今回は、EXCEL(エクセル)のWeb版について紹介します。
インターネット環境があればどこからでも無料で利用できるExcel Web版は、通常のデスクトップ版とは異なる特徴を持っています。
本記事では、Excel Web版の基本的な使い方からメリット・デメリット、通常版との違いを解説します。
Excel Web版とは
Excel Web版(Excel for the web、Excel Online)とは、マイクロソフトが提供する無料のクラウド版Excelです。インターネットブラウザを通じて利用できるため、特別なソフトウェアのインストールが不要で、インターネット接続環境があればどこからでもアクセスして使うことができます。
基本的な表計算やデータ分析、グラフ作成などの機能が備わっており、オンラインでの共同作業に便利なツールです。Microsoftアカウントを持っていれば、誰でも無料で利用することができます。
Excel Web版の始め方
Excel Web版の始め方について解説します。
1. Microsoftアカウントの準備
Excel Web版を利用するには、まずMicrosoftアカウントが必要です。すでにアカウントを持っている方はそのままログインできますが、持っていない方は新規で作成する必要があります。Microsoftの公式サイトからアカウントを無料で作成できます。
2. Microsoft 365のウェブサイトにアクセス
Microsoftアカウントを用意したら、ウェブブラウザで「Microsoft 365」または「Office.com」のウェブサイトにアクセスします。Google ChromeやMicrosoft Edge、Safariなど、主要なブラウザから利用可能です。
3. サインイン
サイトにアクセスしたら、準備したMicrosoftアカウントでサインインします。メールアドレスとパスワードを入力してログインします。
4. Excel Web版の起動
サインイン後、Microsoft 365のホーム画面が表示されます。画面左側に表示されているアプリのアイコンから「Excel」を選択します。
5. 新規作成または既存ファイルを開く
Excel Web版を起動すると、新しいブックを作成するか、既存のファイルを開くかを選択できます。新規作成する場合は「新しい空のブック」をクリックします。既存のファイルを開く場合は、OneDriveに保存されているファイル一覧から選択します。
Excel Web版の主な機能と使い方
Excel Web版には、デスクトップ版と同様の基本的な機能が備わっています。ここでは、Excel Web版の主な機能と使い方を紹介します。
基本的なデータ入力と編集
セルにデータを入力するには、該当するセルをクリックして入力します。Enter キーを押すと入力が確定し、次のセルに移動します。セルの内容を編集するには、セルをダブルクリックするか、F2キーを押します。
表の作成と書式設定
Excel Web版では、表の作成や書式設定も可能です。「挿入」タブから「テーブル」を選択して表を作成できます。また、「ホーム」タブの「スタイル」グループから表のスタイルを設定することができます。
基本的な計算式と関数
Excel Web版でも、SUM、AVERAGE、COUNTなどの基本的な関数が使用できます。セルに「=」を入力し、続けて関数名を入力すると候補が表示されます。また、「オートSUM」機能も利用可能で、数値を合計するなどの基本的な計算がワンクリックで行えます。
グラフの作成
データを視覚的に表現するためのグラフ作成機能も備わっています。データを選択した状態で「挿入」タブから「グラフ」を選択し、適切なグラフタイプを選びます。グラフの種類は、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなど、基本的なものが用意されています。ただし、3Dグラフやマップグラフなどの一部の高度なグラフタイプはデスクトップ版でのみ利用可能です。
共同編集機能
Excel Web版の特徴の一つが、複数人での共同編集機能です。ファイルを共有すれば、異なる場所にいる複数のユーザーが同時に同じブックを編集することができます。編集中は、他のユーザーの変更がリアルタイムで反映されるため、チームでの作業効率が向上します。
Excel Web版のメリット
Excel Web版には、通常のデスクトップ版にはない様々なメリットがあります。ここでは、主なメリットを紹介します。
無料で利用できる
Excel Web版は、Microsoftアカウントさえあれば無料で利用できます。高価なMicrosoft Officeのライセンスを購入する必要がなく、コスト削減につながります。個人利用や小規模なビジネスにおいては、大きなメリットとなります。
インストール不要でどこからでもアクセス可能
Excel Web版はブラウザで動作するため、パソコンにソフトウェアをインストールする必要がありません。インターネット環境があれば、自宅のパソコンだけでなく、外出先のパソコンやタブレット、スマートフォンからでもアクセスして作業ができます。
自動保存機能でデータ紛失のリスクが低減
Excel Web版では、編集内容が自動的にクラウド上に保存されるため、突然のシステム障害やブラウザのクラッシュが発生しても、データが失われるリスクが低減されます。「保存し忘れた」という心配もありません。
リアルタイムでの共同編集が可能
複数のユーザーが同じファイルを同時に編集できる共同編集機能は、チームでの作業を効率化します。変更内容がリアルタイムで反映されるため、情報の共有がスムーズに行えます。また、コメント機能を使えば、特定のセルに対する質問や指摘も簡単に行えます。
ブラウザでの表示が保証される
通常のExcelファイルをメールで送る場合、相手がExcelをインストールしていないと閲覧できない場合があります。しかし、Excel Web版で作成・共有したファイルは、相手がMicrosoftアカウントを持っていれば、ブラウザ上で確実に閲覧できます。
