今回は、Wordの「隠し文字」を使って、画面上では確認できるけれど印刷はしないメモや補足を文書に残す方法を紹介します。作業用のメモ、確認待ちの箇所、解答例など、提出する紙面には出したくない情報を同じファイルで管理したいときに役立つ機能です。あわせて、表示と印刷の切り替え、共有前の確認方法、うまく使うための工夫もまとめます。
この記事は、Windows版のWord(Microsoft 365、Word 2021など)のデスクトップアプリを前提にしています。Mac版やWeb版のWordでは、メニューの場所や利用できる操作が異なる場合があります。
Wordの隠し文字とは
隠し文字は、文字に設定できるフォント効果のひとつです。太字や下線と同じように、選んだ文字に「隠し文字」という書式を付けると、通常の表示では見えなくなり、既定の設定では印刷もされません。
文字そのものを削除するわけではないため、あとから表示して内容を確認したり、書式を外して通常の文字に戻したりできます。「消したくはないが、今は見せたくない」情報を扱うのに向いています。
隠し文字が向いている場面
- 原稿の途中に書いた作業メモや確認事項を、印刷物には出さずに残しておきたいとき
- テストやワークシートで、問題用と解答用を1つのファイルで管理したいとき
- 会議資料の補足説明を、配布用の紙には載せず、説明者だけが画面で確認したいとき
- 文章の別案を一時的に残し、どちらを採用するか後で判断したいとき
コメント機能との違い
Wordにはコメント機能もあります。コメントは本文の横に吹き出しとして表示され、複数人でのやり取りに向いています。一方、隠し文字は本文の中にそのまま書き込めるため、文章の流れの中に補足を埋め込みたい場合に扱いやすいのが特徴です。共同編集で意見を交わすならコメント、自分用の補足や印刷の出し分けなら隠し文字、と使い分けると整理しやすくなります。
文字を隠し文字に設定する手順
隠し文字の設定は、[フォント]ダイアログボックスから行います。
- 隠したい文字や段落を選択します。
- [ホーム]タブの[フォント]グループ右下にある小さな矢印(ダイアログボックス起動ツール)をクリックします。
- [フォント]タブの[文字飾り]にある[隠し文字]にチェックを入れます。
- [OK]をクリックします。
選択していた文字が画面から見えなくなれば設定完了です。
キーボードで設定する方法
Windows版のWordでは、文字を選択した状態でCtrl+Shift+Hを押すと、選択した文字を隠し文字にできます。同じ操作をもう一度行うと隠し文字の設定が外れます。頻繁に使う場合は、ダイアログを開くよりも手早く切り替えられます。
なお、同じキーの組み合わせでも、Office製品によっては別の機能が割り当てられていることがあります。Word以外のアプリでは同じ動作になるとは限らない点に気をつけてください。
隠し文字を画面に表示する方法
隠し文字は見えなくなるため、どこに設定したのかが分からなくなりがちです。編集作業中は、画面上に表示させておくと管理しやすくなります。
[編集記号の表示/非表示]で一時的に表示する
[ホーム]タブの[段落]グループにある[編集記号の表示/非表示](¶のボタン)をオンにすると、段落記号やスペースなどと一緒に、隠し文字も画面に表示されます。隠し文字には点線の下線が付いて表示されるため、通常の文字と見分けられます。
ボタンをもう一度押すと、編集記号とともに隠し文字も再び見えなくなります。一時的に確認したいときに便利な方法です。
常に隠し文字だけを表示しておく
段落記号などは表示したくないけれど、隠し文字だけは常に見えるようにしたい場合は、オプションで設定します。
- [ファイル]タブから[オプション]を開きます。
- [表示]を選びます。
- [常に画面に表示する編集記号]の中にある[隠し文字]にチェックを入れます。
- [OK]をクリックします。
この設定にしておくと、編集記号を非表示にしていても隠し文字は点線の下線付きで表示されます。執筆中は表示しておき、仕上げの段階で外す、といった使い方ができます。
隠し文字を印刷するかどうかを切り替える
既定では隠し文字は印刷されません。ただし、印刷するかどうかは別の設定で切り替えられます。
- [ファイル]タブから[オプション]を開きます。
- [表示]を選びます。
- [印刷オプション]にある[隠し文字を印刷する]のチェックを切り替えます。
チェックを入れると、隠し文字に設定した文字も印刷されます。このとき、画面に表示される点線の下線は印刷されません。
問題用と解答用を出し分けるコツ
この切り替えを利用すると、1つのファイルから2種類の紙面を作れます。
- 問題文の下や空欄の中に解答を入力し、その解答部分を隠し文字に設定します。
