今回は、PowerPointで作成した1つのプレゼン資料から、相手や持ち時間に合わせて複数の発表パターン(ダイジェスト版など)を簡単に切り替えられる「目的別スライドショー」機能について紹介します。
発表のたびにスライドを削る手間の悩み
製品の説明会や営業の提案資料など、渾身の力を込めて完成させた50ページの大作プレゼン資料。しかし、実際の現場では「今日は時間が短いから、詳細なデータや導入事例のページは飛ばして、要点だけ10分で話してほしい」といった要望が出ることがよくあります。
このような場合、多くの人は元のファイル(フルバージョン)をコピーして別名で保存し、そこから不要なスライドを削って「ショートバージョン(10分用)」のファイルを作成するのではないでしょうか。この方法でも目的は達成できますが、後日「価格のページを修正した」といった場合、フルバージョンとショートバージョンの両方のファイルを直さなければならず、更新の手間が2倍になってしまいます。また、ファイルがどんどん増えていき、どれが最新版なのか分からなくなってしまうリスクもあります。
「元のファイルは1つのまま、見せるスライドの構成だけをいくつも作っておきたい」という要望に応えるのが、PowerPointの「目的別スライドショー」です。
目的別スライドショーの基本的な作成手順
この機能を使うと、例えば「A社向け」や「短時間用」といった名前を付けた自分専用のスライドショーのセット(再生リストのようなもの)を、1つのファイルの中に複数登録しておくことができます。
新しいスライドショーのパターンを登録する
まずは、フルバージョンのスライドの中から、必要なページだけをピックアップして新しい構成を作ります。
- リボンメニューからスライドショータブを選択します。
- スライドショーの開始グループの中にある目的別スライドショーをクリックし、目的別スライドショーを選択します。
- 「目的別スライドショー」ダイアログボックスが表示されるので、右側にある新規ボタンをクリックします。
- 「目的別スライドショーの定義」という画面が開きます。上部の「スライドショーの名前」に、わかりやすい名前(例:「短時間ダイジェスト版」や「B社提案用」など)を入力します。
- 左側の「プレゼンテーションにあるスライド」の一覧から、このパターンで使いたいスライドのチェックボックスにチェックを入れます。
- 中央の追加ボタンをクリックすると、選んだスライドが右側の「目的別スライドショーを構成するスライド」の一覧に移動します。
- 選び終わったら、OKをクリックして設定を保存します。
右側の一覧に入ったスライドは、名前を選択して右側にある「上へ」「下へ」の矢印ボタンを押すことで、再生する順番を自由に入れ替えることも可能です。元のスライドの順番に縛られず、「結論を先に持ってくる構成」などを手軽に試すことができます。
登録した目的別スライドショーを再生する
設定が完了したら、実際にそのパターンでプレゼンを開始してみましょう。
- スライドショータブの目的別スライドショーをクリックします。
- 先ほど作成した「短時間ダイジェスト版」などの名前がメニューに表示されるので、それをクリックします。
これだけで、フルバージョンの中の指定したスライドだけが、指定した順番で再生されます。不要なスライドを非表示設定にしたり、ファイルを分けたりすることなく、瞬時に場面に合わせたプレゼンを開始できます。
目的別スライドショーをより便利に使うヒント
基本的な設定に加えて、この機能をさらに実用的に活用するための工夫をいくつか紹介します。
目次スライドから各パターンへジャンプ(リンク)させる
「総合カタログ」のような巨大なプレゼン資料を作った場合、目次のページに「製品Aコース」「製品Bコース」といったボタン(図形)を配置し、そこからそれぞれの目的別スライドショーへジャンプさせるという使い方ができます。
- 目次スライドに配置したボタン(図形やテキスト)を右クリックし、リンク(またはハイパーリンク)を選択します。
- 左側のメニューからこのドキュメント内を選択します。
- 「ドキュメント内の場所」の一覧を下へスクロールすると、「目的別スライドショー」という項目があり、作成したパターンの名前が表示されています。
- ジャンプさせたいパターンの名前を選択します。
- このとき、右下にあるサブルーチンとして表示して戻るのチェックボックスにチェックを入れておきます。
- OKをクリックして設定を完了します。
「サブルーチンとして表示して戻る」にチェックを入れたのがポイントです。これにより、目次から「製品Aコース」のスライドショーへ飛んで最後まで再生が終わると、スライドショーが終了するのではなく、再び最初の「目次スライド」に自動的に戻ってくるようになります。対話型のデジタルカタログのような、リッチなプレゼン資料を簡単に作ることができます。
常に特定の目的別スライドショーで開始する設定
ファイルを開いてF5キー(スライドショーの開始ショートカット)を押したとき、通常は1枚目のスライドからすべてのページが再生されます。しかし、「今回は絶対にダイジェスト版しか使わない」と決まっている場合は、デフォルトの再生設定を変更しておくことができます。
- スライドショータブのスライドショーの設定をクリックします。
- 「スライドの表示」の項目にある、目的別スライドショーのラジオボタンを選択します。
- ドロップダウンリストから、デフォルトで再生したいパターンの名前を選び、OKをクリックします。
これで、普通にスライドショーを開始するだけで、指定したパターンが再生されるようになります。
まとめ
今回は、1つのPowerPointファイルから、用途に合わせた複数のスライド構成を自由に作り出せる「目的別スライドショー」機能について解説しました。この機能を活用すれば、「ファイルを別名保存してスライドを削除する」という手間がなくなり、後から内容を修正した際の更新作業も1つのファイルだけで完結します。相手の興味や持ち時間に合わせて柔軟に対応できる、スマートなプレゼン資料の管理方法として、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。