今回は、PowerPointの「スライドショーの録画」機能を使用して、プレゼンテーションに音声ナレーションやレーザーポインターの動きを記録し、動画ファイルとして保存・共有する方法について紹介します。
スライドショーの録画機能とは何か
リモートワークの普及やオンライン学習の拡大に伴い、「決まった時間に全員が集まってプレゼンを聞く」というリアルタイムの会議だけでなく、「作成したプレゼン資料を後から各自で見てもらう」というオンデマンド型の情報共有が非常に重要になってきました。
しかし、スライドのファイル(.pptx)だけをメールで送っても、アニメーションのタイミングや、発表者が口頭で補足するはずだった重要なニュアンスまでは伝わりません。
PowerPointの「スライドショーの録画」機能は、自分がスライドをめくりながら話す「音声(ナレーション)」や、画面上の注目してほしい部分を指し示す「レーザーポインターやペンの軌跡」、さらにはWebカメラを使った「発表者の顔(ワイプ映像)」までも、スライドの進行と完全に同期させて記録できる機能です。
この録画データをMP4などの動画ファイルとして書き出せば、社内ポータルや動画共有サイトにアップロードするだけで、いつでも誰でも「実際のプレゼンを受けているのと同じ体験」を提供できるようになります。
録画に向けた事前の準備
録画をスムーズに行うためには、いくつか準備が必要です。
- マイクとカメラの確認:
パソコンに内蔵されているマイクでも録音は可能ですが、よりクリアな音声で伝えたい場合は、USB接続のヘッドセットマイクなどを使用することをおすすめします。顔出しをする場合はWebカメラの接続も確認します。 - ノート(原稿)の作成:
録画中は、画面上に発表者用の「ノート」を表示させながらカンペとして読むことができます。あらかじめ各スライドのノート領域に話す内容(スクリプト)を入力しておくと、言い淀むことなくスムーズに録音を進められます。
スライドショーの録画を行う基本的な手順
準備が整ったら、実際に録画を開始します。
録画画面の立ち上げと各種設定
リボンの「スライドショー」タブを開き、「スライドショーの記録(または録画)」というアイコンをクリックします。
「現在のスライドから録画」か「先頭から録画」のどちらかを選択すると、普段の編集画面とは異なる、黒を基調とした専用の「録画ウィンドウ」がフルスクリーンで立ち上がります。
画面の構成は以下のようになっています。
- 中央: 現在のスライドが大きく表示されます。
- 左上(録画コントロール): 「録画(赤い丸)」「停止」「再生」ボタンが並んでいます。
- 上部中央(ノート):
「ノート」という文字をクリックすると、あらかじめ入力しておいた原稿がスライドの上部に表示されます。文字を大きくするボタン(A+)もあるため、読みやすいサイズに調整します。 - 下部(ツール類):
レーザーポインター、消しゴム、ペン、蛍光ペンなどの描画ツールと、色のパレットが並んでいます。 - 右下(デバイスのオンオフ):
マイクのミュート解除ボタンと、カメラのオンオフ(顔出しのワイプ映像)を切り替えるボタンがあります。
ここで、マイクがオンになっていること、そして必要に応じてカメラがオンになっていることを確認します。
録画の開始とスライドの進行
左上の赤い「録画」ボタンをクリックすると、画面の中央に「3、2、1」というカウントダウンが表示され、録画がスタートします。
用意したノートの原稿を読み上げながら、通常のプレゼンと同じように右矢印キーやマウスクリックで「次のアニメーション」や「次のスライド」へと進めていきます。
このとき、画面下部にある「レーザーポインター」を選択してスライド上の重要なグラフを丸く囲むように動かしたり、「ペン」を選んで文字にアンダーラインを引いたりすると、その動きも音声と一緒にすべて記録されます。
途中で言い間違えてしまったり、咳き込んでしまったりした場合は、左上の「停止」ボタンを押して録画を一時停止します。
録画の修正と動画ファイルへの書き出し(エクスポート)
一発勝負で全スライドを完璧に録音し切るのはプロでも至難の業です。
PowerPointの録画機能の最大のメリットは、「スライドごとに録音データが独立して保存されている」ため、失敗したスライドだけを後からピンポイントで録り直せる点にあります。
失敗したスライドの部分的な録り直し
例えば、3枚目のスライドで噛んでしまったとします。
録画ウィンドウの右端または左端にある矢印ボタンを使って、やり直したい3枚目のスライドを表示させます。
画面右上にある「クリア(×印のアイコン)」をクリックし、「現在のスライドの録音/録画をクリア」を選択します。
これで、3枚目の失敗した音声とペンの軌跡だけが綺麗に消去されます(他のスライドの録音データは無事です)。
再度、左上の赤い「録画」ボタンを押し、3枚目のスライドのナレーションだけを吹き込み直して「停止」を押します。
このように、スライド単位でテイク2、テイク3と録り直しができるため、心理的なプレッシャーを大幅に減らしてクオリティの高いプレゼン動画を作成できます。
動画ファイル(MP4)としてエクスポートする
すべてのスライドの録画が完了したら、録画ウィンドウの右上にある「閉じる(×)」ボタンを押して、通常の標準ビューに戻ります。
各スライドの右下に、音声マーク(スピーカーのアイコン)や、顔出しをした場合は自分の映像のワイプが貼り付いていることが確認できます。
この状態のままPowerPointファイル(.pptx)として保存し、「スライドショー」を実行してもらえば、録画したプレゼンが自動再生されます。
しかし、相手がスマートフォンやタブレットで視聴する場合や、PowerPointを持っていない環境を考慮すると、汎用的な「動画ファイル」として書き出しておくのがベストです。
リボンの「ファイル」タブをクリックし、左側のメニューから「エクスポート」を選択します。
「ビデオの作成」をクリックし、解像度(フルHDや標準など)を選びます。
このとき、「記録されたタイミングとナレーションを使用する」が選択されていることを確認し、「ビデオの作成」ボタンをクリックします。
保存先とファイル名(例:新入社員向け研修.mp4)を指定すると、画面下部のステータスバーで動画変換のプログレスバーが伸び始めます。
スライドの枚数や録画時間によっては変換に数分〜数十分かかることがあるため、バーが最後まで到達するのを待ちます。
変換が完了すれば、誰でも再生できるプレゼン動画の完成です。
まとめ
PowerPointの「スライドショーの録画」機能を使用して、プレゼンテーションに音声ナレーションやペンの動きを記録し、動画としてエクスポートする方法について解説しました。
「スライドショー」タブから録画ウィンドウを立ち上げ、ノートを読み上げながらスライドを進めるだけで、臨場感のあるプレゼンを簡単にデジタル化できます。
言い間違えても、スライドごとに個別に録音データをクリアして録り直しができるため、動画編集ソフトのような専門知識がなくても、納得のいくまで修正を繰り返すことが可能です。
完成したデータを「ファイル」タブの「エクスポート」からMP4などのビデオ形式で書き出すことで、時間や場所、デバイスを問わずに共有できる強力なオンデマンドコンテンツとなります。
社内研修のオンライン化や、顧客への提案資料の動画化など、情報をより深く正確に伝えるための手段として、この録画機能を積極的に活用してみてはいかがでしょうか。