今回は、Wordでグラフを作成する方法を紹介します。
ビジネス文書やレポート、論文などを作成する際、数値データを文字だけで羅列するのではなく、グラフを用いて視覚化することは重要です。
適切にグラフを使用することで、データの傾向や比較が一目で伝わり、読み手にとって理解しやすい文書となります。
Wordには、Excelと同様の強力なグラフ作成機能が標準で搭載されており、ゼロからグラフを作成することも、既存のExcelデータを活用することも可能です。
本記事では、Wordでの基本的なグラフ作成手順から、見やすくするための編集方法、Excelデータとの連携テクニックまで解説します。
Wordでグラフを作成するメリット
文書作成ソフトのWordでグラフを作成することには、いくつかの明確なメリットがあります。
- 情報の可視化による理解促進: 複雑な数値データを視覚的な形状(棒や円など)に変換することで、推移や割合、比較などが直感的に理解できるようになります。
- 文書の説得力向上: 客観的なデータに基づいたグラフを提示することで、主張の根拠が明確になり、文書全体の信頼性と説得力が高まります。
- 一元管理の利便性: 別のソフトで作成した画像を貼り付けるのではなく、Word内で直接データを保持・編集できるため、修正が生じた際もWordファイルを開くだけで完結します。
基本的なグラフの作成手順
まずは、Wordの機能を使って新規にグラフを作成する基本的な流れを解説します。Excelの操作に慣れているユーザーであれば違和感なく進められます。
グラフを挿入する
Wordの文書内の任意の位置にグラフを挿入する手順は以下の通りです。
- グラフを挿入したい位置にカーソルを合わせます。
- 画面上部のリボンにある[挿入]タブをクリックします。
- 「図」グループの中にある[グラフ]をクリックします。
- 「グラフの挿入」ダイアログボックスが表示されます。左側のメニューから作成したいグラフの種類(例:縦棒、折れ線、円、横棒など)を選択します。
- 上部のサムネイルから好みのスタイル(集合縦棒、積み上げ縦棒など)を選び、[OK]ボタンをクリックします。
これで、文書上にサンプルのグラフが挿入され、同時に「Microsoft Word 内のグラフ」というタイトルのExcelウィンドウ(スプレッドシート)が自動的に開きます。
データを入力・編集する
グラフが挿入されると表示されるExcelウィンドウを使って、実際のデータを入力します。初期状態ではサンプルデータ(カテゴリ1、系列1など)が入力されています。
- Excelウィンドウのセルに、グラフ化したい実際の数値を入力して書き換えます。
- 「カテゴリ」や「系列」といった項目名も、実際の内容(例:「4月」「5月」や「売上」「利益」など)に変更します。
- データの入力範囲(グラフに反映される範囲)は、青い枠線で囲まれています。データ数が増減する場合は、この青い枠線の右下の角をドラッグして範囲を調整します。
- すべてのデータの入力が完了したら、Excelウィンドウの右上の[閉じる]ボタン(×)をクリックして閉じます。
Excelウィンドウを閉じると、入力したデータに基づいてWord上のグラフが即座に更新されます。
目的に合わせたグラフの種類の選び方
Wordでは多種多様なグラフを作成できますが、データの性質や伝えたい内容に合わせて適切な種類を選ぶことが重要です。代表的なグラフとその用途を紹介します。
- 縦棒グラフ: データの大きさを比較したり、時系列での変化を示したりするのに適しています。最も一般的で汎用性が高いグラフです。
- 折れ線グラフ: 時間の経過に伴うデータの推移や変化の傾向(トレンド)を表現するのに最適です。気温の変化や株価の推移などでよく使われます。
- 円グラフ: 全体に対する各項目の構成比(割合)を表すのに適しています。シェア率やアンケート結果の回答比率などに利用されます。
- 横棒グラフ: 項目名が長い場合や、順位を強調したい場合(ランキング形式など)に適しています。
- 散布図: 2つのデータの相関関係(例:身長と体重の関係など)を調べるために使用されます。
グラフのデザインとレイアウトを編集する
挿入したグラフは、そのままではシンプルすぎる場合があります。リボンにある「グラフのデザイン」タブと「書式」タブを使用して、より見やすく魅力的なグラフに仕上げましょう。
グラフ要素(タイトル、凡例、ラベル)を追加・削除する
グラフに必要な情報を追加したり、不要な情報を削除したりすることで、情報の伝わりやすさを調整します。
- 編集したいグラフをクリックして選択します。
- グラフの右上に表示される[+](グラフ要素)ボタンをクリックします。
- 表示されたリストから、表示したい要素にチェックを入れ、非表示にしたい要素のチェックを外します。
- 軸ラベル: 縦軸や横軸が何を表しているか(例:「売上金額(円)」「年度」)を明記します。
- データ ラベル: グラフの各要素(棒や点)に具体的な数値を表示します。
- 凡例: グラフの各系列が何を表しているかを示す説明書きです。
