今回は、PowerPointでテキストが枠からはみ出しそうなときに使える「自動調整オプション」と、はみ出した文字を整えるための設定を紹介します。
箇条書きを追加していたら、いつの間にか文字が小さくなっていた、あるいは枠の外に文字があふれてしまった、という経験はないでしょうか。これはPowerPointの自動調整機能が関係しています。仕組みを知っておくと、文字サイズをそろえたまま、読みやすいスライドに整えられます。
この記事の操作説明は、主にWindows版のPowerPoint(Microsoft 365など)を前提にしています。Mac版にも同様の機能がありますが、表示される名称が異なる場合があります。PowerPoint for the webでは一部の機能が使えないため、該当する箇所で補足します。
自動調整とは
PowerPointでは、スライドのレイアウトにあらかじめ用意されている点線の枠を「プレースホルダー」と呼びます。タイトルや本文を入力する枠がこれにあたります。
プレースホルダーに収まりきらない量の文字を入力すると、PowerPointは文字サイズを小さくして枠に収めようとします。これが自動調整です。本文のプレースホルダーでは、この動きが既定で有効になっています。
自動調整のよい点と注意点
- よい点:文字が枠の外にはみ出さず、スライドの見た目が大きく崩れにくい
- 注意点:スライドごとに文字サイズがばらばらになり、資料全体の統一感が損なわれることがある
- 注意点:文字が小さくなりすぎると、発表会場の後方から読みにくくなる
自動調整は便利な反面、気づかないうちに文字が小さくなっていることがあります。文字が縮んだと感じたら、情報量が1枚のスライドには多すぎるサインと考えると、構成を見直すきっかけになります。
自動調整オプションのボタンを使う
プレースホルダーが文字で埋まり始めると、枠の左下に[自動調整オプション]のボタンが表示されます。このボタンから、はみ出しへの対処方法を選べます。
自動調整のオンとオフを切り替える
ボタンのメニューには、そのプレースホルダーで自動調整を使うかどうかを選ぶ項目があります。
- テキストをプレースホルダーに自動的に収める:文字が多くなると、文字サイズを小さくして収めます。既定の動きです。
- このプレースホルダーでは自動調整しない:文字サイズを変えずに表示します。文字が多い場合は枠からあふれるため、下で紹介する方法で整えます。
メニューの表記は、バージョンによって少し異なる場合があります。
2枚のスライドに分割する
文字量が多すぎる場合は、スライドを分けるのがわかりやすい解決方法です。
- プレースホルダーの左下にある[自動調整オプション]のボタンを選びます。
- [2つのスライドにテキストを分割する]を選びます。
現在のスライドと同じタイトルの新しいスライドが直後に作られ、本文がおおよそ半分ずつに分けられます。分割後は、それぞれのタイトルに「(1)」「(2)」のような区別を付けたり、見出しを言い換えたりすると、聞き手が話の流れを追いやすくなります。
新しいスライドで続ける
- [自動調整オプション]のボタンを選びます。
- [新しいスライドで続ける]を選びます。
こちらは現在の文字をそのまま残し、同じタイトルの新しいスライドを追加します。新しいスライドに切り替えて、続きを入力していく使い方です。どこで区切るかを自分で決めたいときは、こちらのほうが扱いやすいでしょう。
2段組みに変更する
- [自動調整オプション]のボタンを選びます。
- [2段組みに変更する]を選びます。
本文が2列のレイアウトに変わります。短い項目がたくさん並ぶ箇条書きなら、2段組みにすると1枚に収めやすくなります。1項目が長い文章の場合は、行の折り返しが増えて読みにくくなることがあるため、スライドの分割を選ぶほうが向いています。
テキストボックスでの自動調整の設定
[自動調整オプション]のボタンが表示されるのは、プレースホルダー内の本文だけです。[挿入]タブから自分で描いたテキストボックスには、このボタンは表示されません。
テキストボックスや図形の文字を調整したいときは、[図形の書式設定]作業ウィンドウを使います。
- テキストボックスや図形の枠線を右クリックし、[図形の書式設定]を選びます。
- [サイズとプロパティ](または[文字のオプション]内のテキストボックスのアイコン)を開きます。
- [テキストボックス]の項目にある自動調整の設定から、目的のものを選びます。
選べる設定は、次の3つです。
- 自動調整なし:文字サイズも枠のサイズも自動では変えません。
- はみ出す場合だけ自動調整する:枠に収まるよう、文字サイズを小さくします。
- テキストに合わせて図形のサイズを調整する:文字が収まるよう、枠の縦方向のサイズを広げます。
表示される名称は、バージョンによって異なる場合があります。文字サイズをそろえたい資料では「自動調整なし」か「図形のサイズを調整する」を選び、文字量のほうで調整すると、スライド間の統一感を保ちやすくなります。
自動調整に頼らずにはみ出しを解消するコツ
自動調整をオフにした場合や、文字サイズを小さくしたくない場合は、次のような方法で整えられます。
文章を短くする
- 1項目を1行程度に収めるつもりで、言い回しを見直す
- 「~することができます」を「~できます」のように短い表現に置き換える
- 話せば伝わる補足は、スライドではなくノートに書く
スライドは読ませる資料ではなく、話を補う資料と考えると、載せる情報を絞り込みやすくなります。
行間や余白を見直す
- 段落の前後の間隔や行間が広すぎないか確認する
- テキストボックスの内部の余白(上下左右)を少し小さくする
- プレースホルダーの枠自体を、スライドの空いている部分に広げる
少しの調整で、文字サイズを変えずに収まることもあります。
スライドマスターで基準をそろえる
多くのスライドで同じような調整をしているなら、スライドマスターでプレースホルダーのサイズや文字の書式を見直すと、資料全体にまとめて反映できます。個別のスライドで調整を重ねるより、後からの修正も楽になります。
分割がうまくいかないときの対処
テキストの分割は、プレースホルダー内の本文に対して働く機能です。自分で描いたテキストボックスの文字や、分割がうまく動かない場合は、文字を切り取り([Ctrl]+[X])、別のスライドに貼り付け([Ctrl]+[V])て分けます。Mac版では[command]キーを使います。
PowerPoint for the webでの注意点
PowerPoint for the webでは、スライド間でテキストを自動で分割する機能は使えません。あふれた文字を別のスライドに移すには、切り取りと貼り付けで対応するか、デスクトップ版のPowerPointで作業します。
共同編集の途中でWeb版を使っている場合は、文字量の多いスライドだけデスクトップ版で整える、と分担すると作業が進めやすくなります。
まとめ
PowerPointの自動調整は、プレースホルダーに入りきらない文字を小さくして収める機能です。便利な一方、スライドごとに文字サイズがばらつく原因にもなります。
- プレースホルダーが埋まり始めると、左下に[自動調整オプション]のボタンが表示される
- ボタンから、自動調整のオンとオフ、2枚のスライドへの分割、新しいスライドで続ける、2段組みへの変更を選べる
- 自分で描いたテキストボックスでは、[図形の書式設定]で自動調整の方法を選ぶ
- 文字サイズをそろえたいときは、文章を短くする、余白や行間を見直すといった方法で整える
- PowerPoint for the webでは、テキストの自動分割は使えない
文字が小さくなったときは、自動調整に任せきりにせず、分割や言い換えも検討してみてください。スライドの情報量が整うと、発表の聞きやすさにもつながります。