- [隠し文字を印刷する]をオフにして印刷すると、問題用の紙面になります。
- オンにして印刷すると、解答が入った解答用の紙面になります。
解答を別ファイルで管理すると、問題を修正したときに解答側の修正を漏らすことがあります。1つのファイルにまとめておけば、修正箇所が1か所で済みます。
印刷前は印刷プレビューで確かめる
隠し文字を表示した状態と非表示の状態では、行の折り返しやページの区切り位置が変わることがあります。隠し文字が多い文書ほど、その差は出やすくなります。印刷する前に[ファイル]タブの[印刷]でプレビューを確認し、意図したレイアウトになっているかを見ておくと安心です。
隠し文字を解除して通常の文字に戻す
隠し文字にした内容を本文として表示したい場合は、設定を外します。
- [編集記号の表示/非表示]をオンにして、隠し文字を画面に表示します。
- 戻したい文字を選択します。
- [フォント]ダイアログボックスを開き、[隠し文字]のチェックを外して[OK]をクリックします。
選択した状態でCtrl+Shift+Hを押して解除することもできます。隠し文字は表示されていないと選択しにくいため、先に表示してから操作するのがポイントです。
共有する前に確認しておきたいこと
隠し文字は、画面上で見えないだけでファイルの中には残っています。社外の人にファイルを渡す場合、相手が編集記号を表示すれば内容を読むことができます。そのため、隠し文字は「人に見せないための仕組み」ではなく、あくまで表示と印刷を切り替えるための書式として考えておくのが適切です。
ドキュメント検査で隠し文字を探す
ファイルに隠し文字が残っているか分からない場合は、ドキュメント検査で確認できます。
- 念のため、元の文書のコピーを保存しておきます。
- [ファイル]タブの[情報]を選びます。
- [問題のチェック]から[ドキュメント検査]を選びます。
- [隠し文字]にチェックが入っていることを確認して、[検査]をクリックします。
- 結果に隠し文字が見つかった場合、不要であれば[すべて削除]で取り除けます。
ドキュメント検査で削除した内容は、元に戻せない場合があります。コピーに対して実行すると、必要な情報まで失う心配がありません。また、ドキュメント検査が見つけられるのは「隠し文字」の書式が付いた文字です。白い背景に白い文字を置くような方法で見えなくした文字は検出の対象外なので、そうした書き方は避けておくと管理がしやすくなります。
PDFで配布する場合
PDFに変換して配布する場合も、変換前に隠し文字の表示状態と印刷設定を確認しておくと、意図しない内容が含まれるのを防ぎやすくなります。変換したPDFを開いて、紙面の内容を一度確認しておくと確実です。
隠し文字を上手に使うための工夫
メモには目印を付けておく
隠し文字にするメモの先頭に「【メモ】」「※確認」などの目印を付けておくと、表示したときに本文との区別がつきやすくなります。後から[検索]で目印を探せば、メモの位置もすぐに見つけられます。
スタイルにまとめると管理しやすい
メモを書くたびに隠し文字を設定するのが手間なら、隠し文字を含む文字スタイルを作っておく方法もあります。スタイルを適用するだけで同じ書式になり、メモの見た目もそろいます。後から一括で書式を変えたい場合にも対応しやすくなります。
段落記号ごと隠すかどうかを意識する
段落全体を隠し文字にするとき、段落記号(¶)まで含めて設定すると、空いた行も一緒に見えなくなります。段落記号を含めずに文字だけを隠すと、空の行が残ります。印刷したときに不要な空白行が残っていないかを確認し、必要に応じて段落記号まで選択して設定するとレイアウトが整います。
表示設定はほかの人の環境では異なる
隠し文字が画面に見えるかどうかは、文書を開く人のWordの表示設定や、編集記号を表示しているかどうかによって変わります。自分の画面では隠れていても、相手の画面では表示されていることもあります。共同で使う文書では、隠し文字を使っていることを関係者で共有しておくと誤解を防げます。
まとめ
Wordの隠し文字を使うと、作業メモや解答などを本文の中に残したまま、画面表示と印刷を切り替えられます。ポイントは次のとおりです。
- [フォント]ダイアログボックスの[隠し文字]、またはCtrl+Shift+Hで設定・解除できる
- [編集記号の表示/非表示]やオプションの設定で、隠し文字を点線の下線付きで表示できる
- [オプション]の[隠し文字を印刷する]で、印刷に含めるかどうかを切り替えられる
- 問題用と解答用を1つのファイルで管理するなど、紙面の出し分けに使える
- 隠し文字はファイル内に残るため、共有前はドキュメント検査で確認する
表示と印刷の設定を理解しておけば、1つの文書を用途に合わせて使い分けやすくなります。まずは普段の原稿のメモ書きから試してみてください。