今回は、PowerPointに挿入した画像の一部に「ぼかし」効果を適用し、人物の顔や個人情報などを隠す方法を紹介します。
画像にぼかしを入れるメリットと用途
PowerPointでプレゼンテーション資料を作成する際、自社の商品やイベント風景、あるいは参考資料としてウェブ画面のスクリーンショットなどを貼り付ける機会が多くあります。このとき、写真に写り込んだ関係者以外の顔や、車のナンバープレート、画面上の顧客データやパスワードなど、公開を避けるべき情報が含まれているケースが少なくありません。
このような場合、そのまま資料を配布したりプロジェクターで投影したりすると、個人情報保護の観点から問題になる可能性があります。そこで、画像の特定の部分に「ぼかし(モザイク)」処理を施すことで、全体の雰囲気を損なうことなく、必要な部分だけを効果的に隠すことができます。別の画像編集ソフトを使わなくても、PowerPointの標準機能だけでこの処理を完結させることが可能です。
PowerPointの標準機能でぼかしを入れる基本的な手順
PowerPointには、画像の一部だけを直接ぼかす専用のボタンは用意されていません。しかし、図形の描画機能と画像のトリミング機能を組み合わせることで、擬似的に特定の部分だけをぼかすことができます。
元の画像を複製する
まず、ぼかし効果を加えたい画像をスライド上に配置します。
次に、その画像をコピーし、すぐ横などに貼り付けます。これにより、スライド上には「元の画像」と「複製した画像」の2枚が存在する状態になります。ショートカットキーを使うと、CtrlキーとDキーを同時に押すことで簡単に複製が作成できます。
複製した画像にぼかし効果を適用する
複製した画像を選択した状態で、リボンメニューの「図の形式」タブを開きます。
左側にある「アート効果」をクリックすると、さまざまな視覚効果のプレビューが表示されます。その中から「ぼかし」を選択します。これで、複製した画像全体がぼやけた状態になります。
ぼかしの強さを調整したい場合は、再度「アート効果」をクリックし、一番下にある「アート効果のオプション」を選びます。画面右側に表示される作業ウィンドウで「半径」の数値を大きくするほど、ぼかしが強くなり、元の被写体が判別できなくなります。
ぼかしたい部分だけを残してトリミングする
次に、全体がぼやけた状態の画像を使って、隠したい部分(例:人物の顔)だけを切り抜きます。
ぼかした画像を選択し、「図の形式」タブの右側にある「トリミング」をクリックします。画像の周囲に黒い枠線(トリミングハンドル)が表示されるので、それをマウスでドラッグし、顔の部分だけが残るように範囲を狭めます。範囲が決まったら、画像の枠外をクリックしてトリミングを確定します。
元の画像の上に重ねて配置する
最後に、トリミングして顔の部分だけになった「ぼかし画像」を、元の画像の同じ位置にドラッグして重ね合わせます。
これで、1枚の画像の中で特定の人物の顔だけがぼやけているように見える仕上がりになります。手動で位置を合わせるのが難しい場合は、2つの画像を選択して「図の形式」タブの「配置」機能から、「左揃え」と「上揃え」を選択すると、ピタリと重なります。
図形を使ってぼかし(モザイク)を入れる代替手順
画像の複製とトリミングを使う方法以外にも、図形を活用して特定の領域を隠すというアプローチがあります。この方法は、より自由な形(円形や角を丸くした四角形など)でぼかしを入れたい場合に適しています。
隠したい部分に図形を描画する
まず、スライド上の画像のうち、隠したい部分を覆うように図形を描きます。
「挿入」タブから「図形」を選択し、「楕円」や「正方形/長方形」などを選びます。人の顔を隠す場合は、楕円を選ぶと自然に仕上がります。描画した図形を、隠したい対象のサイズに合わせて配置します。
図形の背景に同じ画像を設定する
描いた図形を選択した状態で右クリックし、「図形の書式設定」を選択します。
右側の作業ウィンドウで「塗りつぶし(図またはテクスチャ)」を選びます。「画像ソース」の「挿入」ボタンを押し、ファイルから元の画像(スライドに貼り付けたのと同じ画像)を選択します。すると、図形の中に画像がはめ込まれた状態になります。
ただし、このままでは画像全体が縮小されて図形内に収まってしまうため、作業ウィンドウの下の方にある「図をテクスチャとして並べる」のチェックを入れます。さらに、「オフセットX」や「オフセットY」の数値を調整して、図形の中の画像と、背景にある元の画像の位置がぴったり合うように微調整します。
図形内の画像にアート効果を加える
位置が合ったら、図形を選択したまま「図の形式」タブの「アート効果」から「ぼかし」を選択します。さらに、図形の枠線が目立たないように、「図形の書式設定」の「線」の項目で「線なし」を選択します。
この手順を踏むことで、図形の形に沿って画像の一部がぼやけているような効果を作り出すことができます。
ぼかした画像を一つの画像として保存する
PowerPoint上で作成した「一部がぼけた画像」は、実は「元の画像」と「ぼかした部品(または図形)」という2つの要素が重なっているだけの状態です。このままの状態で誰かにPowerPointファイルを送ると、受け取った相手が上の部品を動かして、下の隠された元の情報を盗み見てしまうリスクが残ります。
これを防ぐためには、作成した画像を「完全に一枚の画像」として結合させる必要があります。
画像を結合して保存し直す
元の画像と、その上に重ねたぼかし部品(または図形)の両方を、Shiftキーを押しながらクリックして同時に選択します。
選択した状態で右クリックし、「図として保存」を選択します。保存先とファイル名を指定し、PNG形式やJPEG形式などの画像ファイルとしてパソコン上に保存します。
元の画像と差し替える
保存が完了したら、スライド上にある元の画像とぼかし部品を両方とも削除します。
そして、「挿入」タブの「画像」から、先ほど保存した「図として保存」した画像を改めてスライドに貼り付けます。これにより、ぼかし効果が完全に画像自体に組み込まれた状態となり、後から元に戻すことができない安全な画像になります。
プレゼンテーション資料として外部に公開したり配布したりする場合は、必ずこの「図として保存して差し替える」という手順を踏むことが重要です。
まとめ
PowerPointの標準機能である「画像の複製とトリミング」、または「図形の塗りつぶし」と「アート効果」を組み合わせることで、画像の一部にぼかしを入れることができます。
専用の画像編集ソフトが手元にない環境でも、資料作成の流れの中でスムーズにプライバシー保護の処理が行えるため、実用的なテクニックです。また、処理した後は必ず「図として保存」を行い、一枚の画像として定着させることで、情報漏えいのリスクを防ぐことが可能になります。日々の資料作成において、安全で配慮の行き届いたスライドを作るために、この方法を活用することをおすすめします。