今回は、Word(ワード)ファイルをPDFに変換する方法を紹介します。
WordとPDFは文書形式として広く使われているフォーマットですが、それぞれに特徴があります。
WordはMicrosoft Office製品で編集しやすい形式である一方、PDFは閲覧環境を選ばず、レイアウトが崩れにくいという利点があります。
この記事では、基本的な変換方法から詳細設定まで、ワードファイルをPDFに変換するさまざまな方法を解説します。
WordとPDFの違いと変換するメリット
まずは、WordとPDFの違いと、なぜ変換が必要になるのか、そのメリットについて解説します。
WordとPDFの違い
Word(ワード)は文書作成に特化したフォーマットで、Microsoft Officeに含まれるWord(ワード)で作成・編集が可能です。一方、PDF(Portable Document Format)は「持ち運びが便利な文書形式」という意味で、様々な環境で同じレイアウトで文書を表示できるように設計されています。
Wordは編集のしやすさが最大の特徴ですが、閲覧するには基本的にWord(またはWord Viewer)が必要です。これに対してPDFは閲覧環境を選ばないという大きなメリットがあります。EdgeやGoogle Chromeなどのブラウザでも開けるため、相手のパソコン環境を気にする必要がありません。
変換するメリット
Word文書をPDFに変換する主なメリットは以下の通りです:
- 閲覧環境を選ばず、多くのデバイスで同じように表示できる
- レイアウトが崩れにくく、作成者の意図通りに文書を伝えられる
- 編集されにくいため、公式文書や完成版の配布に適している
- スマートフォンやタブレットでも見やすい
- ファイルサイズを最適化できる場合がある
基本的なPDF変換方法
Word文書をPDFに変換する基本的な方法はいくつかありますが、最も一般的で簡単な方法を紹介します。
「名前を付けて保存」でPDFに変換する方法
最も簡単な方法は、「名前を付けて保存」機能を使ってPDFとして保存することです。
- Word文書を開きます
- 左上の「ファイル」タブをクリックします
- 「名前を付けて保存」を選択します
- 保存先を選択します(例:デスクトップ)
- 「ファイルの種類」のプルダウンメニューから「PDF」を選択します
- ファイル名を入力します
- 「保存」ボタンをクリックします
これで、WordファイルがPDFに変換されて保存されます。特別なソフトやツールは必要なく、Wordの標準機能だけで変換できます。
「エクスポート」機能を使う方法
もう一つの方法は、「エクスポート」機能を使う方法です。
- Word文書を開きます
- 「ファイル」タブをクリックします
- サイドメニューから「エクスポート」を選択します
- 「PDF/XPSドキュメントの作成」を選択します
- 「PDF/XPSの作成」ボタンをクリックします
- 保存先を選択し、ファイル名を入力します
- 「保存」ボタンをクリックします(Wordのバージョンによっては「発行」と表示される場合もあります)
「名前を付けて保存」と「エクスポート」の違いは、エクスポート機能の方がPDF作成に特化したオプションが用意されている点です。PDF形式で発行するための設定をより詳細に行いたい場合は、エクスポート機能を使うとよいでしょう。
PDFの詳細設定とオプション
基本的な変換方法を理解したところで、より高度な設定やオプションについて見ていきましょう。これらの設定を活用することで、目的に応じた最適なPDFを作成できます。
PDFオプションの設定方法
PDFに変換する際にオプション設定を行うには、次の手順で操作します:
- 「名前を付けて保存」または「エクスポート」でPDF保存画面を表示させます
- 「ファイルの種類」で「PDF」を選択した後、画面下部に表示される「オプション」ボタンをクリックします
- PDFオプションダイアログが表示されるので、必要な設定を行います
- 「OK」をクリックして設定を確定し、保存画面に戻ります
- 「保存」ボタンをクリックしてPDFを作成します
主なPDFオプション設定
PDFオプションでは、以下のような設定が可能です:
1. ページ範囲の指定
文書の全ページをPDFにするか、特定のページのみをPDFにするかを選択できます。
- 「すべて」:文書全体をPDF化
- 「現在のページ」:現在表示しているページのみをPDF化
- 「ページ指定」:例えば「1-3,5,7-9」のように、特定のページや範囲を指定
2. 最適化設定
PDFファイルの用途に応じて最適化の方法を選択できます。
- 「標準」:画像の品質を優先したPDFを作成(印刷用に適している)
- 「最小サイズ」:ファイルサイズを小さくしたPDFを作成(Web公開やメール送信に適している)
3. テキスト認識と互換性
PDFのバージョンや互換性に関する設定も可能です。
- 「ISO 19005-1準拠(PDF/A)」:長期保存用のPDF形式(アーカイブ用)
