Word(ワード)で文書作成をしているとき、タイトルやセクション見出しに設定した太字やフォントサイズなどの書式が、前の行から(改行で)引き継がれてしまうことがあります。
今回は、Wordで改行したときに書式や配置を引き継がないようにする方法を紹介します。
改行の種類や書式解除のショートカットキーを活用すれば、効率的に文書作成を進められます。
Wordの改行の種類を理解する
まず、Wordには2種類の改行があることを把握しておく必要があります。
「改段落」と「改行」の違い
Wordで一般的に使用する「Enterキー」による改行は、正確には「改段落」と呼ばれるものです。これにより、前の段落で設定した書式(文字の大きさ、フォント、太字、色など)や配置(中央揃えなど)がそのまま次の段落に引き継がれます。
一方、「Shiftキー」を押しながら「Enterキー」を押す操作は「改行」(段落内改行)と呼ばれ、同じ段落内で単に行を変えるだけの機能です。この場合、新しい段落は作成されません。
表示されている編集記号を見ると、「改段落」では折れ線矢印(¶)が、「改行」では下向き矢印(↓)が表示されます。編集記号は「ホーム」タブの段落グループにある「編集記号の表示/非表示」ボタンをクリックすると確認できます。
書式を引き継がないようにする方法
Wordで改行したときに書式や配置を引き継がないようにする方法をいくつか紹介します。
1. 書式解除のショートカットキーを使う
書式解除のショートカットキーを使うと、書式を解除できます。
- 文字書式の解除:「Ctrl」+「Space」キー
フォント、サイズ、太字、斜体、下線、色などの文字書式を解除します。
- 段落書式の解除:「Ctrl」+「Q」キー
配置(中央揃えなど)、インデント、段落間隔などの段落書式を解除します。
- すべての書式の解除:「Ctrl」+「Shift」+「N」キー
文字書式と段落書式の両方を解除し、標準スタイルに戻します。
2. 改行前に書式を解除する
タイトルなどの書式設定された文字を入力した後、次の行からは通常の書式に戻したい場合は、改行する前に書式を解除します。
- 書式設定された文字を入力する
- 行末にカーソルを移動する
- 「Ctrl」+「Space」キーを押して文字書式を解除する
- 「Enter」キーを押して改行する
これにより、次の行では文字書式が引き継がれません。ただし、中央揃えなどの段落書式は解除されないため、段落書式も解除したい場合は、「Ctrl」+「Shift」+「N」キーを使用します。
3. 改行後に書式を解除する
改行して書式が引き継がれてしまった場合は、次の手順で解除できます。
- 書式を解除したい段落にカーソルを置く
- 「Ctrl」+「Shift」+「N」キーを押す(すべての書式を解除する場合)
または、文字書式だけを解除したい場合は「Ctrl」+「Space」キー、段落書式だけを解除したい場合は「Ctrl」+「Q」キーを使用します。
オートコレクト機能の設定変更
Wordには、オートコレクト機能という便利な機能がありますが、これが時に不便と感じられることもあります。例えば、行頭に「1.」や「●」などの記号を入力してEnterキーを押すと、次の行にも自動的に同様の記号が付くことがあります。これを解除するには、オートコレクトの設定を変更します。
オートコレクト機能の設定変更手順
- 「ファイル」タブをクリックする
- 「オプション」をクリックする
- 「Wordのオプション」画面で「文章校正」を選択する
- 「オートコレクトのオプション」をクリックする
- 「オートコレクト」画面で「入力中に自動で書式設定する項目」タブをクリックする
- 「箇条書き(行頭文字)」「箇条書き(段落番号)」「罫線」などの不要な機能のチェックを外す
- 「OK」をクリックして設定を保存する
これにより、行頭文字や段落番号が自動的に設定されなくなり、意図しない書式の引き継ぎを防ぐことができます。
段落内改行(Shift+Enter)の活用
タイトルや見出しと本文を区別したい場合や、箇条書きの中で改行したい場合など、書式や段落設定を維持したまま行を変えたい場合は、「Shift」+「Enter」キーによる段落内改行が便利です。
段落内改行の活用例
- 箇条書きの中での改行:箇条書きの項目内で改行したい場合、「Enter」キーを押すと新しい箇条書き項目になってしまいますが、「Shift」+「Enter」キーを使えば、同じ箇条書き項目内で改行できます。
- 住所や連絡先の入力:住所や連絡先情報など、複数行にわたる情報を1つの段落として扱いたい場合に便利です。
- 段落間隔の調整:段落の後ろに空白行を設けたい場合、「段落」設定で段落後の間隔を設定すると、「Shift」+「Enter」で改行した部分には適用されません。これを利用して見出しと本文の間隔を調整できます。
まとめ:効率的な文書作成のために
Wordで改行したときに書式や配置を引き継がないようにするには、以下の方法が効果的です。
- 書式解除のショートカットキーを使う
- 文字書式の解除:「Ctrl」+「Space」キー
- 段落書式の解除:「Ctrl」+「Q」キー
- すべての書式の解除:「Ctrl」+「Shift」+「N」キー
- 改行の種類を使い分ける
- 改段落(新しい段落を作成):「Enter」キー
- 段落内改行(同じ段落内で行を変える):「Shift」+「Enter」キー
- オートコレクト機能の設定を変更する
これらの方法を状況に応じて使い分けることで、効率的に文書作成を進められます。特に頻繁に使用する機能はショートカットキーを覚えておくと、作業効率が向上します。
また、Wordの編集記号を表示しておくと、どのような改行が使われているかが一目でわかるため、トラブルシューティングに役立ちます。「ホーム」タブの「編集記号の表示/非表示」ボタンをオンにしておくことをおすすめします。
これらのテクニックを活用して、より効率的で思い通りの文書作成を実現しましょう。