今回は、PowerPointのワードアートと文字の効果を使って、スライドのタイトルや見出しの文字を見やすく装飾する方法と、使いこなすためのコツを紹介します。
この記事は、Windows版のPowerPoint(Microsoft 365、PowerPoint 2024/2021など)を前提にしています。Mac版でも同様の機能がありますが、メニューの表示が異なる部分があります。Office 2016/2019では、タブの名前が[描画ツール]の[書式]タブと表示されます。また、Web版のPowerPointでは、既に挿入されているワードアートを表示できますが、新しく追加するにはデスクトップ版が必要です。ボタンの配置は、画面の幅によって変わることがあります。
ワードアートとは
ワードアートは、文字に塗りつぶし・輪郭・影・光彩・変形などの特殊効果を加えて目立たせる機能です。あらかじめ用意されたスタイルを選ぶだけで装飾された文字を作れ、そのあと色や効果を自由に調整できます。
たとえば、次のような場面で役立ちます。
- 表紙スライドのタイトル文字を印象的にしたい
- 写真の上に文字を重ねるときに、背景に埋もれないようにしたい
- 章の区切りスライドで、見出しだけを強調したい
- 円形のロゴ風デザインのように、文字を曲線に沿って配置したい
ワードアートを挿入する手順
- ワードアートを入れたいスライドを表示します。
- [挿入]タブの[テキスト]グループにある[ワードアート]を選びます。
- 表示されたギャラリーから、目的のワードアートスタイルを選びます。
- スライドに仮の文字(プレースホルダーのテキスト)が選択された状態で表示されるので、そのまま自分の文字を入力して置き換えます。
挿入したワードアートは、枠をドラッグして位置を動かせます。枠の上部にある回転ハンドルをドラッグすると、任意の角度に回転させることもできます。フォントの種類やサイズは、[ホーム]タブの[フォント]グループで、通常の文字と同じように変更できます。
見た目を調整する3つのボタン
ワードアートを選ぶと、[図形の書式設定]タブが表示されます。文字そのものの見た目は、このタブの[ワードアートのスタイル]グループにある次の3つで調整します。
- [文字の塗りつぶし]:文字の内側の色。単色のほか、グラデーション・テクスチャ・画像も選べます
- [文字の輪郭]:文字の外側の線。色・太さ・実線や点線などの種類を設定できます
- [文字の効果]:影・反射・光彩・面取り・3-D回転・変形などの効果を追加できます
[図形のスタイル]との違いに注意
同じタブには[図形のスタイル]グループもありますが、こちらはワードアートを囲む枠(ボックス)と背景に適用されるものです。文字の色を変えようとして[図形の塗りつぶし]を選ぶと、文字ではなく枠の背景に色が付きます。文字を装飾したいときは[ワードアートのスタイル]グループ、枠を装飾したいときは[図形のスタイル]グループ、と覚えておくと迷いません。
[文字の効果]で使える主な効果
[文字の効果]を選ぶと、効果の種類が一覧で表示されます。それぞれにマウスポインターを合わせると、選べるバリエーションが表示されます。
影
文字に影を付けて、背景から浮き上がったように見せる効果です。明るい写真の上に白い文字を置くときなど、文字の輪郭がぼやけやすい場面で読みやすさの助けになります。影の距離やぼかしを細かく調整したい場合は、[影のオプション]から設定します。
反射
文字の下に、鏡に映したような反射を付ける効果です。表紙のタイトルなどに使うと、落ち着いた雰囲気を出せます。
光彩
文字の周りにぼんやりとした光を付ける効果です。暗い背景の上の文字に使うと、文字の形が際立ちます。光彩の色は[その他の光彩の色]から変更できます。
面取り・3-D回転
[面取り]は文字の縁に立体的な角を付けて奥行きを出す効果、[3-D回転]は文字を立体的に傾ける効果です。細かい設定は[3-D オプション]や[3-D 回転オプション]で行います。
変形
文字全体をアーチ状や波形などに曲げる効果です。[文字の効果]の一覧の下のほうにある[変形]から選びます。[変形]が見当たらない場合は、[文字の効果]を選んでいるかを確認してください。
