今回は、PowerPointの動作設定ボタンを使って、スライドショー中のスライド移動を思い通りに操作する方法を紹介します。
対象は、Windows版のPowerPointデスクトップアプリ(Microsoft 365など)です。Microsoftのサポート情報によると、PowerPoint for the web(Web版)では現在アクションボタンを追加できないため、作成はデスクトップアプリで行ってください。なお、バージョンによって画面上の表記が「動作設定ボタン」「アクションボタン」「アクションの設定」などと異なる場合があります。本記事では「動作設定ボタン」と呼んで説明します。
動作設定ボタンとは
動作設定ボタンは、スライドショーの実行中にクリックしたり、マウスポインターを重ねたりしたときに、あらかじめ決めておいた動作を実行する図形です。主に次のような動作を割り当てられます。
- 次のスライド、前のスライド、最初のスライド、最後のスライドへの移動
- 指定したスライドへのジャンプ
- 別のPowerPointプレゼンテーションやWebページ、ほかのファイルへのリンク
- サウンドの再生
通常のスライドショーは1枚ずつ順番に進みますが、動作設定ボタンを配置すると、目次から各章へ移動したり、補足資料のスライドに寄り道してから元の位置に戻ったりと、順番にとらわれない進め方ができるようになります。
動作設定ボタンを追加する基本手順
- ボタンを配置したいスライドを選択します。
- [挿入]タブの[図形]を選択し、一覧の一番下にある[動作設定ボタン](アクションボタン)から、使いたいボタンの形を選びます。
- スライド上でドラッグして、ボタンを好きな大きさで描きます。
- [オブジェクトの動作設定](アクションの設定)ダイアログボックスが開くので、[マウスのクリック]タブか[マウスの通過](マウスオーバー)タブを選びます。
- [ハイパーリンク]を選び、一覧から移動先(次のスライド、最後のスライドなど)を指定して、[OK]を選択します。
ボタンの形には、右向き・左向きの矢印や、最初・最後へ移動することを表す記号など、一般的に意味が伝わりやすいデザインが用意されています。形を選ぶと、それに合った動作が最初から設定されている場合が多いので、内容を確認して必要に応じて変更するだけで使えます。
[マウスのクリック]と[マウスの通過]の違い
[マウスのクリック]は、ボタンをクリックしたときに動作します。[マウスの通過]は、ポインターをボタンに重ねただけで動作します。
スライド移動に使う場合は、[マウスのクリック]を基本にするのがおすすめです。[マウスの通過]は操作が少なくて済む反面、説明中にポインターがたまたまボタンの上を通っただけでスライドが切り替わってしまうことがあります。効果音を鳴らすなど、誤って動いても進行に影響しにくい動作に限定して使うと安心です。
特定のスライドへ移動させる設定
目次スライドから各章の先頭へジャンプさせたいときは、移動先として特定のスライドを指定します。
- ボタンを描いたあと、[オブジェクトの動作設定]ダイアログボックスで[ハイパーリンク]を選択します。
- 一覧から[スライド]を選びます。
- 表示されるスライドの一覧から、移動先のスライドを選んで[OK]を選択します。
- もう一度[OK]を選択して設定を完了します。
目次スライドと「戻る」ボタンを組み合わせる
質疑応答や時間調整がある発表では、次のような構成にしておくと進行が楽になります。
- 目次スライドに、各章の先頭スライドへ移動するボタンを並べる
- 各章の最後のスライドに、目次スライドへ戻るボタンを置く
- 補足資料のスライドには、本編の該当スライドへ戻るボタンを置く
この形にしておくと、聞き手の関心に合わせて説明する章の順番を入れ替えたり、質問に応じて補足資料を見せてからすぐ本編に戻ったりできます。
図や好きな図形に動作を割り当てる
動作設定ボタンの見た目が資料のデザインに合わない場合は、挿入した図(画像)や図形に同じような動作を割り当てることもできます。
- 図や図形をスライドに挿入し、選択します。
- [挿入]タブの[リンク]グループにある[動作]を選択します。
- [オブジェクトの動作設定]ダイアログボックスで、[マウスのクリック]または[マウスの通過]を選びます。
- [ハイパーリンク]から移動先を指定し、[OK]を選択します。
アイコン画像や角丸四角形に「目次へ」「次へ」などの文字を入れたボタンを作ると、資料全体のデザインに統一感を持たせながらナビゲーションを追加できます。なお、SmartArtグラフィックの場合は、個々の図形ではなく図形内のテキストに対して動作を割り当てる仕様になっています。
ボタンの見た目を整えるコツ
動作設定ボタンも図形の一種なので、塗りつぶしの色や枠線、サイズを通常の図形と同じように変更できます。次の点を意識すると、操作しやすく見やすいボタンになります。
- 配置する位置をそろえる:「次へ」は右下、「戻る」は左下など、全スライドで同じ位置に置くと、発表者も迷わずに操作できます。
- クリックしやすい大きさにする:小さすぎると、スライドショー中に狙ってクリックしにくくなります。
- 色は資料のテーマに合わせる:目立たせすぎると内容より目を引いてしまうため、控えめな色でまとめると落ち着いた印象になります。
動作設定ボタンを効率よく使うためのヒント
同じボタンはコピーして使い回す
動作を設定したボタンをコピーしてほかのスライドに貼り付けると、設定された動作も一緒に引き継がれます。「目次へ戻る」のように複数のスライドで同じ動作を使う場合は、1つ作ってからコピーすると手早く配置できます。
全スライドに表示したいならスライドマスターに置く
すべてのスライドに同じボタンを表示したい場合は、[表示]タブの[スライドマスター]を開き、マスターやレイアウトにボタンを配置する方法もあります。スライドを追加しても自動でボタンが表示されるため、貼り付け忘れを防げます。
設定後は必ずスライドショーで動作を確認する
動作設定ボタンは、編集画面ではクリックしても動作しません。設定が終わったら、[スライドショー]タブの[現在のスライドから]を選び、実際にボタンをクリックして移動先が正しいかを確認します。スライドの追加や削除、並べ替えをしたあとも、移動先がずれていないか確認しておくと、本番で慌てずに済みます。
効果音は控えめに使う
[オブジェクトの動作設定]ダイアログボックスの[サウンドの再生]をオンにすると、ボタン操作に合わせて音を鳴らせます。クイズ形式の資料などでは場を盛り上げる演出になりますが、ビジネスの発表では多用すると気が散る原因になるため、必要な場面に絞って使うのがおすすめです。
プログラムやマクロの実行は用途を限定する
動作には[プログラムの実行]や[マクロの実行]もありますが、マクロを使う場合はマクロ有効形式で保存する必要があり、受け取った側の環境やセキュリティ設定によっては動作しないこともあります。発表資料として配布する場合は、スライド移動やリンクなど、どの環境でも扱いやすい動作を中心に使うと安心です。
まとめ
PowerPointの動作設定ボタンを使うと、スライドショー中のスライド移動を自由に組み立てられます。
- [挿入]タブの[図形]から[動作設定ボタン]を選び、ドラッグして描く
- [マウスのクリック]で移動先を設定するのが基本で、[マウスの通過]は誤操作に注意する
- [ハイパーリンク]の[スライド]で、目次から各章へのジャンプや「戻る」ボタンを作れる
- 図や図形にも[挿入]タブの[動作]で同じように動作を割り当てられる
- Web版ではボタンを追加できないため、作成はデスクトップアプリで行い、仕上げにスライドショーで確認する
目次スライドと「戻る」ボタンの組み合わせから取り入れると、発表の進め方に柔軟さが加わります。次の資料作成で試してみてください。