今回は、PowerPointの翻訳機能を使って、スライドの文章を別の言語に置き換える方法と、翻訳した後にスライドを整えるためのコツを紹介します。あわせて、発表中に話した内容を別の言語の字幕として表示する機能にも触れます。操作説明は、主にWindows版のPowerPoint(Microsoft 365)を前提にしています。Mac版やWeb版、買い切り版との違いは該当箇所で補足します。
PowerPointの翻訳機能でできること
PowerPointの翻訳機能(Translator)を使うと、スライド上で選択したテキストを別の言語に翻訳し、その結果を元のテキストと置き換えられます。海外の取引先向けに資料の一部を英語にしたい場合や、受け取った外国語の資料の内容を確認したい場合に便利です。
利用できる環境と条件
翻訳機能を使うには、次の条件を満たしている必要があります。
- 対応するバージョン:Windows版では、Microsoft 365のサブスクリプションまたはOffice 2021で利用できます。Mac版では、Microsoft 365のサブスクリプション、Office 2024 for Mac、Office 2021 for Macが対象です。
- インターネット接続:翻訳はオンラインのサービスを利用するため、接続が必要です。
- 接続エクスペリエンスの有効化:Officeの「接続エクスペリエンス」が有効になっている必要があります。
職場や学校のアカウントでは、組織の設定によって使える機能が制限されている場合があります。翻訳のボタンが見当たらない、または動作しない場合は、Officeが最新の状態になっているかを確認し、それでも使えない場合は管理者に確認してください。
スライドの文章を翻訳する手順
基本の操作は次のとおりです。
- スライド上で、翻訳したいテキストを選択します。
- [校閲]タブの[翻訳]を選択します。画面の右側に翻訳ツールのウィンドウが表示されます。
- 翻訳後の言語を選択します。
- 翻訳結果を確認し、[挿入]を選択します。選択していたテキストが翻訳後のテキストに置き換わります。
[挿入]を選ぶと元の文章は置き換わるため、元の言語の文章も残しておきたい場合は、作業前にスライドを複製しておくか、ファイルのコピーを作っておくと安心です。
翻訳結果をすぐに挿入しないという選択
翻訳ツールのウィンドウには翻訳結果が表示されるので、内容を確認するだけで済む場合は[挿入]を選ばずに閉じても構いません。受け取った資料の意味を確認したいだけのときは、元の文章を変更せずに済みます。
翻訳を効率よく進めるコツ
翻訳しやすい元の文章にしておく
機械翻訳は、元の文章があいまいだと意図と違う訳になりやすくなります。翻訳する前に、次の点を見直しておくと結果が安定しやすくなります。
- 主語と述語をはっきりさせる:日本語では省略されがちな主語を補っておくと、訳文の意味が通りやすくなります。
- 一文を短くする:複数の内容を一文に詰め込まず、箇条書きや短い文に分けます。
- 社内用語や略語を言い換える:社内だけで通じる言葉は、一般的な表現に置き換えるか、補足を加えます。
テキストボックス単位で順番に進める
スライドには、タイトル、本文、図形内の文字など、複数のテキストが配置されています。1つずつ選択して翻訳する必要があるため、スライドの上から順に進める、タイトルを先にまとめて処理するなど、順番を決めておくと漏れを防げます。
ノートの文章も確認する
発表者用のノートに原稿を書いている場合、スライドだけ翻訳してもノートは元の言語のままです。ノートペインの文章も同じ方法で選択して翻訳できるので、資料を配布する前に確認しておきましょう。
翻訳した後にスライドを整えるポイント
文字のはみ出しとレイアウトの確認
言語が変わると、同じ内容でも文章の長さが変わります。日本語から英語に翻訳すると、文字数が増えてテキストボックスからはみ出したり、行の折り返し位置が変わったりすることがあります。翻訳後は、スライド一覧で全体を見渡し、次の点を確認します。
- テキストがプレースホルダーや図形からはみ出していないか
- 行の途中で不自然に改行されていないか
- 文字が小さくなりすぎて読みにくくなっていないか
文章が長くなった場合は、文字サイズを下げるより先に、表現を短くできないかを検討すると、読みやすさを保ちやすくなります。
フォントの確認
日本語用のフォントのまま英語の文章を表示すると、文字の間隔や見た目が意図と違って見えることがあります。翻訳後の言語に合ったフォントに変更すると、スライド全体の印象が整います。スライドマスターでフォントを設定しておくと、各スライドの書式をまとめてそろえられます。
校正言語の確認
翻訳後のテキストに対してスペルチェックが意図どおりに働かない場合は、テキストに設定されている校正言語が元の言語のままになっている可能性があります。[校閲]タブの[言語]から校正言語を確認し、翻訳後の言語に合わせておくと、スペルや文法のチェックがしやすくなります。
人の目による最終確認
機械翻訳は便利ですが、専門用語や固有名詞、敬語のニュアンスなどは、意図どおりに訳されないことがあります。社外に出す資料では、翻訳した言語に詳しい人に確認してもらう、重要な用語は事前に訳語を決めておく、といった対策をとると安心です。
発表中に翻訳した字幕を表示する方法
Microsoft 365のPowerPointには、プレゼンテーション中に話した内容をリアルタイムで文字にして、字幕として画面に表示する機能があります。話す言語と字幕の言語を別々に設定すると、翻訳された字幕を表示できます。
- [スライドショー]タブの[字幕の設定]を選択します。
- 「音声言語」で、発表中に話す言語を選びます。
- 「字幕言語」で、画面に表示したい言語を選びます。音声言語と異なる言語を選ぶと、翻訳された字幕が表示されます。
- 字幕を表示する位置(スライドの上・下、重ねて表示するかどうかなど)を設定します。
スライドショーの実行中は、ツールバーの[字幕の切り替え]ボタンや、キーボードのJキーで字幕の表示と非表示を切り替えられます。この機能はクラウドの音声サービスを利用するため、発表中も安定したインターネット接続が必要です。周囲の雑音を避け、パソコンに接続したヘッドセットのマイクを使うと、認識の精度を保ちやすくなります。Web版でも利用できますが、メニューの配置がデスクトップ版と異なる点に注意してください。
まとめ
PowerPointの翻訳機能を使えば、スライドの文章を選択して別の言語に置き換えられます。ポイントを整理すると次のとおりです。
- 翻訳したいテキストを選択し、[校閲]タブの[翻訳]から言語を選んで[挿入]する
- 利用にはMicrosoft 365などの対応バージョン、インターネット接続、接続エクスペリエンスの有効化が必要
- 元の文章を残したい場合は、作業前にスライドやファイルを複製しておく
- 翻訳前に文章を短く明確にしておくと、訳文が安定しやすい
- 翻訳後は、文字のはみ出し、フォント、校正言語、用語の正確さを確認する
- 発表時には、字幕の設定で音声言語と字幕言語を分けると翻訳字幕を表示できる
翻訳機能で下訳を作り、レイアウトと内容を人の目で整える流れにすると、外国語の資料づくりを進めやすくなります。まずは短いスライドから試してみてください。