今回は、Wordのスタイルの継承を意識して、書式崩れを防ぐ方法を紹介します。
書式崩れは個別設定の積み重ねで起きやすい
Word文書を編集していると、見出しの文字サイズが一部だけ違う、本文の行間が途中から変わる、箇条書きの位置がそろわない、といった問題が起きることがあります。原因の一つは、文字や段落に個別の書式を何度も重ねていることです。
スタイルを使うと、見出し、本文、箇条書き、引用などの書式をまとめて管理できます。さらに、スタイルには継承の考え方があります。あるスタイルを基準にして別のスタイルを作ると、基準スタイルの変更が関連スタイルにも反映されます。文書全体の書式を部品として管理することで、崩れにくい文書を作れます。
スタイルの継承とは何か
スタイルの継承とは、あるスタイルが別のスタイルを基準にしている状態です。たとえば「本文」を基準にして「本文_注記」を作ると、基本のフォントや行間は本文から受け継ぎ、注記だけ文字サイズを少し小さくする、といった設定ができます。
この仕組みを使うと、文書全体の基本フォントを変えたいときに、基準のスタイルを変更するだけで関連する書式もそろいやすくなります。反対に、基準がばらばらだと、同じ本文系の書式でも別々に直す必要があります。
スタイルを確認するには、ホームタブのスタイル一覧から対象スタイルを右クリックし、「変更」を開きます。ここで「基準にするスタイル」を確認できます。
本文系スタイルは基準をそろえる
本文、注記、補足、表内文字など、文章として読ませる部分は、基準をそろえると管理しやすくなります。たとえば、本文を基準にして注記や表内文字を作れば、フォントを変えたときにも大きな差が出にくくなります。
おすすめの分け方は次の通りです。
- 通常の文章は「本文」または「標準」を基準にする
- 注記は本文を基準にして文字サイズだけ変える
- 表内文字は本文を基準にして行間と余白を調整する
- 引用文は本文を基準にしてインデントを加える
- 強調用の段落は本文を基準にして罫線や網かけを加える
このように役割ごとに少しだけ差を付けると、見た目の統一を保ちやすくなります。
見出しスタイルは階層を崩さない
見出し1、見出し2、見出し3は、文書の構造を示す重要なスタイルです。文字を太くしただけの行は見出しとして扱われません。目次やナビゲーションウィンドウにも関係するため、見た目だけでなく役割も意識します。
見出しスタイルを変更するときは、見出し1から順に整えます。見出し1は章、見出し2は節、見出し3は細目のように使い分けます。見出し2を大きな章に使ったり、見出し1を小項目に使ったりすると、文書構造が乱れます。
見出しの見た目を変えたい場合も、スタイル自体を変更することが大切です。個別に文字サイズや色を変えると、同じレベルの見出しなのに見た目がそろわなくなります。
直接書式を減らす
直接書式とは、スタイルではなく、選択した文字や段落に直接設定した書式です。太字、文字色、行間、インデントなどを個別に設定すると、スタイルを変更してもその部分だけ反映されないことがあります。
書式崩れを直すときは、まず対象範囲を選択し、スタイルを当て直します。それでも直らない場合は、「すべての書式をクリア」を使ってから、必要なスタイルを設定し直します。ただし、太字や下線など必要な強調も消えるため、範囲を確認してから実行します。
長い文書では、直接書式を完全になくす必要はありません。重要なのは、本文や見出しの基本形をスタイルで管理し、個別書式は意味のある強調に限ることです。
既存文書を整える手順
すでに書式が乱れている文書を直す場合は、上から順に見た目を直すより、スタイルの状態を確認しながら進めます。
- ナビゲーションウィンドウを開き、見出しが正しく表示されるか確認する
- 本文の代表的な段落を選び、使われているスタイルを確認する
- 見出し1、見出し2、本文の基本スタイルを先に整える
- 表内文字や注記など、派生するスタイルを調整する
- 直接書式が多い部分は、スタイルを当て直す
この順で進めると、文書全体の基準を作ってから細部を直せます。先に細部を整えると、後で基本スタイルを変えたときに再調整が必要になることがあります。
テンプレートではスタイル名も分かりやすくする
社内文書やマニュアルのテンプレートでは、独自のスタイル名を付けると使いやすくなります。「注意書き」「表内本文」「手順番号」「補足見出し」のように用途が分かる名前にすると、利用者が選びやすくなります。
ただし、似た名前を増やしすぎると迷いやすくなります。「注意」「注意文」「注意書き本文」のように近い名前が並ぶと、どれを使うべきか分かりにくくなります。必要なスタイルだけを残し、使わないスタイルは表示しない設定にすると管理しやすくなります。
まとめ
Wordのスタイルの継承を意識すると、見出しや本文の書式をまとめて管理できます。個別の書式設定に頼りすぎると、後から変更したときに崩れやすくなります。
ポイントは、本文系スタイルの基準をそろえ、見出し階層を保ち、直接書式を必要な範囲に絞ることです。文書の構造と見た目をスタイルで管理すれば、修正しやすいWord文書を作れます。