今回は、Wordのフォントの埋め込みを使って、作成した文書を別のパソコンで開いたときの表示崩れを防ぐ方法を紹介します。自分のパソコンにだけ入っているフォントで文書を作ると、相手の環境では別のフォントに置き換わり、行の折り返しやページ数が変わってしまうことがあります。フォントを文書ファイルに含めて保存しておけば、相手側にそのフォントがなくても、作成時に近い見た目で文書を開いてもらいやすくなります。
この記事では、主にWindows版のWord(Microsoft 365などのデスクトップアプリ)を前提に説明します。Mac版については、途中で違いを補足します。
フォントの埋め込みとは
フォントの埋め込みは、文書で使っているフォントのデータを、Wordファイルの中に一緒に保存する機能です。通常、Wordファイルには「どのフォントを使うか」という情報だけが記録され、実際の文字の形は、開いたパソコンにインストールされているフォントから読み込まれます。そのため、相手のパソコンに同じフォントがないと、別のフォントで代わりに表示されます。
フォントが置き換わると、次のような変化が起こることがあります。
- 文字の幅が変わり、行の折り返し位置やページ数がずれる
- 見出しや表のレイアウトが崩れ、意図した位置に収まらなくなる
- 特殊な文字が、意味のない四角形で表示される
フォントを埋め込んでおくと、こうした置き換えを避けやすくなり、作成者が意図したデザインを保ったまま共有できます。
埋め込みが役立つ場面
近年、OfficeのフォントはクラウドからMicrosoft 365の利用者に提供されるようになっており、インターネットにつながる環境で開く場合は、これらのフォントを埋め込む必要はほとんどありません。埋め込みが役立つのは、主に次のような場面です。
- 自分で追加インストールした標準以外のフォントを使っている
- 相手がオフライン環境で文書を閲覧・編集する可能性がある
- 文書をオンラインでPDFに変換する際に、フォントの置き換えを避けたい
社外向けの資料やデザインを重視したチラシなど、見た目が崩れると困る文書で使うと効果的です。
Wordでフォントを埋め込む手順
Windows版のWordでは、オプション画面の保存設定から埋め込みを有効にします。
- [ファイル]タブを選び、画面左下付近にある[オプション]をクリックします。
- 表示された画面の左側で[保存]を選びます。
- 画面の下のほうにある、共有時に再現性を保つための項目で、[ファイルにフォントを埋め込む]のチェックボックスをオンにします。
- [OK]をクリックし、文書を保存します。
チェックを入れただけでは既存のファイルに反映されないため、設定後に文書を保存し直すことがポイントです。
追加のチェックボックスの考え方
[ファイルにフォントを埋め込む]をオンにすると、その下に2つの補助的なチェックボックスが選べるようになります。表示される文言はバージョンによって異なる場合がありますが、内容は次のとおりです。
- 文書で使用している文字だけを埋め込む項目:ファイルサイズは小さくなりますが、受け取った人が同じフォントで文字を追加・修正しようとすると、含まれていない文字は表示できず、編集が制限されます。
- 一般的なシステムフォントを埋め込まない項目:多くのパソコンに標準で入っているフォントを埋め込みの対象から外すための設定です。
相手に閲覧だけしてもらうのか、内容を編集してもらうのかで、選び方が変わります。編集を前提とする場合は、使用文字だけに絞らず、すべての文字を埋め込むほうが安心です。
Mac版Wordの場合
Mac版では、Word for Microsoft 365 for Macでフォントの埋め込みに対応しています。Mac版では[オプション]ではなく[環境設定]から設定を行う点が、Windows版と異なります。埋め込みを解除したいときも、同じ[環境設定]で埋め込みの設定をオフにしてから保存します。
うまく埋め込めないときの確認ポイント
設定をオンにしたのに、相手の環境でフォントが置き換わってしまう場合は、次の点を確認してみてください。
フォントの埋め込み可能性を確認する
すべてのTrueTypeフォントが埋め込めるわけではありません。フォントの作成者は、フォントごとに「埋め込み不可」「プレビュー/印刷」「編集可能」「インストール可能」といった利用条件を設定できます。埋め込み不可のフォントは、設定をオンにしても文書に含まれません。
Windowsでは、コントロールパネルの[フォント]を開き、対象のフォントをクリックすると、[フォントの埋め込み可能性]を確認できます。Macでは、Font Bookアプリでフォントの情報を表示すると、多くのフォントで埋め込みの可否に関する情報が確認できます。
フォントのファイル形式を確認する
埋め込みに向いているのは、OpenType(.otf)やTrueType(.ttf)のフォントです。古い形式のフォントを使っている場合は、可能であればこれらの形式のフォントに切り替えることを検討しましょう。
ファイルサイズが大きくなりすぎたとき
フォントによってはデータ量が大きく、埋め込むとファイルサイズが増えることがあります。メールに添付しにくくなった場合は、次のような対処が考えられます。
- 閲覧だけしてもらう文書なら、使用している文字だけを埋め込む設定にする
- 文書内で使うフォントの種類を絞り、埋め込む対象を減らす
- データ量の小さい代替フォントに置き換える
埋め込みを解除する方法
埋め込みが不要になった場合は、[ファイル]→[オプション]→[保存]で[ファイルにフォントを埋め込む]のチェックをオフにして、文書を保存します。いったんファイルを閉じて開き直すと、それまで埋め込まれていたフォントは、パソコン上にある別のフォントに置き換わります。パソコンにそのフォントがインストールされていない場合は見た目が変わるため、解除する前に、必要な状態のファイルを別名で残しておくと安心です。
共有前に試しておきたい工夫
フォントの埋め込みをより確実に活用するための、ちょっとしたコツを紹介します。
- 別のパソコンで開いて確認する:可能であれば、そのフォントが入っていない環境で開き、レイアウトが保たれているかを事前に確かめます。
- 編集の要否を相手と共有する:相手が文書を修正するかどうかで、埋め込む文字の範囲を決めておくと、ファイルサイズとのバランスを取りやすくなります。
- 編集が不要ならPDFも検討する:見た目を固定して読んでもらうだけの資料であれば、PDFで渡す方法も選択肢になります。
- フォントの利用条件を確認する:購入したフォントや配布フォントは、埋め込みや配布に関するライセンス条件が定められていることがあります。社外に渡す前に確認しておきましょう。
まとめ
Wordのフォントの埋め込みは、標準以外のフォントを使った文書を別のパソコンで開いたときの表示崩れを防ぐための機能です。Windows版では[ファイル]→[オプション]→[保存]から[ファイルにフォントを埋め込む]をオンにし、文書を保存し直すことで設定できます。
閲覧だけなら使用文字のみの埋め込みでファイルサイズを抑え、編集してもらうならすべての文字を埋め込むなど、用途に合わせて使い分けるのがポイントです。うまく埋め込めない場合は、フォントの埋め込み可能性やファイル形式を確認してみてください。共有前のひと手間で、作成した文書のレイアウトを相手にそのまま届けやすくなります。