今回は、PowerPointの図形にグラデーションの塗りつぶしを設定する方法と、見た目を整えるためのコツを紹介します。単色の図形だけでは平板に見えるスライドに、さりげない立体感や奥行きを加えたいときに役立つ内容です。
グラデーション塗りつぶしの基本
グラデーション塗りつぶしは、図形の中で色が少しずつ別の色へと移り変わっていく塗り方です。同じ色の濃淡で変化させることも、2色以上を混ぜ合わせることもできます。
基本的な図形やテキストボックスだけでなく、グラフ、SmartArt、ワードアートを構成する図形にも設定できます。
この記事の対象環境
この記事は、Windows版のPowerPoint(Microsoft 365)の画面をもとに説明します。リボンの表示名は、バージョンや画面の幅によって「図形の書式」「書式」などと表示が異なる場合があります。
組み込みのグラデーションをすばやく適用する
まずは、用意されているグラデーションを使う方法です。
- 図形をクリックして選択します。
- 表示された[図形の書式]タブで[図形の塗りつぶし]をクリックします。
- [グラデーション]にマウスポインターを合わせ、一覧から好みのパターンを選びます。
一覧に表示されるグラデーションは、現在の塗りつぶし色をもとにした明暗のバリエーションです。先に単色で好みの色を設定してからグラデーションを選ぶと、イメージに近い結果になりやすくなります。
既定のグラデーションを使う
もう少し華やかな配色を試したいときは、既定のグラデーションを使います。
- [図形の塗りつぶし]→[グラデーション]→[その他のグラデーション]をクリックします。
- 画面右側に作業ウィンドウが表示されたら、[塗りつぶし]で[塗りつぶし(グラデーション)]を選びます(バージョンによっては「グラデーションの塗りつぶし」と表示されます)。
- [既定のグラデーション]の一覧から目的のものを選びます。
既定のグラデーションは、そのまま使うだけでなく、自分でグラデーションを作るときの出発点としても便利です。近い雰囲気のものを選んでから色や位置を調整すると、一から作るより手早く仕上がります。
自分好みのグラデーションを作る
既定のグラデーションでは物足りないときは、色や向きを自分で指定してグラデーションを作れます。設定はすべて、[その他のグラデーション]で開く作業ウィンドウで行います。
種類・方向・角度を決める
- 種類:グラデーションの描き方を選びます。一方向に色が変わる「線形」のほか、中心から外側へ広がるタイプなどがあります。
- 方向:色が変化していく向きを選びます。選べる方向は、種類によって変わります。
- 角度:グラデーションを回転させる角度を数値で指定します。種類が「線形」のときだけ使えます。
たとえば、上から下へ少しずつ暗くなる帯を作りたいなら、種類を「線形」にして角度を90°にする、といった使い方ができます。
グラデーションの分岐点を使いこなす
グラデーションを自由に作るうえで中心になるのが、グラデーションの分岐点です。分岐点は、グラデーションを構成する個々の色を表す目印で、スライダー上に並んで表示されます。
- 追加と削除:スライダー横のボタンで分岐点を追加・削除できます。分岐点は最少2個、最大10個まで設定できます。
- 色:分岐点をクリックして選び、[色]から適用する色を選びます。
- 位置:スライダー上で分岐点をドラッグするか、[位置]にパーセンテージを入力して場所を指定します。数値で指定すると、複数の図形で同じ配置を再現しやすくなります。
- 明るさ・透明度:分岐点ごとに個別に調整します。
注意したいのは、色・位置・明るさ・透明度の設定は、選択している分岐点にだけ反映されるという点です。グラデーション全体ではなく、1つずつ設定していくものだと覚えておくと、思った色にならないときの原因を見つけやすくなります。
変更はすぐに図形に反映される
作業ウィンドウでの変更は、その場で図形に反映されます。図形と作業ウィンドウを並べて表示しながら、仕上がりを確認しつつ調整できる一方、ダイアログのように「キャンセル」で一括して取り消すことはできません。元に戻したいときは、クイックアクセスツールバーの[元に戻す](Ctrl+Z)を使います。
見た目を整えるためのコツ
同じ色の濃淡でまとめる
色数を増やすほど派手になり、文字が読みにくくなりがちです。ビジネス資料では、同系色の明るい色と暗い色の2〜3個の分岐点で作ると、落ち着いた印象になります。分岐点の色は同じにして、[明るさ]だけを変える方法も手軽です。
透明度を使って背景になじませる
すべての分岐点を同じ色にして、片側の分岐点だけ[透明度]を上げると、途中から背景に溶け込んでいく塗りつぶしを作れます。写真の上に重ねる帯や、見出しの背景などに使うと、文字を読みやすくしながら写真の雰囲気も残せます。
回転させる図形は「図形に合わせて回転する」を確認する
グラデーションを設定した図形を回転させる場合は、作業ウィンドウの[図形に合わせて回転する]にチェックが入っているかを確認します。オンにしておくと、図形の回転に合わせてグラデーションの向きも回転します。矢印などの図形を傾けて使うときに、色の向きがちぐはぐにならずに済みます。
テーマの色を使うとデザイン変更に強い
分岐点の色は、できるだけテーマの色から選ぶのがおすすめです。[その他の色]の[標準]タブから選んだ色は、後でプレゼンテーションのテーマを変更しても更新されません。テーマの色を使っておけば、配色を変えたときにグラデーションも一緒に切り替わるため、スライド全体の統一感を保ちやすくなります。
同じグラデーションを他の図形にコピーする
作ったグラデーションを別の図形にも使いたいときは、[書式のコピー/貼り付け]が便利です。
- グラデーションを設定した図形を選択します。
- [ホーム]タブの[書式のコピー/貼り付け](ハケのアイコン)をクリックします。
- グラデーションを適用したい図形をクリックします。
[書式のコピー/貼り付け]をダブルクリックすると、複数の図形に続けて適用できます。終了するときはEscキーを押します。
使いすぎに気をつける
グラデーションは、目立たせたい図形に絞って使うと効果的です。すべての図形に設定すると、どこが重要なのかが伝わりにくくなります。基本は単色にして、タイトル帯やポイントとなる図形だけにグラデーションを使う、といったメリハリを意識するとまとまりのあるスライドになります。
まとめ
PowerPointのグラデーション塗りつぶしは、組み込みのパターンを選ぶだけでも使え、分岐点を調整すれば細かな表現もできます。ポイントを振り返ります。
- [図形の書式]→[図形の塗りつぶし]→[グラデーション]で手早く適用できる
- [その他のグラデーション]から既定のグラデーションや種類・方向・角度を設定できる
- 分岐点は2〜10個まで設定でき、色・位置・明るさ・透明度は分岐点ごとに調整する
- 同じ色で透明度だけ変えると、背景になじむ塗りつぶしを作れる
- テーマの色を使い、書式のコピー/貼り付けで他の図形にも統一して適用する
単色の図形が続いて単調に感じるスライドがあれば、まずは同系色の控えめなグラデーションから試してみてください。