今回は、Wordの音声読み上げ機能を使って、文書の誤字チェックや言い回しの見直しを行う方法を紹介します。
この記事は、Microsoft 365のWord(Windows版)を前提に説明しています。読み上げ機能はMac版のWordにも用意されていますが、画面の表示やメニューの位置が異なる場合があります。また、読み上げに使われる音声は、お使いのパソコンに入っている音声合成(TTS)の機能を利用します。
Wordの音声読み上げ機能とは
Wordの読み上げは、文書の文字を音声で読み上げてくれる機能です。読み上げ中は、今読んでいる単語が画面上で強調表示されるため、耳と目の両方で文章を追いかけられます。
自分で書いた文章は、頭の中で「こう書いたはず」という思い込みが働きやすく、黙読だけでは誤りを見落としがちです。音として聞くと、次のような点に気付きやすくなります。
- 送り仮名の間違いや、変換ミスによる別の漢字
- 「の」「を」などの助詞が重なっている箇所
- 一文が長すぎて、途中で意味が取りにくくなっている箇所
- 同じ語尾が何度も続いて、単調になっている箇所
- 文字が抜けている、または余計な文字が入っている箇所
画面上の見た目では整っていても、耳で聞くと引っかかる文章は、読み手にとっても読みにくいことが多いものです。読み上げは、最終チェックの道具として取り入れると効果を実感しやすい機能です。
音声読み上げを使う基本の手順
基本の操作はシンプルです。次の順番で進めます。
- チェックしたい文書を開きます。
- 読み上げを始めたい位置をクリックして、カーソルを置きます。文書全体を聞きたい場合は、文書の先頭にカーソルを置きます。
- リボンの[校閲]タブから[読み上げ]を選択します。
- 読み上げが始まり、画面上に再生を操作するための小さなコントロールが表示されます。
- 終了するときは、コントロールの[×]を選択して読み上げを閉じます。
コントロールでは、一時停止や再開、前後の段落への移動ができます。気になる箇所が出てきたら一時停止して修正し、また再生するという流れで進めると効率よく確認できます。
再生速度を調整する
読み上げの速さは、コントロールの[再生速度]から変更できます。確認の目的によって速度を使い分けるのがコツです。
- 誤字や変換ミスを探すとき:速度をやや遅めにして、一語ずつ聞き取れるようにする
- 文章全体の流れやリズムを確認するとき:標準かやや速めにして、つながりを意識する
速すぎると細かな間違いを聞き逃し、遅すぎると文章のまとまりがつかみにくくなります。一度に全部を確認しようとせず、目的ごとに分けて聞くと見落としが減ります。
読み上げる音声を変更する
コントロールの[その他](…)から音声の選択を開くと、読み上げに使う音声を切り替えられます。選べる音声の種類は、パソコンに入っている音声合成の設定によって異なります。聞き取りやすい声を選んでおくと、長い文書でも集中を保ちやすくなります。
クイックアクセスツールバーの[読み上げ]で選択範囲だけ聞く
Wordには、選択した文字だけを読み上げる[読み上げ]コマンドもあり、クイックアクセスツールバーに追加して使えます。修正した一文だけを聞き直したいときに便利です。
- クイックアクセスツールバーの横にある[クイックアクセスツールバーのユーザー設定]を選択します。
- [その他のコマンド]を選択します。
- [コマンドの選択]の一覧で[すべてのコマンド]を選択します。
- 一覧をスクロールして[読み上げ]を選び、[追加]を選択します。
- [OK]を選択して設定を閉じます。
追加した後は、聞きたい単語や文章を選択してから、クイックアクセスツールバーの[読み上げ]アイコンを選ぶだけで、その部分が読み上げられます。
文書全体は[校閲]タブの[読み上げ]、部分的な確認はクイックアクセスツールバーの[読み上げ]というように使い分けると、作業がスムーズになります。
