今回は、Wordの画像に代替テキストを設定し、アクセシビリティに配慮した文書にする方法を紹介します。
代替テキストが必要な理由
Word文書に画像、図、アイコン、グラフを入れると、内容を視覚的に伝えやすくなります。ただし、画像だけで情報を伝えていると、画面読み上げを使う人や画像が表示されない環境では内容が伝わりにくくなります。
代替テキストは、画像が何を表しているかを文字で説明する情報です。アクセシビリティを高めるためだけでなく、文書をPDF化した後の確認や、共同編集時の意図共有にも役立ちます。重要なのは、画像を飾りとして説明するのではなく、読み手に必要な意味を言葉にすることです。
代替テキストを書く前に考えること
代替テキストは、すべての画像に長く書けばよいものではありません。画像の役割によって、書く内容を変える必要があります。
情報を持つ画像か判断する
まず、その画像が文書の理解に必要かを考えます。操作手順の画面キャプチャ、組織図、フロー図、比較表、注意を示すアイコンなどは、情報を持つ画像です。代替テキストで内容や意味を説明する必要があります。
一方、見た目を整えるためだけの飾り画像は、説明しすぎるとかえって読み上げの妨げになります。装飾目的であれば、装飾として扱う設定を使うか、簡潔な説明にとどめます。
本文と重複しすぎないようにする
画像の内容が本文ですでに説明されている場合、代替テキストで同じ文章を繰り返す必要はありません。読み手に必要な補足だけを入れると、文書全体が読みやすくなります。
たとえば、本文で「申請から承認までの流れは、入力、確認、承認、完了の順です」と書いているなら、図の代替テキストは「申請手順を4段階で示したフロー図」のように短くできます。
Wordで代替テキストを設定する流れ
Wordでは、画像を選択して代替テキストの編集画面を開き、説明を入力できます。右クリックメニューや図の書式設定から操作できる場合があります。
- 画像や図形を選択する
- 代替テキストの編集画面を開く
- 画像の意味を短く説明する
- 装飾画像かどうかを確認する
- アクセシビリティチェックで見落としを見る
設定後は、文書全体の流れの中で説明が自然か確認します。画像だけを見て説明を書くと、本文との関係が弱くなることがあります。見出しや前後の文章を読み、必要な情報に絞って書くと扱いやすくなります。
よい代替テキストの考え方
代替テキストは、画像の見た目を細かく描写するより、読み手が知るべき意味を伝えることを優先します。たとえば、赤い丸や青い矢印の位置より、その印が何を示しているかを書くほうが役立つ場合があります。
- 操作画面: どのボタンや項目を選ぶかを書く
- フロー図: 手順の流れや分岐を書く
- グラフ: 伝えたい傾向を言葉にする
- アイコン: 注意、確認、完了などの意味を書く
- 写真: 文書上の役割に関係する内容を書く
長い説明が必要な図は、代替テキストだけに詰め込まず、本文や図の下に説明を追加する方法もあります。代替テキストは入口として使い、読み手が必要な情報にたどり着けるようにします。
アクセシビリティチェックで確認する
Wordにはアクセシビリティチェックの機能があります。代替テキストが入っていない画像や、読み取りにくい要素がないかを確認できます。
指摘を確認して必要なものだけ直す
アクセシビリティチェックで指摘が出たら、画像の役割を見て修正します。すべての指摘に同じ対応をするのではなく、情報を持つ画像には説明を入れ、装飾画像は装飾として扱うなど、役割に合わせて判断します。
表や図形を組み合わせて作った図は、読み上げ順が分かりにくくなることがあります。必要に応じてグループ化し、代替テキストで図全体の意味を説明すると、読み手に伝わりやすくなります。
PDF化する前にも確認する
Word文書をPDFに変換する場合も、代替テキストの確認は重要です。提出用PDFでは、後から修正しにくくなることがあります。PDF化の前にアクセシビリティチェックを実行し、画像説明、見出し構造、表の見出しなどを確認しておくと安心です。
特に外部提出の資料では、画像の説明が不足していると、読み手によって理解に差が出ることがあります。画像だけで重要情報を伝えないことを意識すると、文書の使いやすさが上がります。
代替テキストで避けたい書き方
代替テキストでは、不要な言葉を減らすことも大切です。「画像」「写真」「図」などの言葉は状況によって省けます。読み上げ環境では画像であることが伝わる場合もあるため、説明の中心は内容に置きます。
また、「上記のとおり」「こちらを参照」のような位置だけに頼る表現は避けます。画面の見え方や読み上げ順によって、何を指すのか分かりにくくなるためです。具体的な項目名や手順名を入れると伝わりやすくなります。
画像の種類別に書き方を変える
代替テキストは、画像の種類によって書き方を変えると伝わりやすくなります。操作画面のキャプチャでは、画面全体の見た目より、読み手が実行する操作を説明します。「ファイルタブを開き、印刷を選ぶ画面」のように、行動につながる情報を入れると役立ちます。
組織図やフロー図では、要素の並びだけでなく関係を説明します。「申請者が入力し、承認者が確認し、管理者が完了処理を行う流れ」のように、順序や役割を書くと内容が伝わりやすくなります。図が複雑な場合は、本文側で補足説明を入れ、代替テキストは図の概要にとどめる方法もあります。
グラフでは、細かな数値をすべて書くより、文書で伝えたいポイントを説明します。ただし、統計値を使わない文書では、傾向や比較の表現も必要最小限にします。写真の場合は、写っているものを並べるだけでなく、その写真が資料内で何を示しているのかを考えて書きます。
共同編集時の確認項目に入れる
代替テキストは、見た目のレビューでは見落とされやすい項目です。共同編集で資料を作る場合は、提出前の確認リストに入れておくとよいです。画像を追加した人が代替テキストも入れる、最終確認担当がアクセシビリティチェックを見る、といった役割を決めると運用しやすくなります。
まとめ
Wordの代替テキストは、画像の内容を文字で伝えるための大切な設定です。操作画面、図解、グラフ、アイコンなど、文書の理解に必要な画像には、役割に合った説明を入れます。
代替テキストを書くときは、見た目を細かく並べるより、読み手に必要な意味を短く伝えることがポイントです。アクセシビリティチェックも使いながら、画像が見えなくても内容が伝わる文書に整えていきましょう。