- 「フォントの埋め込み」:フォントをPDFに埋め込むかどうかの設定
- 「フォントの埋め込みが不可能な場合は、テキストをビットマップに変換する」:特殊なフォントを使用している場合や、フォントライセンスの問題で埋め込めないフォントがある場合に有効。この設定を有効にすると、埋め込めないフォントのテキストは画像として保存されるため、どの環境でも同じ見た目で表示されますが、テキスト検索はできなくなります
4. しおり機能
PDFの目次となる「しおり」を自動作成するオプションもあります。
- 「Word見出しをしおりとして作成」:Word文書の見出しスタイルをPDFのしおりとして反映。このオプションを選択すると、Wordで設定した「見出し1」「見出し2」などのスタイルが、PDFのしおりとして自動的に作成されます。長い文書の場合、読者が目的のセクションに素早くアクセスできるため、閲覧性が向上します
5. プロパティと文書情報
文書のプロパティ情報(作成者、タイトル、キーワードなど)をPDFに含めるかどうかも設定できます。セキュリティを考慮する場合は、これらの情報を含めないように設定することも可能です。
特殊なケースでの変換方法
通常の変換方法でうまくいかない場合や、特殊な要件がある場合の対処法を紹介します。
レイアウトが崩れる場合
変換後にレイアウトが崩れる場合は、以下の対策が有効です:
- フォントを埋め込む設定を有効にする
- 特殊なフォントを使用している場合は標準フォントに置き換える
- 複雑な図表やオブジェクトは画像として挿入し直す
大容量ファイルの最適化
PDFファイルのサイズが大きすぎる場合は:
- 「最小サイズ」オプションを選択する
- 高解像度の画像を圧縮する
- 不要なメタデータを削除する
Adobe AcrobatなどのPDF専用ツールでの変換
Word標準機能でのPDF変換に加えて、PDF専用ツールを使った変換方法も紹介します。
Adobe Acrobatの利用
Adobe AcrobatはPDFの作成・編集に特化したソフトウェアで、より高度なPDF作成が可能です。
Adobe Acrobat DCがインストールされている場合:
- Word文書を開きます
- 「Acrobat」タブをクリックします
- 「PDFを作成」をクリックします
- 保存先とファイル名を指定して「保存」をクリックします
Adobe Acrobat側から変換する場合:
- Adobe Acrobat DCを起動します
- 「ファイル」→「作成」→「ファイルからPDF」を選択します
- 変換したいWordファイルを選択して「開く」をクリックします
オンライン変換ツールの利用
Wordがインストールされていない環境でも、オンラインの変換ツールを利用してPDF変換ができます。ただし、機密情報を含む文書の場合は、セキュリティ面での懸念があることを念頭に置いてください。
主なオンライン変換ツール:
- Adobe Acrobatオンラインツール
- Smallpdf
- iLovePDF
使用方法は基本的に次の流れになります:
- オンラインツールのウェブサイトにアクセスします
- 「ファイルを選択」または「ドラッグ&ドロップ」でWordファイルをアップロードします
- 変換処理が自動的に行われます
- 変換完了後、PDFファイルをダウンロードします
PDFからWordへの逆変換について
PDFをWordに逆変換する方法についても簡単に触れておきましょう。
WordでPDFを開く方法
Word 2013以降では、PDFファイルを直接開いて編集することができます。
- Wordを起動します
- 「ファイル」→「開く」→「参照」を選択します
- ファイル選択画面でPDFファイルを選択して「開く」をクリックします
- PDFをWord文書に変換する旨のメッセージが表示されるので「OK」をクリックします
ただし、複雑なレイアウトや画像が多いPDFはWordで開いた際にレイアウトが崩れる可能性が高いので注意が必要です。
専用ツールでの逆変換
より精度の高い変換が必要な場合は、Adobe Acrobat DCや専用のPDF編集ソフトを使用することをおすすめします。これらのツールは、PDFの構造を解析してWord文書に変換する機能を提供しています。
まとめ
Word文書をPDFに変換する方法は、基本的なものから詳細設定まで様々です。用途に応じて最適な方法と設定を選ぶことで、効率的に質の高いPDFを作成できます。
- 基本的な変換方法:「名前を付けて保存」または「エクスポート」機能
- 詳細設定:PDFオプションでページ範囲、最適化、互換性などを設定
- 特殊なケース:レイアウト崩れや大容量ファイルへの対処法
- 専用ツール:Adobe AcrobatやオンラインツールでのPDF変換
PDF変換の際は、変換後の確認を忘れずに行い、意図したとおりのファイルになっているかチェックすることが重要です。また、機密情報を含む文書をオンラインツールで変換する場合は、セキュリティリスクも考慮してください。