【PowerPoint】アクセシビリティを意識した資料作成のコツ

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今回は、PowerPointのアクセシビリティを意識し、読み上げや見分けやすさへ配慮した資料を作るコツを紹介します。

PowerPointにおけるアクセシビリティとは

アクセシビリティとは、視覚、聴覚、身体の状態や利用環境にかかわらず、情報へアクセスしやすくする考え方です。PowerPointでは、文字の読みやすさ、色の区別、画像の代替テキスト、読み上げ順序、動画の字幕などが関係します。
アクセシビリティへの配慮は、特定の人だけのためではありません。小さな画面で見る人、音を出せない場所にいる人、投影された文字を遠くから読む人、資料を短時間で確認する人にも役立ちます。
見た目を整えるだけでなく、スライド内の情報構造を正しく作ることが重要です。視覚表現が使えない状況でも内容を理解できるかという視点で確認します。

アクセシビリティチェックを使う

PowerPointには、資料内のアクセシビリティ上の問題を確認する機能があります。「校閲」タブやファイル情報の画面からチェックを実行すると、問題、警告、確認事項などが一覧に表示されます。
指摘項目を選ぶと、該当するスライドやオブジェクトへ移動し、修正方法の案内を確認できます。代替テキストがない画像、読み上げ順序、色のコントラストなどを探す手掛かりになります。
自動チェックだけですべてを判断することはできません。図の説明が内容を正しく表しているか、文章が理解しやすいか、発表中の説明が十分かは人が確認します。作成の最後だけでなく、途中から定期的に実行すると修正を分散できます。

スライドタイトルを設定する

各スライドには、内容を示す固有のタイトルを設定します。読み上げソフトの利用者は、タイトルを手掛かりにスライド間を移動できます。作成者にとっても、一覧表示や共同編集で目的ページを見つけやすくなります。
同じタイトルが続く場合は、「申請手順 1」「申請手順 2」のように違いを示します。「続き」だけでは、単独で表示されたときに内容を判断できません。
画面上にタイトルを見せたくないデザインでも、タイトル用プレースホルダーをスライド外へ移すなど、読み上げ用のタイトルを保持する方法があります。単なるテキストボックスではなく、レイアウトのタイトル領域を使うと構造として認識されやすくなります。

文字を読みやすくする

本文の文字サイズは、投影距離や閲覧端末を考慮して決めます。小さな文字を詰め込むより、内容を複数スライドへ分けます。細い書体、装飾の多い書体、すべて大文字の長文は読みづらくなることがあります。
行間と段落間隔を確保し、一行を長くしすぎないようにします。文章を中央揃えにすると行頭がばらつくため、長い本文は左揃えを基本にします。
背景画像の上へ文字を置く場合は、半透明の帯や単色の領域を敷き、文字とのコントラストを保ちます。文字の内容だけでなく、読むための十分な大きさと余白を確保することが大切です。

色だけで情報を伝えない

赤は重要、緑は完了というように色だけで状態を示すと、色の違いを認識しにくい人や白黒印刷した人へ意味が伝わらない場合があります。
色に加えて、「重要」「完了」などの文字、記号、枠線、模様を使います。グラフでは系列名を線の近くへ直接表示し、凡例と色だけを照合しなくても分かるようにします。線種やマーカー形状も変えると区別しやすくなります。
配色は、文字と背景の明暗差を確認します。薄い灰色の文字、淡い色同士の組み合わせ、写真内の明暗が変わる場所への文字配置は避けます。アクセシビリティチェックの指摘と実際の投影結果を合わせて確認します。

画像へ代替テキストを付ける

代替テキストは、画像や図形の内容や目的を文章で説明する情報です。読み上げソフトは、画像そのものを見る代わりに代替テキストを読み上げます。
画像を選択し、代替テキストの編集画面から説明を入力します。「画像」「写真」といった種類だけではなく、「申請から承認までの三段階を右向き矢印で示した図」のように、スライドで伝えたい内容を記載します。
周囲の本文と同じ説明を繰り返す必要はありません。画像内のすべてを細かく描写するのではなく、なぜその画像が置かれているかを伝えます。装飾目的で情報を持たない画像は、装飾としてマークできる場合があります。

