【Excel】連続するデータを入力する方法(オートフィル・SEQUENCE関数・フラッシュフィル)

この記事は約7分で読めます。

Excelで表を作成する際、通し番号(連番)や日付、曜日といった連続するデータを入力する場面は頻繁にあります。これらをすべて手入力するのは時間がかかるだけでなく、入力ミスの原因にもなり効率的ではありません。Excelには、こうした連続データをスムーズに入力するための機能が複数用意されており、状況に応じて使い分けることで作業効率を向上させることができます。

本記事では、基本的な「オートフィル」機能の活用法から、日付・曜日の詳細設定、大量データを扱う「連続データの作成」ダイアログ、最新の関数である「SEQUENCE関数」、データパターンを認識する「フラッシュフィル」まで、連続データ入力に関するテクニックを解説します。

オートフィル機能を使用した基本操作

最も手軽な方法が「オートフィル」です。マウス操作だけで連続データを入力できます。

数値の連続データを入力する

セルに入力された数値を基に、連続データを作成します。

  1. 起点となるセルに数値を入力します(例:「1」)。
  2. セルの右下に表示される小さな四角形(フィルハンドル)にマウスポインターを合わせます。ポインターが黒い「+」の形に変わります。
  3. 入力したい方向(下または右)へドラッグします。
  4. ドラッグを解除すると、データがコピー、または連続データとして入力されます。

ポイント: 数値が単にコピーされる(「1, 1, 1…」となる)場合は、オートフィル直後に表示される「オートフィル オプション」ボタンをクリックし、「連続データ」を選択することで連番に変更できます。また、Ctrlキーを押しながらフィルハンドルをドラッグすることでも、最初から連番として入力可能です。

規則性のある連続データを入力する

「1, 3, 5…」や「10, 20, 30…」のように、一定の間隔(等差)で増減するデータを入力する方法です。

  1. 最初の2つのセルに値を入力します(例:セルA1に「10」、セルA2に「20」)。
  2. 両方のセルを選択状態にします。
  3. フィルハンドルをドラッグします。

この方法では、Excelが選択された2つのセルの差(公差)を認識し、その規則に基づいた連続データを作成します。

日付や曜日の連続データを入力する

数値だけでなく、日付や曜日もオートフィルで柔軟に入力できます。カレンダーやスケジュール表の作成に役立ちます。

日付の入力と単位の変更

  1. セルに日付を入力します(例:「2024/4/1」)。
  2. フィルハンドルをドラッグします。

デフォルトでは「1日単位」で日付が増加しますが、ドラッグ後に「オートフィル オプション」をクリックすることで、以下の単位に変更可能です。

  • 週日単位:土曜日と日曜日を除いた、平日のみの日付が入力されます。業務日報などに便利です。
  • 月単位:毎月の同日が入力されます(例:4/1, 5/1, 6/1…)。
  • 年単位:毎年の同日が入力されます(例:2024/4/1, 2025/4/1…)。

曜日の入力

「月」や「Monday」(または「Mon」)と入力してオートフィルを行うことで、曜日を連続入力できます。これも日付同様、「週日単位」を選択すれば土日を除外して入力することが可能です。

ダブルクリックによる高速入力

隣接する列(左側)にすでにデータが入力されている場合、フィルハンドルをドラッグする代わりにダブルクリックするテクニックが有効です。

  1. 起点となるセル(または規則性を示す2つのセル)を選択します。
  2. フィルハンドル(セルの右下の「+」)をダブルクリックします。

これにより、隣接データの最終行に合わせて自動的に連続データが入力されます。数千行にわたるデータでも、ドラッグして画面をスクロールする必要がなく、短時間で入力が完了します。

「連続データの作成」ダイアログボックスの使用

1から10,000までの連番など、ドラッグするには長すぎるデータを入力する場合や、詳細な設定を行いたい場合は、「連続データの作成」機能を使用します。

  1. 起点となるセルに開始値を入力し、そのセルを選択します。
  2. ホーム」タブの「編集」グループにある「フィル」をクリックし、「連続データの作成」を選択します。
  3. ダイアログボックスが表示されます。以下の設定を行います。
    • 「範囲」:列方向にデータを入力する場合は「列」、行方向なら「行」を選択します。
    • 「種類」:通常の連番なら「加算」、倍々ゲームのように増やすなら「乗算」などを選択します。
    • 「増分値」:増やす値を入力します(通常は「1」)。
    • 「停止値」:データの終了値を入力します(例:「10000」)。
  4. 「OK」をクリックします。

