今回は、PowerPointの[描画]タブでペンやマウスを使って描いた手書きの線(インク)を、標準の図形に変換して図解を整える方法とコツを紹介します。
打ち合わせ中に流れ図をさっと描きたいとき、図形を1つずつ挿入してサイズを合わせるのは手間がかかります。手書きなら思いついた形をすぐに描けますが、そのままでは線がゆがみ、資料としては見栄えがよくありません。インクを図形に変換する機能を使うと、手書きの手軽さを生かしながら、四角形や円、矢印などを整った図形として仕上げられます。
対象環境と利用条件
この記事は、Windows版のPowerPoint for Microsoft 365を前提に説明します。インクをスライド上で図形やテキストに変換する機能は、Microsoft 365のサブスクリプション向けの機能で、WindowsとiOSのPowerPointで利用できます。買い切り版のPowerPointでは、本記事と同じ操作ができない場合があります。
利用にはいくつかの前提があります。
- Microsoft 365の「接続エクスペリエンス」が有効になっていること
- ペンやマウス、指などでインクを描ける環境であること
- リボンに[描画]タブが表示されていること
接続エクスペリエンスの設定は、Officeアプリの[ファイル]→[アカウント]→[アカウントのプライバシー]の[設定の管理]から確認できます。組織で管理されているパソコンでは、この設定が管理者によって決められていることもあります。
[描画]タブが見当たらないとき
タッチ操作に対応していないパソコンなどでは、[描画]タブが最初から表示されていないことがあります。その場合は、[ファイル]→[オプション]→[リボンのユーザー設定]を開き、右側の一覧で[描画]にチェックを入れると表示できます。
インクを図形に変換する基本手順
手順1:インクで図形を描く
- [描画]タブを開き、ペンの種類と色、太さを選びます。
- スライド上に、四角形や円、矢印などを手書きで描きます。
この段階では形だけを意識して描けば十分です。変換後の図形の塗りつぶしや枠線の色は、後から[図形の書式]タブで整えられます。
手順2:変換したいインクを選択する
描き終えたら、変換したいインクを選択します。インクをクリック(タップ)して選ぶほか、[描画]タブのなげなわ選択ツールで囲んで選ぶこともできます。周りに文字のメモなど別のインクがある場合は、なげなわで必要な部分だけを囲むと、意図しない線まで変換されるのを防げます。
手順3:[インクを図形に変換]を選ぶ
- インクを選択した状態で、[描画]タブの[インクを図形に変換]を選びます。
- 手書きの線が、近い形の標準図形に置き換わります。
[描画]タブにある[インクを変換]ボタンから操作することもできます。
手順4:結果が違うときは「その他の候補」から選ぶ
意図と違う図形になった場合は、変換された図形の右側に表示される[その他の候補]ボタンを選ぶと、ほかの候補を確認できます。たとえば、ひし形のつもりが別の四角形として認識されたときに、候補から目的の形に切り替えられます。
インクをテキストや数式に変換する機能もある
[描画]タブには、図形への変換のほかに次の変換機能もあります。図解の中に文字を入れたいときにも役立ちます。
- インクをテキストに変換:手書きの文字を入力済みのテキストに置き換えます。
- インクを数式に変換:手書きの数式を数式オブジェクトに置き換えます。この機能は現在、Windows版のMicrosoft 365サブスクライバーのみが利用できます。
また、ペンでスライドのタイトル部分に文字を書くと、PowerPointが標準のテキストへの変換を提案してくれます。
変換した図形で図解を仕上げるコツ
まず手書きで全体を描き、あとからまとめて整える
考えながら描いている途中で1つずつ変換すると、手が止まりがちです。最初は手書きで流れや配置をざっと描き切り、構成が固まってから変換すると、発想を止めずに作業を進められます。打ち合わせ中のメモとして描いたものを、会議後に図形へ変換して資料に仕上げるといった使い方もできます。
形ははっきり描く
変換の精度を上げるには、角をはっきりさせ、線の始まりと終わりをしっかり閉じて描くのがコツです。四角形なら4つの角を意識し、円なら一筆でつなげるように描くと、目的の図形として認識されやすくなります。うまくいかないときは、[その他の候補]を確認するか、描き直してから再度変換します。
変換後は通常の図形として編集できる
変換された図形は、メニューから挿入した図形と同じように扱えます。
- [図形の書式]タブで、塗りつぶしや枠線の色、図形のスタイルを変更する
- 図形をクリックして文字を入力し、図解のラベルにする
- [配置]の機能で整列や等間隔の配置を行い、ばらつきを整える
- 形を別のものにしたいときは、[図形の編集]→[図形の変更]で書式を保ったまま形だけ差し替える
手書きの段階では大きさがそろっていなくても、変換後にサイズや配置を整えれば、見やすい図解になります。
色とスタイルは最後にまとめて決める
複数の図形を選択してから色やスタイルを設定すると、一度に統一できます。役割ごとに色を分ける(例:開始と終了は同じ色、処理は別の色)といったルールを決めておくと、見る人が流れを追いやすくなります。
うまく使えないときの確認ポイント
- [インクを図形に変換]が表示されない:Microsoft 365のサブスクリプション版か、PowerPointが最新の状態に更新されているかを確認します。
- 変換ボタンが使えない:接続エクスペリエンスが無効になっていないかを、[ファイル]→[アカウント]の[設定の管理]で確認します。
- 関係ない線まで変換される:なげなわ選択ツールで、変換したいインクだけを囲んで選択し直します。
まとめ
PowerPointのインクを図形に変換する機能を使うと、手書きで描いた形を整った標準図形に置き換え、手早く図解を作れます。ポイントを振り返ります。
- Microsoft 365のサブスクリプション向け機能で、Windows版とiOS版で利用でき、接続エクスペリエンスの有効化が必要
- [描画]タブでインクを描き、選択してから[インクを図形に変換]を選ぶ
- 意図と違う形になったら[その他の候補]から選び直す
- 手書き文字は[インクをテキストに変換]、数式は[インクを数式に変換]で変換できる
- 全体を手書きで描いてからまとめて変換し、配置と色を整えて仕上げる
図形を一つずつ挿入するのが手間に感じるときは、手書きから始めて変換する流れを試してみると、図解づくりの負担を減らせます。