複雑な図やグラフを説明する

グラフの代替テキストだけで、すべての数値や傾向を説明するのは難しいことがあります。スライド本文やノートに、読み取るべき結論と必要なデータを文章で示します。
「売上が増加」のような曖昧な表現だけでなく、どの期間や系列を比べて何が分かるのかを説明します。ただし、資料の要件に従い、不要な数値を並べるのではなく、伝える判断に必要な情報へ絞ります。
工程図や組織図では、読み上げ順序が視覚的な順序と一致するとは限りません。複雑なSmartArtだけへ情報を置かず、同じ内容を箇条書きでも示すと理解しやすくなります。

オブジェクトの読み上げ順序を整える

読み上げソフトは、スライド上の位置だけでなく、オブジェクトの順序に基づいて内容を読みます。タイトル、本文、画像説明、注記の順に読まれるよう、選択ウィンドウや読み上げ順序の確認機能で調整します。
後から追加したテキストボックスが先に読まれるなど、見た目と順序が一致しないことがあります。各スライドを作り終えた段階で確認します。
装飾図形や背景要素が読み上げ対象になると、内容理解を妨げます。背景へ移す、装飾として扱う、スライドマスターへ配置するなど、情報を持つオブジェクトと分けます。

プレースホルダーとレイアウトを活用する

PowerPointの組み込みレイアウトには、タイトルや本文の構造が用意されています。空白スライドへテキストボックスを個別に並べるより、プレースホルダーを使うほうが読み上げ順序や文書構造を保ちやすくなります。
スライドマスターでアクセシブルなレイアウトを作り、タイトル位置、本文サイズ、配色を統一すると、各ページで修正する手間を減らせます。
レイアウト変更後は、既存のオブジェクトがプレースホルダーへ正しく収まっているか確認します。位置だけを合わせても、構造としては別のテキストボックスのままの場合があります。

リンク文字を分かりやすくする

「こちら」「詳細」といったリンク文字だけでは、リンク先を単独で読み上げたときに目的が分かりません。「申請手順を開く」「製品仕様ページ」のように、移動先や動作が伝わる表現を使います。
URLをそのまま長く表示すると読み上げにくく、画面も煩雑になります。表示文字へ意味のある名称を付け、必要ならノートや配布資料へURLを記載します。
リンク先が外部Webサイト、別ファイル、資料内ページのどれかによって動作が異なります。発表端末や配布後のPDFでリンクが利用できるか確認します。

動画と音声へ代替手段を用意する

動画に音声説明や会話がある場合は、字幕を用意します。音を出せない環境や聞き取りにくい利用者でも内容を追えます。自動生成した字幕を使う場合は、固有名詞や専門用語の誤りを確認します。
映像だけで重要な変化を示す場合は、音声でも説明するか、スライド内に要点を文章で示します。逆に、音声だけで伝える情報は、字幕や文字起こしを用意します。
自動再生される音は、利用者が止められるようにします。発表中に再生する場合は、再生前に動画の目的を説明し、終了後に要点を補足します。

確認時のチェックリスト

  • 各スライドに内容を示す固有のタイトルがあるか
  • 文字と背景に十分な明暗差があるか
  • 色だけで状態や分類を示していないか
  • 情報を持つ画像へ適切な代替テキストがあるか
  • タイトルから本文へ自然な順序で読み上げられるか
  • 動画や音声に字幕や文字による補足があるか

完成前にはアクセシビリティチェックを実行し、スライドショー、白黒表示、PDF出力など複数の形で確認します。可能であれば、作成者以外の人に操作してもらうと、説明不足や読みにくい箇所を見つけやすくなります。

まとめ

PowerPointのアクセシビリティを整えるには、固有のスライドタイトル、読みやすい文字、色以外の識別方法、画像の代替テキスト、自然な読み上げ順序などを確認します。動画や音声には、字幕や文字による代替情報を用意します。
組み込みレイアウトとスライドマスターを活用すると、構造とデザインを統一しやすくなります。自動チェックで問題候補を探し、最後は人が内容と操作を確認します。情報を一つの感覚や表現方法だけに頼らず、複数の方法で伝えることが、利用しやすい資料を作る基本です。