各要素の右側にある矢印(▶)をクリックすると、表示位置などの詳細なオプションを設定できます。
グラフのスタイルと色を一括変更する
Wordには、プロがデザインしたような配色やスタイルがあらかじめ用意されています。これらを利用することで、手軽にデザイン性を向上させることができます。
- グラフを選択し、リボンの[グラフのデザイン]タブをクリックします。
- 「グラフ スタイル」グループに表示されているスタイルの一覧から、好みのものをクリックして適用します。
- [色の変更]ボタンをクリックすると、グラフ全体の配色テーマ(カラフル、モノクロなど)を変更できます。文書全体のトーンに合わせて選択してください。
特定の要素の書式を個別に変更する
グラフ内の一部の文字サイズを大きくしたり、特定の棒の色だけを目立たせたりすることもできます。
- 変更したい要素(例:特定の棒、特定のテキストなど)をクリックして選択します。再度クリックすると、系列全体ではなく単一の要素だけを選択できます。
- リボンの[書式]タブをクリックします。
- 「図形のスタイル」や「ワードアートのスタイル」グループの機能を使って、塗りつぶしの色、枠線、文字の効果などを調整します。
または、選択した要素を右クリックして表示されるメニューから[データ系列の書式設定]などを選択すると、画面右側に詳細な設定ウィンドウが表示され、より細かな調整が可能です。
ExcelのデータをWordに貼り付ける方法
すでにExcelでデータ集計やグラフ作成を行っている場合、そのグラフをWordに貼り付けて活用するのが効率的です。貼り付け方には大きく分けて2つの方法があり、用途に応じて使い分ける必要があります。
方法1:リンク貼り付け(データを連動させる)
Excelの元データとWordのグラフをリンクさせる方法です。Excel側で数値を修正すると、Word側のグラフにも自動的(または手動更新で)に反映されます。定期的な報告書など、データが更新される可能性がある場合に適しています。
- Excelを開き、Wordに貼り付けたいグラフをクリックして選択し、コピーします(Ctrl + C キー、または右クリックして[コピー])。
- Wordを開き、貼り付けたい位置にカーソルを置きます。
- [ホーム]タブの「貼り付け」の下にある矢印をクリックし、[形式を選択して貼り付け]を選びます(または右クリックメニューの「貼り付けのオプション」を使用)。
- 貼り付けのオプションで、以下のいずれかのアイコン(鎖のマークが付いているもの)を選択します。
- [リンク (元の書式を保持)]: Excelでの見た目をそのまま維持してリンクします。
- [リンク (貼り付け先のテーマを使用)]: Wordの文書テーマ(フォントや配色)に合わせて見た目を調整しつつリンクします。
方法2:埋め込み(データをWord内に保持する)
Excelとのリンクを切断し、その時点のデータをWordファイル内に埋め込む方法です。Excelファイルが移動・削除されても影響を受けませんが、データの更新はWord内で行う必要があります。提出用の資料など、後からデータが変わってほしくない場合に適しています。
- Excelでグラフをコピーします。
- Wordで貼り付けのオプションから、鎖のマークが付いていないアイコンを選択します。
- [ブックを埋め込む]などが該当します。
単純に「図(画像)」として貼り付けることも可能ですが、その場合は後から数値の編集ができなくなるため注意が必要です。
よくある質問とトラブルシューティング
Wordでのグラフ作成に関して、ユーザーがつまずきやすいポイントとその解決策をまとめました。
Q1. グラフのデータ編集画面(Excelウィンドウ)をもう一度開きたい
一度閉じてしまったデータ入力用のExcelウィンドウは、いつでも再表示できます。
- グラフを選択します。
- リボンの[グラフのデザイン]タブをクリックします。
- 「データ」グループにある[データの編集]ボタンをクリックします。
Q2. グラフの一部が欠けて表示される、または配置がおかしい
グラフのサイズや「文字列の折り返し」の設定を確認してください。
- グラフの周囲にあるハンドル(白い丸)をドラッグして、表示エリアを広げてみてください。
- グラフを選択した状態で、右上に表示される[レイアウト オプション]アイコンをクリックし、「文字列の折り返し」を「四角」や「上下」などに変更することで、文章との配置バランスを調整できます。
Q3. グラフのタイトルを削除してしまった
誤ってタイトルを削除した場合でも、簡単に復活させることができます。グラフを選択し、右上の[+]ボタンから[グラフ タイトル]にチェックを入れ直してください。
まとめ
今回は、Wordでグラフを作成する手順について、基本から応用まで解説しました。
Wordのグラフ機能はExcelに似ています。適切に使いこなすことで、読み手にとって分かりやすく、説得力のある文書を作成することができます。
まずは基本的な棒グラフや円グラフの作成から始め、徐々にデザインの調整やExcel連携などの機能も活用してみてください。