現代のビジネスシーンにおいて、ワード(Word)とエクセル(Excel)はなくてはならないツールとなっています。
これらのスキルを証明する資格は、就職や転職、キャリアアップにおいて大きなアドバンテージとなります。
本記事では、ワードとエクセルに関する代表的な資格の種類、特徴、メリット、取得方法について解説します。
ワード・エクセルの資格が必要な理由
「パソコンの基本操作ができる方」「Word・Excelが使える方」といった応募条件は、多くの求人で見かける一般的な要件です。特にデジタル化が進む現代においては、ワードでの文書作成能力やエクセルでのデータ分析スキルは、業種を問わず求められる基本的な能力となっています。
しかし、「ワードやエクセルが使える」と言っても、その習熟度合いは人によって大きく異なります。資格を取得することで、自分のスキルレベルを客観的に証明できるだけでなく、体系的に学ぶことで業務効率化にも繋がります。また、資格勉強を通じて知らなかった機能や効率的な操作方法を学べるのも大きなメリットです。
MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)資格とは
MOS(Microsoft Office Specialist)は、マイクロソフト社が公式に認定する国際資格で、ワードやエクセルなどのOffice製品の操作スキルを証明するものです。世界共通の資格として高い信頼性を持ち、多くの企業で評価されています。
MOSの種類とレベル
MOSには以下の科目があります:
- Word(ワード)
- Excel(エクセル)
- PowerPoint(パワーポイント)
- Access(アクセス)
- Outlook(アウトルック)
WordとExcelについては、一般レベルの「アソシエイト」(旧スペシャリスト)と上級レベルの「エキスパート」の2つのレベルがあります。他の科目はアソシエイトレベルのみとなっています。また、これらの資格はOfficeのバージョン(365、2019、2016など)ごとに用意されています。
MOSのメリット
MOSを取得することで、以下のようなメリットがあります:
- 客観的なスキル証明:「Excelができます」と言うだけでなく、具体的なスキルレベルを示すことができます
- 実践的スキルの習得:試験対策を通じて実務で役立つ操作方法を学べます
- 国際的な通用性:世界共通の資格であるため、グローバル企業での評価も高いです
- 就職・転職活動での強み:履歴書に記載することで、即戦力としてのアピールポイントになります
MOS試験の特徴と受験方法
MOS試験は実技形式で、実際にWordやExcelを操作して出題される課題をこなします。試験時間は約50分で、随時試験(好きな日時に受験可能)と全国一斉試験があります。受験料は12,980円(学割価格:9,680円)です(2025年8月現在)。
試験対策としては、市販の対策本や模擬問題集を活用する方法、またはパソコン教室などでの講座を受講する方法があります。独学でも十分合格可能ですが、特に初めて受験する場合は試験形式に慣れるための練習が重要です。
日商PC検定とは
日商PC検定は、日本商工会議所が主催する公的資格で、ビジネスシーンでのパソコン活用能力を評価するものです。単なる操作スキルだけでなく、ビジネス文書の作成や業務データの活用など、実務に即した総合的な能力を測定します。
日商PC検定の種類とレベル
日商PC検定は、以下の3分野に分かれています:
- 文書作成(Word相当)
- データ活用(Excel相当)
- プレゼン資料作成(PowerPoint相当)
各分野は「Basic」「3級」「2級」「1級」の4つのレベルに分かれており、級が上がるほど難易度が高くなります。試験は「知識科目」と「実技科目」の2つから構成されています(Basicは実技のみ)。
日商PC検定のメリット
日商PC検定を取得することで得られるメリットは以下の通りです:
- 実務に直結したスキル評価:実際のビジネスシーンを想定した問題が出題されるため、実践的なスキルを証明できます
- 公的資格としての信頼性:日本商工会議所という公的機関が認定する資格であるため、国内企業での評価が高いです
- 総合的なIT活用能力の証明:ソフトの操作だけでなく、情報リテラシーや業務改善能力も評価されます
- キャリアアップへの貢献:資格手当や昇進・昇格の条件として採用している企業もあります
日商PC検定の特徴と受験方法
日商PC検定は、実務に即した出題形式が特徴です。例えば、データ活用(Excel)では、単なる関数の使い方だけでなく、与えられたデータから適切な分析・集計を行い、見やすい資料を作成する能力が問われます。
受験は全国の商工会議所やパソコン教室で可能で、1級は年2回(2月・10月)、その他のレベルは随時受験可能です。受験料は2025年時点でレベルによって異なり、Basic:4,400円、3級:5,500円、2級:7,700円、1級:11,000円となっています(2025年8月現在)。
情報処理技能検定試験(表計算)とは
情報処理技能検定試験(表計算)は、日本情報処理検定協会が実施する資格で、主に表計算ソフト(Excel等)の操作技術を評価するものです。学校教育の現場でも広く活用されている検定試験です。
情報処理技能検定の種類とレベル