これにより、指定した停止値まで正確にデータが入力されます。マウス操作での行き過ぎなどのミスを防ぐことができます。

SEQUENCE関数による動的な連番作成

Excel 2019以降やMicrosoft 365では、スピル機能に対応したSEQUENCE関数を使用できます。これは「数式」として連番を作成する新しい方法です。行の挿入や削除を行っても番号が自動的に再計算されるため、常に正しい連番を維持できるメリットがあります。

基本的な構文は以下の通りです。

=SEQUENCE(行数, [列数], [開始], [目盛り])

使用例

例1:縦方向に1から10までの連番を作成する
A1セルに以下の数式を入力するだけで、A1からA10まで自動的に展開(スピル)されます。
=SEQUENCE(10)

例2:100から始まり、5ずつ増える連番を10個作成する
=SEQUENCE(10, 1, 100, 5)

SEQUENCE関数は、他の関数(COUNTA関数など)と組み合わせることで、「データが入力されている行数分だけ自動で連番を振る」といった自動化にも応用できます。

フラッシュフィルを活用したパターン入力

Excel 2013から導入された「フラッシュフィル」機能を使うと、単純な数値の増減ではなく、データの「パターン」を認識して連続データを生成できます。

例えば、「氏名」列から「姓」だけを抽出したり、「氏名」と「部署コード」を組み合わせて「メールアドレス」を生成したりする場合に有効です。

  1. A列に元データがあるとします(例:A1「山田 太郎」)。
  2. 隣接するB1セルに、抽出したい形式で手入力します(例:「山田」)。
  3. B2セルを選択し、ショートカットキー Ctrl + E を押します(または「データ」タブの「フラッシュフィル」をクリック)。

Excelが1行目のパターンを学習し、以下の行も同様の規則(この場合は「姓のみ抽出」)で自動入力します。複雑な関数を使わずにデータ整形が可能になる便利な機能です。

独自の連続データ(ユーザー設定リスト)の利用

「月、火、水…」や「睦月、如月…」、あるいは「営業部、開発部、総務部…」といった社内固有の順序など、独自の連続データを入力したい場合は、「ユーザー設定リスト」を使用します。

  1. ファイル」タブから「オプション」を選択します。
  2. 詳細設定」をクリックし、ウィンドウの一番下までスクロールします。「全般」セクションにある「ユーザー設定リストの編集」ボタンをクリックします。
  3. 「リストの項目」欄に、連続させたいデータを順に入力します(各項目はEnterキーで改行して区切ります)。
  4. 「追加」をクリックすると左側のリストに登録されます。「OK」をクリックして閉じます。

登録後は、リスト内のいずれかの単語をセルに入力してオートフィルを行うことで、登録した順序通りにデータが入力されます。

オートフィルができない場合の対処法

連続データがうまく作成できない場合、以下の設定を確認してください。

  • オートフィル機能が無効になっている:「ファイル」>「オプション」>「詳細設定」を開き、「編集設定」にある「フィル ハンドルおよびセルのドラッグ アンド ドロップを使用する」にチェックが入っているか確認します。
  • フィルターが適用されている:フィルター機能で非表示になっている行がある場合、オートフィルが正しく機能しないことがあります。一度フィルターを解除してから操作を行ってください。
  • 手動計算モードになっている:SEQUENCE関数などの数式が反映されない場合、「数式」タブの「計算方法の設定」が「自動」になっているか確認します。

まとめ

Excelで連続データを入力する方法は、データの量や性質によって使い分けることが重要です。

  • 少量のデータや手軽な入力:オートフィル(ドラッグ)
  • 隣接データがある大量の行:フィルハンドルのダブルクリック
  • 指定した値までの大量データ:連続データの作成ダイアログ
  • 動的な連番管理:SEQUENCE関数
  • 複雑なパターンの生成:フラッシュフィル
  • 特定の順序データ:ユーザー設定リスト

これらの機能を適切に選択することで、入力作業の時間を短縮し、正確なデータ作成が可能になります。