今回は、Wordで作成した文書をPDFとして保存する手順と、見出しからPDFのブックマーク(しおり)を作成するコツを紹介します。説明の前提は、Windows版のWord(Microsoft 365)のデスクトップアプリです。Mac版やWeb版では操作や選べるオプションが異なるため、該当箇所で補足します。
WordからPDFを作るメリット
Wordの文書をそのまま渡すと、相手のパソコンに同じフォントが入っていない、Wordのバージョンが違う、といった理由でレイアウトが崩れることがあります。PDFにしておけば、多くの環境で作成時に近い見た目のまま表示・印刷できるため、配布用の資料や提出書類に向いています。
Wordには追加のソフトやアドインなしでPDFを作る機能が備わっています。ただし、PDFはWordなどのアプリで開いて編集できる場合もあるため、PDFにしただけで内容が変更されないとは限らない点は押さえておきましょう。
WordでPDFとして保存する基本手順
Windows版のWordでは、次の流れでPDFを作成できます。
- 一度保存済みのファイルなら[ファイル]→[コピーを保存]を選びます。まだ保存していない場合は[名前を付けて保存]または[コピーを保存]を選びます。
- [参照]を選んで、保存先のフォルダーを指定します。
- ファイルの種類のドロップダウンで[PDF]を選びます。
- [保存]を選びます。
[コピーを保存]を使うと、編集用のWordファイルはそのまま残り、配布用のPDFだけが別に作られます。元のdocxファイルと配布用PDFを分けて管理すると、修正が必要になったときもWord側を直して作り直すだけで済みます。
ファイル名の付け方の工夫
PDFは何度も作り直すことが多いため、「資料名_日付」のようにファイル名に作成日を入れておくと、どれが最新版か迷いにくくなります。社外に送る場合は、「最終」「修正版」のように後で意味が曖昧になる言葉より、日付や版番号で区別するほうが管理しやすくなります。
オプションで出力内容を調整する
保存画面で[その他のオプション]から[オプション]を開くと、PDFの中身を細かく指定できます。主な項目は次のとおりです。
- ページ範囲:文書の一部のページだけをPDFにできます。長い文書から特定の章だけを抜き出して渡したいときに便利です。
- 発行対象:[文書]を選ぶと本文のみ、[変更とコメントの内容を含む文書]を選ぶと変更履歴やコメントも含めて出力されます。
- 次を使用してブックマークを作成:PDFにブックマーク(しおり)を作ります。手順は次の章で紹介します。
- 文書プロパティ:タイトルや作成者などのプロパティ情報をPDFに含めます。
- アクセシビリティ用のドキュメント構造タグ:スクリーンリーダーで読み上げやすいPDFにします。
- ISO 19005-1 準拠(PDF/A):長期保存向けの形式で出力し、別のパソコンで開いたときも同じように見えるようにします。
- フォントを埋め込むことができない場合のビットマップ テキスト:埋め込めないフォントを使っているとき、文字を画像として出力して見た目を保ちます。オフにしていると、閲覧側で別のフォントに置き換わる可能性があります。
変更履歴やコメントが残った文書をそのままPDFにすると、社内向けのやり取りが相手に見えてしまうことがあります。社外向けのPDFを作るときは、発行対象が[文書]になっているかを保存前に確認する習慣をつけておくと安心です。
見出しからPDFのブックマークを作成する
ページ数の多いPDFは、目的の箇所を探すのに手間がかかります。PDFビューアーのブックマーク(しおり)欄に章や節の一覧があれば、クリックするだけで該当ページへ移動できます。Wordでは、この一覧をPDF保存時に自動で作れます。
ブックマーク作成の手順
- [ファイル]→[コピーを保存](または[名前を付けて保存])で、ファイルの種類を[PDF]にします。
- [その他のオプション]→[オプション]を開きます。
- [次を使用してブックマークを作成]をオンにします。
- [見出し]を選びます。文書内にWordのブックマークを設定している場合は[Word ブックマーク]も選べます。
- [OK]で閉じてから保存します。
見出しスタイルを使っておくことがポイント
[見出し]を基準にブックマークを作る場合、本文中の見出しに「見出し 1」「見出し 2」などの見出しスタイルが適用されていることが前提になります。文字を太字にしたり大きくしたりしただけの見た目上の見出しは、見出しとして認識されません。
見出しスタイルを使っておくと、PDFのブックマークだけでなく、Wordの目次機能やナビゲーションウィンドウにも同じ構造が反映されます。PDF化する予定の文書は、書き始めの段階から見出しスタイルで章立てしておくと、後から整える手間を減らせます。
保存前には、[表示]タブで[ナビゲーション ウィンドウ]をオンにして見出しの一覧を確認しておくのがおすすめです。見出しスタイルが付いた段落の一覧をまとめて確認できるため、スタイルの付け忘れや階層のずれに気付きやすくなります。
Wordブックマークを使う場面
見出し以外の場所、たとえば表や図、特定の注意書きにジャンプさせたい場合は、Wordの[挿入]タブからブックマークを設定しておき、PDF保存時に[Word ブックマーク]を選ぶ方法があります。見出しとは別の観点で移動先を用意したいときに使い分けるとよいでしょう。
Mac版・Web版での違い
Mac版のWord(Microsoft 365 for Mac)では、[ファイル]→[名前を付けて保存]または[コピーを保存]を選び、ファイル形式で[PDF]を指定して保存します。Windows版とはオプションの項目が異なります。
Web版のWordでは、[ファイル]→[印刷]から[PDF として保存]を選ぶ方法で、レイアウトを保った基本的なPDFを作れます。ブックマークの追加など細かな指定が必要な場合は、[デスクトップ アプリで開く]からデスクトップ版に切り替えて保存するとよいでしょう。
まとめ
WordのPDF保存は、[コピーを保存]でファイルの種類を[PDF]にするだけで始められます。オプションを開けば、ページ範囲や変更履歴の扱い、アクセシビリティ用のタグなどを調整できます。
- 編集用のWordファイルと配布用のPDFを分けて保存する
- 社外向けは発行対象が[文書]になっているか確認する
- 見出しスタイルを使い、[次を使用してブックマークを作成]で[見出し]を選ぶ
- 保存前にナビゲーションウィンドウで見出しの構成を確認する
見出しを整えた文書からブックマーク付きのPDFを作っておくと、受け取った人が目的のページへ移動しやすくなります。配布資料やマニュアルを作るときに取り入れてみてください。