今回は、EXCEL(エクセル)のスキルを証明する国際資格「Microsoft Office Specialist Excel」(通称MOS Excel)について紹介します。
就職・転職活動や業務効率化に役立つこの資格の概要、試験内容、取得メリット、効果的な勉強法まで解説します。
Microsoft Office Specialist Excelとは
Microsoft Office Specialist(MOS)は、マイクロソフト社が公式に認定する国際資格で、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの Microsoft Office製品の操作スキルを証明するものです。その中でも、「MOS Excel」はExcelの利用スキルに特化した資格として、ビジネスパーソンを中心に高い人気を誇っています。
2024年7月時点での累計受験者数は514万人を超え、10代から50代以上まで幅広い世代から支持されています。実施基準が世界約200ヶ国で同一であるため、国内外問わずスキルを証明できる点も大きな特徴です。
レベル分け
MOS Excelには、主に以下の2つのレベルが設定されています。
- 一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト):基本的な操作スキルを証明するレベルです。普段よく利用される機能が中心で、初心者でも学習次第で合格を目指せます。
- 上級レベル(エキスパート):より高度な機能の活用スキルを証明するレベルです。ピボットテーブル、高度な関数、データ分析などが出題範囲となります。
バージョンについて
Microsoft Office製品は定期的にバージョンアップされるため、MOS資格もそれに合わせて試験内容が更新されます。2025年現在、主に提供されているのは以下のバージョンです。
- Microsoft 365 Apps(最新版)
- Excel 2019
- Excel 2016
資格を取得する際は、職場や学校で使用しているバージョンに合わせて選択するとよいでしょう。最新バージョンの資格を取得しておけば、より広く活用できます。
MOS Excel試験の内容と形式
MOS Excelの試験は実技形式で行われ、実際にExcelを操作しながら課題をこなしていきます。基本的な知識だけでなく、実践的なスキルが問われる点が特徴です。
試験形式
試験は、パソコンを使用した実技試験です。試験時間は50分間で、与えられた課題に沿ってExcelファイルを操作・編集していきます。2016年以降のバージョンでは「マルチプロジェクト形式」が採用されており、複数の大問から構成されています。
試験終了後すぐに合否結果と点数が表示されるため、その場で結果を知ることができます。合格基準は科目ごとに異なりますが、一般的には700点以上(1000点満点)が合格ラインとされています。
一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト)の出題範囲
一般レベルでは、Excelの基本的な操作スキルが問われます。主な出題範囲は以下の通りです。
- ワークシートとブックの作成・管理
- セルやセル範囲のデータ管理
- テーブルの作成
- 数式や関数の適用(SUM、AVERAGE、IFなどの基本関数)
- グラフやオブジェクトの作成
上級レベル(エキスパート)の出題範囲
エキスパートレベルでは、より高度なExcelの機能に関する知識と操作スキルが問われます。主な出題範囲は以下の通りです。
- ワークシート・ブックのデータ管理と高度な書式設定
- 高度な関数の使用(VLOOKUP、INDEX&MATCH、IF関数の応用など)
- データの分析(ピボットテーブル、ピボットグラフ、複合グラフなど)
- 条件付き書式の高度な活用
- データの入力規則と検証
MOS Excel資格取得のメリット
MOS Excel資格を取得することで、以下のようなメリットを得ることができます。
1. スキルの客観的証明
「Excelが使える」と言っても、どの程度のスキルがあるのかを伝えるのは難しいものです。MOS資格があれば、国際的に認められた基準でスキルレベルを証明できます。特に就職・転職活動において、自分のスキルを客観的にアピールする材料となります。
2. 実務で役立つスキルの習得
MOS試験の勉強過程で、業務効率化に直結するExcelの機能や使い方を体系的に学ぶことができます。これにより、日常業務での作業効率が大幅に向上します。特にエキスパートレベルでは、ピボットテーブルやマクロなど、データ分析や処理の自動化に役立つ高度なスキルを習得できます。
3. キャリアアップのチャンス
多くの企業でMOS資格は評価され、昇進や昇給の査定材料として活用されることもあります。特にエキスパート資格は、専門的なスキルを持つ人材として高く評価されます。
4. 自信とモチベーションの向上
