今回は、PowerPoint(パワーポイント)で資料を縦型(縦向き)に設定する方法と、縦型レイアウトを活用した効果的な資料作成テクニックを紹介します。
通常のプレゼンテーションは横向きが一般的ですが、チラシやポスター、レポートなど、特定の目的では縦型のスライドが必要になることがあります。
この記事では、パワポのスライドを縦向きに変更する手順から、縦型レイアウトならではのデザインのコツなど、実用的な情報をお伝えします。
パワポを縦型にする基本的な方法
PowerPointでは、簡単にスライドを縦型(ポートレート)に変更することができます。
方法1: スライドの設定メニューから変更する
- PowerPointを起動し、新規プレゼンテーションを作成するか、既存のファイルを開きます。
- 「デザイン」タブをクリックします。
- 「スライドのサイズ」ボタンをクリックします。
- ドロップダウンメニューから「ユーザー設定のスライドのサイズ」を選択します。
- 表示されたダイアログボックスで、「スライドの方向」セクションの「縦」オプションを選択します。
- 「OK」をクリックして変更を適用します。
既存のプレゼンテーションを縦型に変更する場合、内容を新しいサイズに合わせる方法を選択するダイアログが表示されることがあります。状況に応じて「コンテンツの拡大/縮小」または「コンテンツの調整」を選択するとよいでしょう。
方法2: ページ設定から変更する
別の方法として、「ページ設定」からも縦向きに変更できます。
- 「デザイン」タブをクリックします。
- 「ページ設定」をクリックします(「スライドのサイズ」ボタンの近くにあります)。
- 「ページ設定」ダイアログボックスで、「スライドの方向」の「縦」を選択します。
- 「OK」をクリックして変更を適用します。
縦型スライドの一般的な用途
パワポのスライドを縦型にすることで、以下のような資料を作成できます。
1. 印刷物の作成
チラシやポスター、案内状などの印刷物を作成する場合、A4やレターサイズの用紙に合わせた縦型レイアウトが適しています。PowerPointは操作が直感的で使いやすいため、専門的なデザインソフトがなくても印刷物を作成できます。
2. モバイル向けのデジタルコンテンツ
スマートフォンで閲覧されることを想定したデジタルコンテンツ(SNS投稿用画像、電子チラシなど)は、縦長の画面に合わせた縦型レイアウトが効果的です。縦型スライドを作成することで、モバイルデバイスでの表示に最適化されたコンテンツを作成できます。
3. レポートや提案書
ビジネス文書やレポートなど、テキスト主体の資料は縦型の方が読みやすくなることがあります。特に、多くの文章を含む資料や、表を多用する書類では縦型レイアウトが適しています。
縦型スライドでのデザインのコツ
縦型スライドでは、横型とは異なるデザイン上の配慮が必要です。以下のポイントを押さえると、より効果的な縦型資料を作成できます。
1. テキストの配置と行の長さに注意する
縦型レイアウトでは、一行あたりの文字数が少なくなります。そのため、テキストブロックの幅と行の長さに注意するとよいでしょう。一行が短すぎると不自然な改行が増え、読みにくくなります。フォントサイズや行間を調整して、読みやすさを確保することが重要です。
2. 情報の優先順位を明確にする
縦型レイアウトでは、ユーザーの視線が上から下に流れます。重要な情報は上部に配置し、補足情報は下部に配置するなど、情報の優先順位を明確にした構成にするとよいでしょう。
3. グリッドシステムを活用する
整理された印象を与えるために、グリッドシステムを活用してコンテンツを配置することが効果的です。PowerPointのガイドラインやグリッド表示機能を使用すると、要素を均等に配置しやすくなります。
- 「表示」タブをクリックします。
- 「ガイド」や「グリッド線」にチェックを入れます。
4. 余白を効果的に使う
縦型レイアウトでも、余白(ホワイトスペース)は重要な役割を果たします。コンテンツを詰め込みすぎず、適切な余白を設けることで読みやすさと視覚的な魅力が向上します。特に上下の余白を十分に確保することが推奨されます。
縦型パワポで印刷用資料を作成する際の注意点
縦型パワポを印刷用資料として活用する場合、以下の点に注意しましょう。
1. 用紙サイズと解像度の設定
印刷する用紙のサイズに合わせてスライドサイズを設定します。一般的なA4サイズの場合、以下の手順で設定できます。
- 「デザイン」タブ→「スライドのサイズ」→「ユーザー設定のスライドのサイズ」を選択します。
- 「スライドのサイズ指定」で「A4 210×297mm」などを選択します。
- 「スライドの方向」で「縦」を選択します。
印刷物として使用する場合は、解像度も重要です。高品質な印刷物を作成するには、画像を高解像度(300dpi以上)のものを使用することが推奨されます。
2. 印刷の余白に注意
多くのプリンターには印刷可能領域の制限があります。そのため、スライドの端まで内容を配置すると、印刷時に切れてしまう可能性があります。重要な情報は余白から少なくとも5mm以上内側に配置することが効果的です。
3. カラーモードの確認
印刷用の資料を作成する場合、カラーモードにも注意が必要です。画面上ではRGBカラーで表示されますが、印刷ではCMYKカラーが使用されるため、色の見え方が異なることがあります。特に鮮やかな色や蛍光色は印刷時に再現が難しいため、印刷前にテスト印刷を行いましょう。
縦型パワポの活用事例
縦型パワポの具体的な活用事例をいくつか紹介します。
1. 会社案内やパンフレット
会社概要や製品カタログなどを作成する場合、縦型レイアウトが適しています。見開きページとして使用する場合は、2枚のスライドをひとつのスプレッドとして扱うデザインも効果的です。
2. デジタルサイネージ
縦型ディスプレイを使用したデジタルサイネージでは、縦型パワポが最適です。特に、タイムスケジュールや案内図などの情報を縦長の画面に効果的に表示できます。
3. レジュメや履歴書
就職活動用のレジュメや履歴書も縦型レイアウトが一般的です。PowerPointの表やテキストボックスを活用することで、整理された印象の履歴書を作成できます。
縦型パワポのさらなる活用テクニック
より高度な縦型パワポの活用方法について紹介します。
1. セクション分けによる管理
複数ページにわたる縦型資料を作成する場合、PowerPointのセクション機能を活用すると管理しやすくなります。
- スライドのサムネイル表示で右クリックし、「セクションの追加」を選択します。
- 各セクションに名前を付けて整理します。
2. マスタースライドの活用
統一感のある縦型資料を効率的に作成するには、マスタースライドの設定が効果的です。
- 「表示」タブ→「スライドマスター」を選択します。
- マスタースライドで共通要素(ロゴ、フッター、ページ番号など)のデザインを設定します。
- 複数のレイアウトを作成し、用途に応じて使い分けます。
3. PDFへの変換と保存
作成した縦型パワポは、PDFに変換することで様々なデバイスで表示できるようになります。
- 「ファイル」→「エクスポート」→「PDF/XPSドキュメントの作成」を選択します。
- 必要に応じて、PDF設定(解像度、ブックマークなど)を調整します。
まとめ
PowerPointのスライドは簡単に縦型に変更することができますが、効果的な縦型資料を作成するにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。
適切な用途に合わせて縦型レイアウトを選択し、テキストの配置や情報の優先順位、余白の活用などに注意することで、読みやすく魅力的な資料を作ることができます。