今回は、PowerPointのプレゼンテーションをビデオとしてエクスポートし、動画ファイルとして保存・共有する方法を紹介します。説明の前提は、Windows版のPowerPoint(Microsoft 365)のデスクトップアプリです。古いバージョンでは一部の選択肢が異なるため、該当箇所で補足します。
プレゼンテーションを動画にするメリット
スライドを動画ファイルにしておくと、発表の場にいなかった人にも、発表者が意図した流れのまま内容を届けられます。主な利点は次のとおりです。
- PowerPointがインストールされていないパソコンでも再生できる
- アニメーションや画面切り替えを含めて動画にできる
- 記録したナレーションやレーザーポインターの動き、タイミングも反映できる
- スライドに埋め込んだビデオも、操作なしで再生される
研修資料や製品紹介、会議に参加できなかった人向けの共有など、「見るだけ」で伝わる形にしたい場面に向いています。
保存できる形式は、MPEG-4 ビデオ(.mp4)とWindows Media ビデオ(.wmv)です。どちらも広く使われている形式なので、相手の環境を細かく気にせず渡しやすくなります。
ビデオとしてエクスポートする手順
- [ファイル]→[保存]で、最新の内容をPowerPointプレゼンテーション形式(.pptx)で保存しておきます。
- [ファイル]→[エクスポート]→[ビデオの作成]を選びます。リボンの[記録]タブにある[ビデオにエクスポート]からも同じ画面を開けます。
- 1つ目のドロップダウンで、ビデオの品質(解像度)を選びます。
- 2つ目のドロップダウンで、記録したタイミングとナレーションを使うかどうかを選びます。
- [ビデオの作成]を選びます。
- ファイル名と保存先のフォルダーを指定し、ファイルの種類で[MPEG-4 ビデオ]または[Windows Media ビデオ]を選んで保存します。
作成の進み具合は、画面下部のステータスバーに表示されます。動画の作成中もPowerPointは使えるので、待っている間に別の作業を進められます。
ビデオの品質を選ぶコツ
品質のドロップダウンでは、次の4つから選べます。品質が高いほどファイルサイズは大きくなります。
- Ultra HD(4K):3840×2160。大型モニターでの表示向け。Windows 10以降で利用でき、PowerPoint 2016のボリュームライセンス版では選べません。
- フル HD(1080p):1920×1080。パソコンの画面やHD画面での視聴向け。
- HD(720p):1280×720。インターネットでの配信などに向いた中程度のサイズ。
- 標準(480p):852×480。ファイルサイズが最も小さく、ポータブルデバイス向け。
迷ったときは、視聴する画面の大きさと、受け渡しの方法を基準に考えると選びやすくなります。メールに添付するなど容量に制限がある場合は低めの品質から試し、文字が読みにくければ一段上げる、という順で調整すると無駄がありません。小さな文字や細かな図表が多いスライドは、低い解像度だと読みにくくなることがあるため、書き出した後に実際の視聴環境で確認しておきましょう。
スライドの表示時間とナレーションの扱い
2つ目のドロップダウンは、ナレーションやタイミングを記録しているかどうかで既定値が変わります。
- 記録していない場合:既定は[記録されたタイミングとナレーションを使用しない]です。各スライドの表示時間は既定で5秒で、[各スライドの所要時間(秒)]の矢印で長さを変えられます。
- タイミングを設定したナレーションを記録している場合:既定は[記録されたタイミングとナレーションを使用する]です。
一律の秒数で足りるかを見直す
所要時間はすべてのスライドに同じ秒数が使われます。文字の多いスライドと写真1枚のスライドが混在していると、読み終わらないうちに次へ進んだり、逆に間延びしたりしがちです。スライドごとに見せる時間を変えたい場合は、事前にタイミングやナレーションを記録してから、[記録されたタイミングとナレーションを使用する]で書き出すと、意図したテンポの動画にしやすくなります。
動画に含まれないものに注意する
PowerPointで作成したビデオには、次の要素は含まれません。
- 以前のバージョンのPowerPointで挿入されたメディア(リンク形式のメディアはエクスポート時に除かれます)
- QuickTimeメディア(互換性のための条件を満たす場合を除く)
- マクロ
- OLE/ActiveXコントロール
古いファイルを流用している場合は、[ファイル]→[情報]の[変換]で新しいファイル形式に変換するか、メディアを右クリックしてアップグレードすると、メディアが埋め込まれてビデオに含められるようになります。書き出した動画は最後まで一度再生し、音声や動画が抜けていないか確認することをおすすめします。
作成時間を見込んでおく
動画の作成にかかる時間は、プレゼンテーションの長さや、アニメーション・画面切り替え・メディアの量によって変わり、長いものでは数時間かかることもあります。提出や配信の期限があるときは余裕を持って書き出しを始め、長い動画は作業の終わりに作成を開始しておく、といった段取りにすると安心です。
動画にしない選択肢:PowerPoint スライド ショー(.ppsx)
相手もPowerPointを使える環境なら、[ファイル]→[名前を付けて保存]で、ファイルの種類を[PowerPoint スライド ショー(*.ppsx)]にして保存する方法もあります。このファイルを開くと、編集画面ではなくスライドショーが全画面ですぐに始まります。動画よりファイル作成の手間が少ないため、受け取る側の環境に合わせて使い分けるとよいでしょう。
まとめ
PowerPointのプレゼンテーションは、[ファイル]→[エクスポート]→[ビデオの作成]から、mp4またはwmvの動画として保存できます。
- 書き出す前に.pptx形式で保存しておく
- 品質は視聴環境と受け渡し方法を基準に選ぶ
- 記録がなければ各スライドは既定で5秒。テンポを整えたいときはタイミングやナレーションを記録する
- マクロやOLE/ActiveXコントロールなど、動画に含まれない要素があるので書き出し後に再生して確認する
- 相手がPowerPointを使えるなら、.ppsx形式での共有も選択肢になる
発表の内容を動画にしておけば、時間や場所を問わず同じ説明を届けられます。資料の共有方法の一つとして試してみてください。