難易度の高い試験に合格することで得られる達成感は、自信とモチベーションの向上につながります。これが新たなスキル習得への意欲を生み、更なるキャリアアップの原動力となります。
MOS Excelの受験方法
MOS Excelを受験するには、以下の手順で進めます。
受験会場と申込み方法
全国約1,500か所の認定試験会場で受験可能です。試験形式には、以下の2種類があります。
- 随時試験:受験者が希望する日時に受験できる形式です。各試験会場が指定する日程から選択できます。
- 一斉試験:全国で同時に実施される試験で、通常は月1〜2回、日曜日に行われます。
申込みは、各試験会場に直接行います。パソコンスクールや教育機関が試験会場となっていることが多いので、最寄りの試験会場を探して申し込みましょう。
受験料
2025年5月1日からの受験料は以下の通りです(税込)。
- 一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト):12,980円
- 上級レベル(エキスパート):12,980円
持ち物
試験当日は、以下のものを持参します。
- 本人確認書類(マイナンバーカード(個人番号カード)、運転免許証、学生証、パスポートなど)
- 受験者IDとパスワード(予約確認メールのプリントアウトなど)、受験票
- 筆記用具
MOS Excel合格のための勉強法
MOS Excel試験に合格するための効果的な勉強法を紹介します。
独学で勉強する場合
独学でMOS Excelの勉強をする場合は、以下の方法が効果的です。
- 公式教材や市販の対策本を活用する:出題範囲を網羅した教材を使用し、体系的に学習しましょう。
- 模擬問題に取り組む:多くの対策本には模擬問題や模擬試験プログラムが付属しています。繰り返し解いて実践力を養いましょう。
- 実際に手を動かす:理論だけでなく、実際にExcelを操作しながら学ぶことが重要です。サンプルファイルを使って操作練習をしましょう。
パソコン教室や講座を利用する場合
より確実に合格を目指すなら、パソコン教室や通信講座の利用も検討しましょう。メリットは以下の通りです。
- プロの講師による指導:わからない点をその場で質問できます。
- 効率的な学習:試験対策に特化したカリキュラムで効率よく学べます。
- モチベーション維持:定期的に通うことで学習リズムが作りやすくなります。
おすすめの勉強時間
必要な勉強時間は個人のスキルレベルによって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト):約40〜80時間
- 上級レベル(エキスパート):約60〜120時間
日常的にExcelを使用している方であれば、より短い時間で準備できる場合もあります。
MOS Excelの難易度と合格率
MOS Excelの難易度と合格率について見ていきましょう。
一般レベル(アソシエイト/スペシャリスト)
一般レベルは、Excelの基本的な操作に慣れている方であれば、適切な学習をすれば合格できる難易度です。日常的にExcelを使用している方なら、短期間の集中学習で合格を目指せます。
合格率は公式には公表されていませんが、適切な対策を行えば高い確率で合格できるとされています。一般的には80%前後と言われています。
上級レベル(エキスパート)
エキスパートレベルは、一般レベルよりも難易度が高く、より高度な関数やデータ分析機能の理解が求められます。実務でExcelを頻繁に使用している方でも、試験対策のための学習が必要です。
合格率は一般レベルよりも低く、60%前後と言われています。ただし、十分な対策を行えば合格は可能です。
MOSの他の資格との関係
MOS資格には、Excel以外にもWordやPowerPointなど複数の科目があります。これらを組み合わせて取得することで、より幅広いスキルを証明できます。
MOSマスターとは
同一バージョンの複数のMOS資格を取得すると、「MOSマスター」の称号を得ることができます。具体的には以下の通りです。
- MOS Associate:一般レベル(アソシエイト)3科目以上に合格
- MOS Expert:MOS Associateに加え、上級レベル(エキスパート)2科目に合格
これらの称号を取得することで、より総合的なOfficeスキルを持つ人材として評価されます。
まとめ:MOS Excel資格の価値と活用法
MOS Excel資格は、Excelのスキルを客観的に証明できる国際的に認知された資格です。取得することで、就職・転職活動での強みになるだけでなく、実務でのスキル向上や業務効率化にも直結します。
特に今日のビジネス環境では、データ分析や効率的な情報処理の重要性が高まっており、Excelスキルの証明は大きな価値を持ちます。キャリアアップや業務効率化を目指す方には、チャレンジする価値のある資格です。
まずは自分の現在のスキルレベルを見極め、一般レベルから始めるか、直接エキスパートレベルを目指すかを検討しましょう。適切な教材や学習方法を選び、計画的に学習を進めて、合格を勝ち取りましょう。