュボード)を構築する上で欠かせないスキルです。
ボタンの列数を変更して横並びにしたり、色をカスタマイズしたりすることで、Excelの機能とは思えないほど洗練されたインタラクティブな資料へと進化します。
大量のデータを様々な切り口で素早く分析し、結果を相手にわかりやすく伝えるために、ぜひスライサー機能をマスターしてみてはいかがでしょうか。