効果は1つだけでなく、複数を組み合わせて使うこともできます。たとえば、変形で文字を曲げたうえで影を付ける、といった使い方ができます。
文字を円形に沿って配置する
ロゴ風のデザインやバッジ風の図解では、文字を円に沿って並べたいことがあります。そのような場合は、変形の[円]を使います。
- ワードアートを選択します。
- [図形の書式設定]タブで、[文字の効果]から[変形]を選びます。
- [パスに従う]の中にある[円]を選びます。
- 枠のサイズ変更ハンドルをドラッグして、目的の大きさと形になるように調整します。
円の図形の周りに文字を配置したい場合は、図形とワードアートの大きさや位置を合わせて重ねます。四角形のように直線の辺を持つ図形の周りに文字を配置したい場合は、辺ごとにワードアートを1つずつ挿入して並べる方法が案内されています。配置が決まったら、図形とワードアートをグループ化しておくと、まとめて移動やコピーができて便利です。
見やすく仕上げるためのTips
通常のテキストボックスやタイトルにも効果を使える
文字の塗りつぶし・輪郭・効果は、ワードアートとして挿入した文字だけでなく、スライド上の通常のテキストにも設定できます。既存のタイトルのプレースホルダーやテキストボックスの文字を選択し、[図形の書式設定]タブの[ワードアートのスタイル]グループから効果を加えれば、レイアウトを崩さずに文字だけを装飾できます。
複数の文字にまとめて同じ効果を付ける
複数の場所の文字に同じ効果を付けたい場合は、最初の文字を選択したあと、Ctrlキーを押しながらほかの文字を選択してから設定します。章見出しなど、複数のスライドで統一したい装飾は、1つ作ったあとに書式のコピーを使う方法もあります。
[塗りつぶしなし]を選ぶときは輪郭を確認する
[文字の塗りつぶし]で[塗りつぶしなし]を選ぶと、文字の内側が透明になります。このとき輪郭が設定されていないと、文字が見えなくなります。袋文字のような見た目にしたいときは、先に[文字の輪郭]で色と太さを設定してから塗りつぶしを外すと、作業しやすくなります。
テーマの色を使うとデザインを変えても色がそろう
文字の色は、できるだけテーマの色から選ぶのがコツです。[その他の色]の[標準]タブや[ユーザー設定]タブで選んだ色は、あとでプレゼンテーションのテーマを変更しても自動では更新されません。テーマの色を使っておけば、デザインを切り替えたときも全体の配色と合わせやすくなります。
効果は控えめに組み合わせる
効果をたくさん重ねると、かえって文字が読みにくくなることがあります。発表資料では、強調したいタイトルや見出しに限って使う、効果は1〜2種類にとどめる、といった方針を決めておくと、資料全体のまとまりを保てます。遠くの席からも読めるか、スライドショーで表示して確認しておくと安心です。
効果を外したいとき
個別の効果を外すには、[文字の効果]から該当する効果を選び、[影なし]や[変形なし]のように「〜なし」を選びます。複数の効果をまとめて外したい場合は、[ワードアートのスタイル]グループのギャラリーを開き、[ワードアートのクリア]を選びます。ワードアートそのものを削除する場合は、枠線が実線の状態(ワードアート全体を選択した状態)でDeleteキーを押します。枠線が破線のときは中の文字が選択されている状態なので、文字だけが削除の対象になります。
まとめ
PowerPointのワードアートは、[挿入]タブからスタイルを選ぶだけで装飾された文字を作れる機能です。挿入後は、[図形の書式設定]タブの[ワードアートのスタイル]グループで、文字の塗りつぶし・文字の輪郭・文字の効果を調整します。
覚えておきたいポイントは次のとおりです。
- 文字の装飾は[ワードアートのスタイル]、枠の装飾は[図形のスタイル]で行う
- [文字の効果]では影・反射・光彩・面取り・3-D回転・変形を組み合わせられる
- 文字を円に沿わせるには、変形の[パスに従う]から[円]を選ぶ
- 色はテーマの色から選ぶと、デザイン変更後もそろえやすい
- 効果は使う場所と種類を絞ると、読みやすい資料になる
タイトルや見出しの文字に少し手を加えるだけで、スライドの印象は変わります。資料の目的に合わせて、効果を取り入れてみてください。