誤字チェックに役立つ聞き方のコツ
画面を見ずに一度聞いてみる
読み上げ中は単語が強調表示されますが、あえて画面から目を離して音だけを聞く方法もあります。目で文字を追うと、書いた内容を無意識に補ってしまうことがあります。耳だけで聞くと、意味が通りにくい箇所や言葉のつながりの不自然さに気付きやすくなります。
違和感のあった場所は、その場でメモしておき、読み上げが終わった後にまとめて直すと流れを止めずに確認できます。
段落ごとに区切って確認する
長い文書を最初から最後まで通して聞くと、後半になるほど集中力が落ちてきます。見出しや段落ごとに区切り、次のような流れで確認するのがおすすめです。
- 確認したい段落の先頭にカーソルを置いて読み上げを始める
- 段落の終わりで一時停止する
- 気になった箇所を修正する
- 修正した部分を選択して、もう一度読み上げで確認する
- 次の段落へ進む
読み方が不自然な箇所は表記を見直すきっかけにする
音声合成は、文脈によって漢字の読み方を誤ることがあります。読み上げの読み方がおかしい場合、必ずしも文書が間違っているとは限りません。ただし、読み方が複数ある語や、読み手が迷いそうな語を見つける手がかりにはなります。
たとえば、読み間違えられやすい語がある場合は、ひらがなに開く、別の言葉に言い換える、文の区切りを変えるといった工夫で、人間の読み手にとっても読みやすい文章になることがあります。
読点の位置もあわせて確認する
読み上げでは、読点(、)や句点(。)の位置で間が入ります。聞いていて息継ぎの位置が不自然に感じる場合は、読点の位置が合っていない可能性があります。
- 読点が少なく、一息で聞くのがつらい文は、読点を加えるか二つの文に分ける
- 読点が多く、細切れに聞こえる文は、不要な読点を減らす
読み上げを使うときの注意点
便利な機能ですが、使う際にはいくつか気を付けたい点があります。
- 音声が出る環境か確認する:オフィスなど周囲に人がいる場所では、イヤホンやヘッドホンを使うと落ち着いて確認できます。
- 表や図の中の文字は確認方法を分ける:表や図形の中の文字は、本文と同じ感覚で聞けない場合があります。必要に応じて該当箇所を選択して読み上げるか、目視で確認します。
- 表記ゆれは目で確認する:「問い合わせ」と「問合せ」のような表記の違いは、音では区別できません。表記の統一は検索や置換などの機能と組み合わせて確認します。
- 同音異義語は聞き分けられない:「以外」と「意外」のように読みが同じ語の誤りは、音声では気付けません。読み上げと目視を組み合わせることが大切です。
音声読み上げは、目視の校正を置き換えるものではなく、目視では気付きにくい誤りを補う手段として考えるとうまく活用できます。
イマーシブリーダーと組み合わせる
Wordには、文字の間隔や背景の色などを調整して読みやすく表示するイマーシブリーダーという機能もあり、その中でも読み上げを利用できます。画面の表示を落ち着いた状態にして文章に集中したいときは、イマーシブリーダーでの確認も試してみるとよいでしょう。通常の編集画面での読み上げと、自分に合う方を選んで使い分けられます。
まとめ
Wordの音声読み上げを使うと、黙読では見落としやすい誤字や不自然な言い回しを、耳から確認できます。今回紹介したポイントを整理します。
- 文書全体の確認は、カーソルを置いて[校閲]タブの[読み上げ]から始める
- 目的に合わせて再生速度や音声を切り替える
- 部分的な確認には、クイックアクセスツールバーに[読み上げ]コマンドを追加して使う
- 段落ごとに区切り、修正した部分を聞き直しながら進める
- 同音異義語や表記ゆれは音では区別できないため、目視と組み合わせて誤字チェックを行う
提出前や共有前の最終確認に読み上げを取り入れると、読み手にとって伝わりやすい文書に仕上げやすくなります。