Excel Web版のデメリット
Excel Web版にはメリットがある一方で、デスクトップ版と比較していくつかの制限や機能の違いがあります。ここでは、主なデメリットを紹介します。
オフラインでは利用できない
Excel Web版はインターネット接続が必須のサービスです。インターネット環境がない場所や、接続が不安定な状況では利用できません。重要な作業を行う際は、注意が必要です。
一部の高度な機能が制限されている
Excel Web版では、デスクトップ版の全ての機能が利用できるわけではありません。マクロやVBAなどの高度な自動化機能、一部の高度なデータ分析機能などが制限されています。また、3Dグラフやマップグラフなどの特殊なグラフ機能も使用できません。複雑な処理や分析が必要な場合は、デスクトップ版が適しています。
大規模なデータ処理には不向き
Excel Web版はブラウザ上で動作するため、大量のデータを扱う場合や複雑な計算を行う場合、パフォーマンスが低下する可能性があります。大規模なデータベースの管理や複雑な分析には、デスクトップ版の方が適しています。
一部のショートカットキーが異なる
Excel Web版では、デスクトップ版で使用できる一部のショートカットキーが使用できなかったり、異なる操作になる場合があります。特に、ブラウザの標準ショートカットキーとの競合が発生することがあるため、デスクトップ版に慣れているユーザーは操作に戸惑う場合があります。
印刷関連の機能が限定的
Excel Web版では、印刷プレビューやページレイアウトの詳細設定、印刷タイトルの設定など、印刷関連の機能が限定されています。印刷に関する細かい調整が必要な場合は、デスクトップ版を使用した方が良いでしょう。
Excel Web版とデスクトップ版の主な違い
Excel Web版とデスクトップ版には、様々な違いがあります。ここでは、主な違いについて解説します。
利用可能な機能の違い
前述のように、Excel Web版ではデスクトップ版のすべての機能が利用できるわけではありません。基本的なデータ入力や計算、グラフ作成などの機能は利用できますが、マクロやVBA、一部の高度な分析機能などが制限されています。
インターフェースの違い
Excel Web版とデスクトップ版は、基本的なインターフェースは似ていますが、細部に違いがあります。例えば、リボンのタブやグループの配置、一部のボタンの有無などが異なります。Web版ではブラウザの制約もあり、デスクトップ版よりもシンプルなインターフェースになっています。
操作性の違い
Web版はブラウザ上で動作するため、デスクトップ版と比べると若干の操作の遅延やレスポンスの違いを感じることがあります。また、ドラッグ&ドロップの挙動やショートカットキーの対応なども異なる場合があります。
共同編集機能の違い
Excel Web版では、複数ユーザーによるリアルタイムでの共同編集が可能ですが、デスクトップ版では、Microsoft 365のサブスクリプションを契約している場合を除き、この機能は制限されています。共同作業を頻繁に行うチームにとっては、Web版の方が適している場合があります。
ファイル形式の対応の違い
Excel Web版では、基本的に.xlsxファイル形式が推奨されています。古い形式の.xlsファイルも開くことはできますが、自動的に.xlsx形式に変換されます。また、マクロ付きファイル(.xlsm)などは、Web版では機能が制限される場合があります。
Excel Web版が特に役立つシーン
Excel Web版は、特定のシーンや状況において特に役立ちます。ここでは、Excel Web版が特に効果を発揮するシーンを紹介します。
チームでの共同作業
複数のメンバーで同じファイルを編集する必要がある場合、Excel Web版のリアルタイム共同編集機能は便利です。例えば、プロジェクト管理表や予算管理表などを複数人で更新する場合、変更内容がリアルタイムで反映されるため、常に最新の情報を全員が共有できます。
外出先や移動中での作業
出張先や移動中など、自分のパソコンが手元にない状況でもExcelファイルを確認・編集したい場合、Excel Web版は最適な選択肢です。インターネット環境さえあれば、どのパソコンからでもアクセスできます。また、スマートフォンやタブレットからもブラウザを通じて利用できるため、急な対応も可能です。
簡易的なデータ集計や分析
大規模なデータ処理ではなく、簡易的なデータ集計や分析を行いたい場合、Excel Web版で対応できます。基本的な関数やグラフ機能を使って、日常的な業務レポートや個人的なデータ管理などが行えます。
コスト削減が必要な場合
Microsoft Officeのライセンス費用を削減したい個人や小規模事業者にとって、Excel Web版は理想的な選択肢です。無料で利用できながらも、基本的な機能は網羅されているため、多くの一般的な作業に対応できます。
※商用利用をする場合は、Microsoft 365の有料プラン契約が必要です。
教育現場での活用
学校や教育機関でExcelの基本操作を学ぶ際にも、Excel Web版は適しています。学生がそれぞれのアカウントでログインし、同じ教材ファイルを利用できます。また、教師が学生の作業状況をリアルタイムで確認することも可能です。
まとめ
Excel Web版は、インターネット環境があればどこからでも無料で利用できる便利なツールです。基本的な表計算やデータ分析機能を備えており、チームでの共同作業やモバイル環境での利用に適しています。
ただし、すべての機能がデスクトップ版と同等に利用できるわけではなく、高度な分析や大規模なデータ処理、マクロなどの機能には制限があります。用途や状況に応じて、Web版とデスクトップ版を使い分けることが重要です。