表計算部門は、「4級」「3級」「準2級」「2級」「準1級」「1級」「初段」の7段階のレベルがあります。4級は基本的な入力・編集ができるレベル、初段になると実務的な表計算処理能力が求められます。
情報処理技能検定のメリット
- 段階的なスキルアップ:7段階のレベル設定により、自分の実力に合わせて段階的に学習できます
- 実践的な操作技術の習得:データ入力から関数、グラフ作成まで幅広いスキルを身につけられます
- 学校教育との連携:教育機関での評価が高く、進学・就職に役立ちます
試験の特徴と受験方法
試験は実技形式で、表計算ソフトを使って与えられた課題をこなします。全国の情報処理検定協会指定の試験会場で受験可能です。受験料はレベルによって異なります。
Excel表計算処理技能認定試験とは
Excel表計算処理技能認定試験は、サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する民間資格で、Excelを使った表計算処理能力を評価するものです。
特徴とレベル
この資格は、「3級」「2級」「1級」の3段階があり、データ集計からグラフ作成、関数使用まで実務を想定した出題内容となっています。1級・2級では知識問題と実技問題の両方が出題されます。
メリットと試験方法
実技試験では、素材データから分析表などの完成物を作成する形式で、実務に近い能力を測定できます。全国の認定試験会場で受験可能です。2025年時点での受験料は、3級:6,100円、2級:7,200円、1級:8,300円です(2025年8月現在)。合格率は約80%と比較的高く、2024年度時点での累計受験者数は83万人を超えています。
各資格の比較とおすすめの選び方
ここまでで紹介した資格について比較してみましょう。
難易度の比較
一般的な難易度の比較では:
- 初級者向け:MOS アソシエイト、日商PC検定3級・Basic、情報処理技能検定3・4級
- 中級者向け:MOS エキスパート、日商PC検定2級、情報処理技能検定2級
- 上級者向け:日商PC検定1級、情報処理技能検定1級・初段
認知度・評価の比較
- 国際的な評価:MOS(世界共通の資格)
- 国内企業での評価:日商PC検定(公的資格に準ずる資格としての信頼性(国家資格ではない))
- 教育機関での評価:情報処理技能検定(学校教育との連携)
資格の選び方
資格選びのポイントは、目的と現在のスキルレベルによって異なります:
- 就職・転職のアピールに使いたい:MOS(特に一般企業)または日商PC検定(特に国内企業)
- 実務スキル向上が目的:日商PC検定(実務に即した内容)
- 学生・初心者の方:情報処理技能検定(段階的に学べる)
- グローバル企業への就職を目指す方:MOS(国際的な認知度)
効果的な資格取得のための勉強法
資格取得を効果的に進めるための勉強法をいくつか紹介します。
独学で挑戦する場合
- 公式テキストや問題集の活用:各資格の公式テキストを基本にして学習しましょう
- 模擬試験の活用:実際の試験形式に慣れるため、模擬試験を繰り返し解きましょう
- 実践的な課題への挑戦:実務に近い課題を自分で作成して取り組みましょう
スクールや講座を活用する場合
- パソコン教室の活用:対面で指導を受けられるパソコン教室は効率的に学習できます
- オンライン講座の利用:自分のペースで学べるオンライン講座も選択肢の一つです
- 短期集中講座:時間がない方は短期集中講座で効率的に学ぶのも良いでしょう
効率的な学習のコツ
- 継続的な学習:短時間でも毎日継続して学習することが効果的です
- 実践との連動:学んだ機能や操作方法を実際の業務や日常生活で使ってみましょう
- 弱点の集中強化:苦手な分野を特定し、集中的に強化しましょう
資格取得後のキャリアアップ活用法
資格を取得した後、どのように活かしていくかも重要です。
履歴書への効果的な記載方法
履歴書に資格を記載する際は、正式名称とレベル、取得年月を明記しましょう。例えば:
- 「Microsoft Office Specialist Excel 365」
- 「日商PC検定試験(データ活用)2級 合格」
複数の資格を持っている場合は、取得日が新しい順に記載するか、アピールしたい資格を上位に記載すると良いでしょう。
面接でのアピールポイント
面接では単に「資格を持っています」と言うだけでなく、具体的にどのようなスキルがあり、それをどう業務に活かせるかをアピールしましょう。例えば「エクセルのピボットテーブルを使った売上分析ができます」など具体的に伝えると効果的です。
さらなるスキルアップへの道筋
一つの資格を取得したら、次のステップとして考えられる選択肢:
- 上位レベルへの挑戦:同じ資格の上位レベルを目指す
- 関連資格への挑戦:PowerPointやAccessなど関連するソフトの資格に挑戦
- より専門的な資格へ:VBAエキスパートなど、より専門的なスキルを証明する資格へ
まとめ
本記事では、ワードとエクセルに関する主要な資格について解説しました。どの資格も、取得することでパソコンスキルを客観的に証明できるだけでなく、学習過程を通じて実務で役立つ知識やスキルを身につけることができます。
自分の目的やキャリアプランに合わせて最適な資格を選び、計画的に学習を進めていきましょう。資格取得は目的ではなく、スキルアップとキャリア形成のための手段です。取得した資格を実務で積極的に活用し、さらなる成長につなげていくことが大切です。