今回は、Excelで別のブックのデータを参照するブックのリンク(外部参照)について、作り方から更新・修正・解除までの管理方法とコツを紹介します。
部署ごとに分かれたブックの数字を集計用のブックにまとめたり、元データのブックを1つにして複数の報告用ブックから参照したりと、ブック同士をつなぐ場面は少なくありません。便利な反面、「開くたびに更新の確認が出る」「元のファイルを移動したら数値が更新されなくなった」といった悩みも起こりがちです。仕組みと管理画面の使い方を押さえておくと、こうした困りごとに落ち着いて対処できます。
この記事は、Windows版のMicrosoft 365のExcelを前提に説明します。現在のExcelでは、リンクの管理は[データ]タブの[クエリと接続]グループにある[ブックのリンク]から行います。以前のバージョンで使われていた[リンクの編集]ダイアログについても後半で触れます。Web版のExcelにも同様の管理ウィンドウがありますが、一部の動作が異なります。
ブックのリンク(外部参照)の基本
リンク元とリンク先の関係
ブックのリンクは、以前は「外部参照」と呼ばれていた機能です。言葉の使い分けを先に整理しておきます。
- リンク先のブック(コピー先):リンクの数式が入っている側のブック
- リンク元のブック(ソース):参照される値が入っている側のブック
1つのリンク先ブックに、複数のリンク元ブックをつなぐこともできます。
数式の見え方はリンク元が開いているかで変わる
リンク元のブックを開いている間は、数式は[ブック名.xlsx]シート名!セルという形で表示されます。リンク元を閉じると、Excelが自動的にフォルダーの場所を含むパスを数式に加えます。シート名やブック名に空白などが含まれる場合は、名前全体が単一引用符で囲まれます。数式を見ればどのファイルを参照しているかがわかるので、トラブル時の手がかりになります。
ブックのリンクを作る2つの方法
方法1:「=」を入力してリンク元のセルをクリックする
- リンク先とリンク元の両方のブックを開きます。
- リンク先のブックで、値を表示したいセルを選び「=」を入力します。SUMなどの関数を使う場合は「=SUM(」まで入力します。
- リンク元のブックに切り替え、参照したいセルを選んでEnterキーを押します。
この方法で作られる参照は絶対参照($付き)になります。数式を他のセルにコピーして使いたい場合は、必要に応じて「$」を外しておきます。
方法2:コピーして「リンク貼り付け」をする
- リンク元のブックで参照したいセル範囲を選び、Ctrl+Cでコピーします。
- リンク先のブックで貼り付けたい位置のセルを選びます。
- [ホーム]タブの[貼り付け]から[リンク貼り付け]を選びます。
範囲をまとめてつなぎたいときは、この方法が手早く済みます。
名前を付けた範囲を参照する方法もある
リンク元のセル範囲に名前を定義しておき、その名前を参照する方法もあります。手順1の途中、リンク元のブックに切り替えたところでF3キーを押すと、定義済みの名前を選べます。名前で参照しておくと、数式を見たときに何の値を参照しているかがわかりやすくなります。
[ブックのリンク]ウィンドウでリンクを管理する
作成したリンクの確認や更新は、[データ]タブ→[クエリと接続]グループ→[ブックのリンク]で開くウィンドウにまとまっています。リンク元のブックが一覧で表示され、それぞれの右側にある[その他のコマンド](…)から個別の操作を選べます。
最新の値に更新する
- すべてのリンクを更新:ウィンドウ上部の[すべて更新]を選びます。
- 特定のブックだけ更新:一覧からブックを選び、[最新の情報に更新]を選びます。
リンク元のブックを一部だけ開いた状態で更新すると、結果がそろわないことがあります。まとめて更新するときは、リンク元のブックをすべて閉じてからリンク先のブックを開き、更新すると結果がそろいやすくなります。
開いたときの更新方法を決める
ウィンドウ右上の[更新設定]を展開すると、ブックを開いたときの動作を次の3つから選べます。
- 更新を要求する:開くたびに更新するかどうかを確認する
- 常に更新:確認なしで自動的に更新する
- 更新しない:確認も更新も行わない
この設定はそのブックを使うすべての人に影響します。「更新しない」を選ぶと、ほかの利用者はデータが古いままであることに気付けない可能性があるため、共有しているブックでは関係者と相談して決めると安心です。
セキュリティの警告が出たとき
リンクを含むブックを初めて開くと、メッセージバーに警告が表示されることがあります。これは、まだ信頼されていないブックであることを示すものです。作成者や保存場所に心当たりがあり、内容を信頼できるブックの場合に限って[コンテンツの有効化]を選ぶと、リンクが更新されます。出どころがわからないブックでは有効化せず、作成者に確認するのが安全です。
リンク元のファイルを移動・変更したときの直し方
