今回は、PowerPointの「アニメーションの軌跡(パス)」機能を使用して、スライド上の図形や画像などを自由なルートで動かす方法について紹介します。
アニメーションの軌跡(パス)とは
PowerPointのアニメーション機能には、オブジェクトをその場で出現させる「開始」や、消え去る「終了」、その場で色を変えたり揺れたりする「強調」などがあります。
これらに対して、「アニメーションの軌跡」は、オブジェクトがスライド上のA地点からB地点へと移動する様子を表現するための機能です。
直線的な移動だけでなく、円を描くように回ったり、ジグザグに動いたり、さらには自分で描いた自由な曲線上を移動させたりすることができます。
商品の流通経路を図解で説明する際や、目線を特定の場所に誘導したい場面など、言葉や静止画だけでは伝わりにくい「動き」や「流れ」を視覚的に表現するのに非常に効果的です。
用意されている軌跡の種類
PowerPointには、あらかじめ様々な形の軌跡が用意されています。
- 基本的な図形: 直線、円、四角形など、シンプルで使いやすい軌跡です。
- 線と曲線: 波線、ジグザグ、スパイラルなど、変化に富んだ動きを表現できます。
- 特殊な軌跡: ハート型や星型、涙型など、遊び心のある動きを作りたい場合に使用します。
- ユーザー設定のパス: これが最も自由度が高く、マウスでドラッグして自分で好きな形の軌跡を描くことができます。
軌跡(パス)を設定する基本的な手順
スライド上のオブジェクトに軌跡を設定し、その動きをコントロールする基本的な操作を解説します。
軌跡の追加と種類の選択
まずは、動かしたい図形や画像、テキストボックスなどをクリックして選択状態にします。
リボンの「アニメーション」タブを開き、アニメーションのギャラリー(星のマークが並んでいる部分)の右下にある「その他」ボタン(下向きの矢印に横棒がついたアイコン)をクリックして、すべてのメニューを展開します。
メニューの一番下までスクロールすると、「アニメーションの軌跡」というカテゴリーがあります。
ここから「直線」や「円」など、希望する軌跡の種類をクリックして選びます。
一覧にない複雑な動きを選びたい場合は、一番下にある「その他のアニメーションの軌跡」をクリックすると、さらに多くの種類から選択できるダイアログボックスが開きます。
軌跡を選択すると、オブジェクトの中心から点線と矢印が伸び、薄い色で移動後の位置(残像)が表示されます。この点線がオブジェクトが通るルート(パス)を表しています。
軌跡の始点と終点の調整
設定した軌跡は、デフォルトの長さや方向が決まっていますが、これを自分の意図した位置に変更することができます。
スライド上に表示されている点線の軌跡をクリックして選択すると、軌跡の両端に小さな丸いハンドルが現れます。
- 緑色の丸(始点): アニメーションが開始される位置です。通常はオブジェクトの現在の中心位置と重なっています。
- 赤色の丸(終点): アニメーションが終了してオブジェクトが停止する位置です。
この赤色の丸(終点)をマウスでドラッグすると、移動する距離を伸ばしたり、方向を上下左右に変えたりすることができます。
「ここからここへ動かしたい」という目的地に合わせて、終点の位置を正確にドラッグして配置します。
ユーザー設定のパスで自由な動きを作る
用意されている図形や直線の軌跡では表現しきれない、複雑なルートを通らせたい場合は「ユーザー設定のパス」機能を使います。
自由な軌跡を描画する
動かしたいオブジェクトを選択し、「アニメーション」タブのギャラリーから「アニメーションの軌跡」カテゴリーにある「ユーザー設定のパス」を選択します。
マウスポインターが十字の形に変わったら、オブジェクトの中心付近からドラッグを開始し、動かしたいルートを画面上に一筆書きのようになぞっていきます。
カーブを描いたり、途中で方向を変えたりと、自由に線を描くことができます。
描き終わったら、マウスの左ボタンをダブルクリックするか、キーボードの「Esc」キーを押すと描画が確定し、指定したルート通りにオブジェクトが動くアニメーションが設定されます。
地図の上を車や人が移動するルートを示したり、迷路のような複雑な経路を辿らせたりする表現に最適です。
頂点の編集で軌跡を微調整する
マウスのドラッグで描いた軌跡は、手ブレなどにより線がガタガタになってしまったり、カーブが不自然になってしまったりすることがあります。
そのような場合は、「頂点の編集」機能を使って、後から軌跡の形を滑らかに整えることができます。
描いた点線の軌跡を右クリックし、表示されるメニューから「頂点の編集」を選択します。
すると、軌跡の上に黒い小さな四角形(頂点)がいくつか表示されます。
この黒い頂点をドラッグして位置をずらすことで、軌跡の形を変形できます。
さらに、頂点をクリックすると現れる白いハンドル(方向線)を操作することで、カーブの曲がり具合(なだらかさや鋭さ)を細かく調整することが可能です。
不要な頂点がある場合は、頂点上で右クリックして「頂点の削除」を選ぶと線がシンプルになり、逆にカーブを追加したい場合は軌跡上の何もないところで右クリックして「頂点の追加」を選びます。
軌跡アニメーションを効果的に見せるオプション設定
軌跡を設定しただけでは、動きが機械的で単調に見えることがあります。
「効果のオプション」を使って動きに自然な滑らかさを加えることで、よりクオリティの高いアニメーションに仕上がります。
滑らかな開始と終了の設定
アニメーションウィンドウから、軌跡を設定したアニメーションを右クリックし、「効果のオプション」を選択します。
「効果」タブの中に、「滑らかに開始」と「滑らかに終了」というスライダーがあります。
デフォルトではこれらが「0秒」に近い状態になっており、等速で動き出して突然ピタッと止まる不自然な動きになっています。
これらのスライダーを右に動かして数値を大きくする(例えば全体の継続時間の半分程度にする)と、動き出しが徐々に加速し、止まるときはブレーキをかけるように徐々に減速するようになります。
物理法則に近い自然な動きになるため、プレゼンテーション全体の洗練度が増します。
オートリバース(往復運動)の設定
同じく「効果のオプション」ダイアログボックスの「効果」タブに、「オートリバース」というチェックボックスがあります。
ここにチェックを入れると、オブジェクトが終点まで移動した後、自動的に始点に向かって軌跡を逆走して戻ってくるようになります。
ピストン運動のように行ったり来たりする動きを表現したい場合や、注目を集めるために同じ場所を往復させ続けたい場合(「タイミング」タブで「繰り返し」を設定する)に非常に便利です。
まとめ
PowerPointの「アニメーションの軌跡(パス)」機能を使って、オブジェクトをスライド上で自由に移動させる方法について解説しました。
「アニメーション」タブのギャラリーから直線や円などの軌跡を選ぶだけで、A地点からB地点への移動を簡単に表現でき、赤いハンドルのドラッグで終点を思い通りにコントロールできます。
さらに、「ユーザー設定のパス」を使えば、地図上のルート案内のような複雑な一筆書きの動きも作成でき、「頂点の編集」で後から滑らかなカーブに修正することも可能です。
「効果のオプション」から「滑らかに開始・終了」を設定することで、機械的な等速運動から自然な加減速を伴う動きへとアップグレードさせることが、見栄えを良くする最大のポイントです。
商品の流れやプロセスの変化など、言葉では説明しにくいダイナミックな動きをプレゼンテーションに取り入れたい際に、この軌跡機能を活用してみてはいかがでしょうか。