リンク元をまとめて差し替える
リンク元のブックの名前や保存場所が変わると、リンクが切れて値を取得できなくなります。その場合は次の手順で付け替えます。
- [ブックのリンク]ウィンドウを開きます。
- 対象のブックの横にある[その他のコマンド](…)から[リンク元の変更]を選びます。
- 新しい場所にあるブックを[最近]の一覧から選ぶか、[参照]からファイルを指定します。
この操作は、前年度のブックから今年度のブックへ参照先を切り替えるときにも使えます。同じレイアウトのブックを年度ごとに作っている場合、数式を1つずつ直す手間を省けます。
一部のセルだけ参照先を変える
特定のセルだけ別のブックを参照させたいときは、そのセルを選び、数式バーに表示されているブック名やパスの部分を新しいものに書き換えます。
リンク元を開いて中身を確認する
大きな変更をする前には、[その他のコマンド](…)の[ブックを開く]でリンク元を開き、参照しているセルの内容を確かめておくと、思わぬ値の変化を防げます。
不要になったリンクを解除する
解除すると数式が値に置き換わる
集計が終わり、もうリンク元と連動させる必要がない場合は、リンクを解除できます。
- [ブックのリンク]ウィンドウを開きます。
- 対象のブックの横にある[その他のコマンド](…)から[リンクの解除]を選びます。
- すべてまとめて解除する場合は、ウィンドウ上部の[すべて中断]を選びます。
リンクを解除すると、そのリンク元を使っていた数式はすべて現在の計算結果の値に置き換わります。デスクトップ版ではこの操作を元に戻せないため、解除する前にファイルを別名で保存してバックアップを残しておくのが確実です。
1つのセルだけ値にしたい場合
ブック全体ではなく、特定のセルだけ値に固定したいときは、そのセルをコピーして[ホーム]→[貼り付け]→[値の貼り付け]を使います。誤って値にしてしまったときは、直後であればCtrl+Zで元に戻せます。
どこにリンクがあるかを探すコツ
ブック内のリンクをすべて自動で洗い出す機能はないため、場所ごとに確認します。
- 次のリンクを探す:[ブックのリンク]ウィンドウでブックを選び、[次を検索]を選ぶと、そのブックを参照しているセルへ順に移動できます。
- 数式の中を探す:Ctrl+Fで[検索と置換]を開き、[オプション]で検索場所を「ブック」、検索対象を「数式」にして「.xl」を検索します。拡張子の一部で探すことで、別ブックを参照する数式を一覧にできます。
- 名前の定義を確認する:[数式]タブの[名前の管理]で、参照範囲の欄に別のブック名が含まれていないかを見ます。
- 図形やテキストボックス:Ctrl+Gの[ジャンプ]から[セル選択]で[オブジェクト]を選び、Tabキーで1つずつ切り替えながら数式バーを確認します。
- グラフ:グラフタイトルやデータ系列を選び、数式バーに別のブック名が含まれていないかを確認します。
「リンクを解除したはずなのに確認メッセージが出る」というときは、名前の定義やグラフに参照が残っていることがあります。上の順に見ていくと見落としを減らせます。
以前の[リンクの編集]を使いたい場合
従来の[リンクの編集]ダイアログは、[ブックのリンク]に置き換えられています。使い慣れたダイアログを使いたい場合は、リボンのユーザー設定で新しいグループを作り、[すべてのコマンド]から[リンクの編集]を追加できます。クイックアクセスツールバーに追加することも可能です。ダイアログでは、値の更新、リンク元の変更、リンク元を開く、リンクの解除に加えて、[状態の確認]でリンク元が有効かどうかを確かめられます。
Web版Excelとの違い
- Web版にも[データ]→[ブックのリンク]の管理ウィンドウがあり、更新・リンク元の変更・解除などができます。
- Web版では、ブックを開くと信頼の確認が表示され、[ブックのリンクを信頼する]を選ぶと更新できるようになります。
- Web版でリンクを解除した場合は、元に戻す操作ができます。
- Web版で作成するリンクは、どちらのブックも同じアカウントでアクセスできるオンラインの場所に保存しておく必要があります。
まとめ
ブックのリンク(外部参照)は、複数のブックの数字を1つにまとめたいときに役立つ機能です。管理のポイントを整理します。
- リンクは「=」で参照するか、[リンク貼り付け]で作成する
- 管理は[データ]→[クエリと接続]→[ブックのリンク]のウィンドウで行う
- 開いたときの動作は[更新設定]で決められるが、ブックの全利用者に影響する
- ファイルを移動したら[リンク元の変更]で付け替える
- [リンクの解除]は数式が値に置き換わるため、事前にバックアップを取る
- 残ったリンクは数式・名前・オブジェクト・グラフの順に確認する
リンク元のファイル名や保存場所を決めておき、変えるときは管理ウィンドウで付け替える流れを習慣にしておくと、リンク切れのトラブルを減らせます。